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Weeds Soul  作者: 糸東 甚九郎 (しとう じんくろう)
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12/14

「茜色と群青色」

◆大会終了後 「茜色と群青色」


 遠くの空に、白くて細い上弦の月が見えている。

 あの試合の反動が見事に今、身体のあちこちに出ていて、すっごく痛いの。歩くのもやっとだよ。

 大会ドクターは、「骨折などはないけど、一応明日また病院に行ってください」だってさ。


 満身創痍状態のあたしは、先生が家まで送ってくれることになったの。

 今は、会場外のベンチに座り、先生が来るのを待ってる最中。空手道専門部の偉い人たちと、少し話があるんだってさ。

 お母さんは、あたしの準決勝戦が終わった後、また仕事に戻ると言って一足先に帰っていった。

 梨花と真希奈もさっき、「お疲れ様ー」と言って、先に帰っていった。普通に歩いて帰れる二人が羨ましいよ。今のあたしは、ナマケモノみたいなスピードでしか歩けないんだから。

 あたしは、横に置いたスポーツバッグから紙を一枚取り出した。

 大会後に、先生があたしへ今日の結果表を渡してくれていたのを、思い出したの。


 ●女子個人組手

  優 勝  末永(すえなが)小笹(こざさ)(海月女学院・三年)  

  準優勝  大澤(おおさわ)()(つき)(等星女子・三年)

  三 位  (くり)(はら)()(こと)(県立鶉山女子・三年) 川島春佳(かわしまはるか)(等星女子・二年)

  敢闘賞  麦原鞠萌(むぎはらまりも)(海月女学院・一年) 古平(こだいら)あけび(日新学院・一年)

        湯津上(ゆづかみ)(しょう)()(等星女子・一年) (おお)(みなみ)()()(県立柏沼・二年)


「・・・・・・届かなかった、か・・・・・・」


 三位入賞は、ものすごく喜ばしいことなんだと思う。十年以上空手をやってきて、これがやっと三回目の入賞。市の大会以外では、初めての上位入賞だから、嬉しいはずなんだけどさ。


「悔しいよ。・・・・・・勝ちたかったな・・・・・・」


 結果表にある「三位 栗原水琴」の文字を見ていると、また、悔し涙が溢れそうになる。

 あたしは彼女に勝つことを目標にして、厳しく辛い猛稽古も一生懸命やってきた。

 でも、勝てなかった。

 実力差だから仕方ないけど、悔しい。もう終わったはずなのに、未練たっぷり。

 数秒後、あたしは制服のスカートに数滴の涙を落とした。それはゆっくりと吸い込まれてゆく。


「・・・・・・もう、終わったんだなぁ。・・・・・・あたしの空手は・・・・・・。これで・・・・・・」


 ベンチで一人、目を潤ませたまま、あたしは先生を待ち続けた。

 茜色と群青色の空には、一羽の鳥がシルエットになって、夕陽に向かって飛んでいった。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 小笹には勝てなかったが、水琴は良くやった、誇って良い……そう思える事 [一言] 水琴が小笹に力及ばなかったのは残念ですが、目標を立て、それに向かって努力する事の大切さを教わった気がします。…
[一言]  悔しさがあるうちは、まだ終わってないのでしょう。  少なくとも、彼女の中では。
[良い点] あの小笹を相手に、悔し涙が溢れそうになるんじゃ、水琴はまだまだ強くなれますね! 諦めちゃだめですよ、水琴!! [一言] 入賞者、過去作で知ったキャラの名前が多く、なんか安心しました。 相変…
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