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魔王様は足止めたい  作者: たっつん
マザーシステム
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102/118

竜の棲家

「ロンギか!どこへ行っていた?」

ズメイが笑顔で駆け寄る。

「兄者!寝ていたら皆がいなくなっていたからびっくりしたのでござるよ」

「だらしないぞ!我が鍛え直してやろうか!」

「それはまた今度で…」

二人が楽しそうに談笑を始める。


「だ、誰…?」

葵が私の後ろに隠れて尋ねる。

「ロンギさんだよ、ズメイさんの弟でアーサーちゃんの狂信者。戦いでは役に立つと思うよ」

「失敬な、ただのファンクラブ会員でござるよ。葵殿でござるね。話は大体城にいた者たちに聞いているでござる」

ロンギは手を伸ばして握手を求めるが葵は私の後ろに引っ込んでいった。

「拙者…何かしたでござるか…?」

「あー、こういう人だから気にしなくてもいいよ」

そう言って後ろへ振り向く。

「それより時間がない。葵さん、私たちが明日すぐに出発できるよう可能な限り詳細な場所を知りたいんだけど…」

「わ、わかった」

そう言って葵は地図を広げる。

「場所は…この辺り…」

魔王城から北東にある真っ白な場所を指さした。

「ん?ここ、何も書かれてないけど…何があるの?」

「わ、わからない…。人間側の地図…書かれてない。危険だから…誰も立ち入らない…」

危険?ここ、何があったっけ?ギリギリ魔境内だし管理下ではあると思うんだけど…。

「魔境内でしたらわたくしにも…ここは…!」

リッチーが驚いたように目を見開く。

「リッチーさん覚えてるの?ここ、何だったっけ?」

「拙者にも見せてほしいでござる」

そう言ってロンギも地図をのぞき込む。

「どれどれ…なんですと!?ここは!!」

「え、ロンギさんも知ってるの?ここ何?」

「竜の住処!拙者たちの故郷でござる!!」

「ええ!?」

どうやら次の行先は竜だらけの場所のようだった。

竜っぽい竜なんて会ったことないけど大丈夫かな…?


翌日、出発の時。

海王とシレーヌが見送りに来てくれている。

「エルクルちゃん、気をつけてな」

「うん、ありがとうシレーヌさん」

そう言って握手をする。

「みんな、準備はできた?」

号令をかけるが正直私は不安しかない。

竜は私が宣誓式をやった時にもいなかった種族だ。

ちゃんと従ってくれるだろうか?

「魔王、顔に出ているぞ」

乗り気ではないのが表に出ていたようで海王が指摘する。

「おっと、失敬」

「安心しろ、我が矢面に立つ。孤高の者が多いが我がいれば問題ない」

「拙者も頑張るでござる」

ズメイとロンギが言葉を重ねるが不安は募るばかりだ。

この二人、別ベクトルで癖が強すぎるから一体何が出てくるのか予想がつかない。

「強いかの?竜とは一度戦って見たかったんじゃ」

リリスが準備運動をしながら聞く。

「我の方が強いが力比べというのであれば別だ。何せ図体だけはでかいからな」

図体だけって…そんな評価で大丈夫なのかな…。

「そうか、楽しみじゃ!」

「いやリリス、あなた体ボロボロでしょうが…。戦わせるつもりはないよ」

「むぅ…」


…よし、そろそろ行こう。

「じゃあ海王さん、マザーシステムの場所がわかったら連絡するよ」

魔力を籠め、転移陣を起動させていく。

「ああ、通達が来たらすぐに向かおう」

海王さんとも握手をして少し離れる。

「それじゃあみんな、行くよ!」

「「「はい!」」」

「転移!」

そうしてズメイさんたちの故郷へと転移した。



見上げるほどの大きさ。

ズンと地響きがするほどの歩行。

赤く気高く自分が一番ということを一ミリも疑っていないその姿はまごうことなき竜だ。

そしてこう言う。

「なんだ貴様らぁ!!生意気な魔族が!勝負しろ!!」

知ってた!第一印象絶対最悪だって!

誰か助けてぇ!

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