月影の島1日目③
「いや、ありがとうな。何かお礼をしたいんだが…そうだ、ちょっと待っていてくれ」
そう言うとトロワさんはお店に入っていきました。シャドウキャットはたくさん撫でてもらって満足したのか、日陰になっている場所でくつろいでいます。なんだったらへそ天までしちゃってます。…野生の本能とか威厳とか、どこに置いてきちゃったんですか?可愛いですけど。
その様子を見ていると、トロワさんが戻ってきました。手にはランタン、でしょうか?を持っています。
「ほら、これ。導きのランタンっていうんだ。この島の住人は皆持っているが、ステラは島の外から来たから持っていない、よな?」
「はい。持っていません」
「だったら1つは持っていた方がいい。これは古いものだが、今でも問題なく使えるはずだ」
トロワさんから黒いランタンを受け取ります。ランタンを初めて見たし、触りました。キャンプくらいでしか使わないイメージだったので、なんか色々新鮮ですね。
「なぜ導きのランタンというのでしょうか?」
「それは自分の行く道を照らす。誰かの迷える標となる。あるいは目印、依代になる。昔から生者の運命を守り、死者の帰るべき場所を教えると言われているんだ」
なにやら歴史が古そうです。それにしても、ランタンなのに様々なご利益がありそうですね。これは大事に扱わないといけません。
シャドウキャットはしばらくトロワさんの傍にいるということだったので、ここでお別れです。また街をフラフラ歩いていきます。そういえばプレイヤーの姿をあまり見かけなくなりましたね。最初はあんなに歩いていたのに…皆さんどこに行ってしまったのでしょうか?
「それとお祭りができなくなった、というのも気になりますね」
この島に降り立って最初に出会った…見つけた?あの少年が言っていた言葉。あれも気になります。おそらく祭りができなくなった要因を取り除くのが、このイベントの目的だと思うのですが…まだピースが足りません。
「トロワさんのところで少しお話を伺えばよかった…」
そんなことを考えながら歩いていると、教会のような建物が見えてきました。この島にも教会ってあるんですね。
「せっかくなので入ってみましょうか」
「ホッ」
木製の扉を開けると、中で女性の像にお祈りをしている方がいらっしゃいました。男性…でしょうか?中性的な見た目をしているので確信はできませんが、おそらく男性です。とても神聖な空気を身にまとっています。
入口で動けないでいると、こちらに気付いたようで手招きされました。
「こんにちは」
「こんにちは」
「今日はどうなされましたか?」
「あの、教会があったので入ってみただけなんです。勝手に入っても大丈夫でしたか?」
「もちろん、歓迎しますよ。…この教会は月の女神様を信奉しております。こちらが月の女神様ですね」
確かに教会の内装は月の形をモチーフにしたものが数多く置かれています。全体的に深い青色をしているのは、夜を表現しているからでしょうか?そして中央で月の女神像が神秘的に輝いています。
「もしよければお祈りしていきますか?」
「いいんですか?」
「はい。ぜひ」
ということで、女神様にお祈りしてみます。こんにちは、ステラといいます。少しの間この島にお邪魔させていただいています。よろしくお願いします。
………………
……………
………
『人の道を照らすのはランタン』
いつの間にか、見知らぬ空間に立っていました。目の前には月の女神像にそっくりの女性が立っています。どこか既視感を覚えますね。そう、星魔法を習得したときに起こった感じにそっくりです。
『神の道を照らすのは灯火』
『灯火はどこに行った?』
灯火――これがキーワードですね。おそらく月の女神様をお迎えするには、灯火が必要なのでしょう。ですがその灯火が何らかの理由で消えてしまい、お祭りもやむなく中止になってしまったということでしょうか?全部私の推測ですけどね。
『月が隠れれば夜は闇』
『闇の中に光は訪れぬ』
≪称号『月の女神の注目』を獲得しました≫
――前回と同様、個人アナウンスが聞こえたのと同時に現実世界に戻ってきました。女神像を見上げても、変化は特に見つけられません。
『月の女神の注目』 MP+10 SP+3
取得条件:プレイヤーの中で初めて月の女神と出会う
女神様とお会いしてしまいました…。とても貴重な体験をしてしまったんですね…。
それは一旦置いておいて、女神様はイベントのヒントになるようなことを仰っていました。これは一歩前進したのではないでしょうか。
今更ですがトロワとトロン、似たような名前を使っていました。トロっていう響きが個人的に好きなんですよね。分かりにくいのでこれからはもう少し気を付けます。
司書さんの話を書いていくにつれて、その書いた内容をだんだん忘れていってます。やばい、老化現象が…。何か矛盾点などがあったら教えてくださると嬉しいです。




