人探しの報酬
ペルルさんの宿屋に到着しました。ドナお爺さんはさすがに帰ってきてますよね…?
「いらっしゃいませ~」
「こんにちは。ペルルさんはいらっしゃいますか?ドナお爺さんを探すよう依頼を受けていたのですが…」
「あ、いますよ。ほら、すぐそこに」
指し示す方向を見ると、思ったより近くにいらっしゃいました。全く気付きませんでした…。受付の方にお礼を言うとペルルさんの元に向かいます。
「ペルルさん」
「おや、お兄さん。いや~ありがとうね。ドナ爺さん、帰ってきたよ。あたしが心配してたって言ったら、不思議そうな顔してたさ」
「ふふっ、それは…無事で何よりでした」
「まぁそれが一番だね。あぁ、報酬を渡さないと…。ドナ爺さんが帰ってきてから、すぐ渡せるように用意してたんだよ。ほら」
そう言って彼女が差し出したのは、お金と所々に青い宝石が散りばめられた指輪。お金が入った袋はともかく…これ、とても価値がありそうなんですが。受け取るのを躊躇していると、ペルルさんが押し付けるように渡してきます。
「ほ、本当に頂いてもよろしいのですか?」
「当り前さね。これは報酬なんだから、お兄さんが受け取らないと」
「ですが…」
「これはね、宝石獣、いわゆるカーバンクルから贈られた宝石が使われているんだ。カーバンクルは知ってるかい?」
聞いたことはあります。額に宝石が宿っている、犬か猫に似ている伝説の獣ですよね。幻獣や神獣と称されることもある、可愛らしいイメージの…。
「概ね合ってるよ。ただこんな言い伝えもあってね。カーバンクルは気に入った者に自分が作り出した宝石を渡すらしくてね。それを持っていると幸運が訪れると言われてるんだ。そしてその指輪は――」
なるほど。この指輪に装飾されている宝石は、カーバンクルから贈られた宝石というわけですね。ですが、それならなおさら受け取れませんよ。
「ペルルさんが持っていたほうが…」
「いいんだよ。その指輪があったこと自体、忘れてたぐらいだしね。お兄さんが持っていた方が、その子も喜ぶと思うよ」
「いえいえ、お金をもらうのに指輪まで頂くわけには…」
「遠慮しないで」
しばらく押し問答を続けましたが、結局受け取ることになりました。…ペルルさんがかなり強引だったとも言います。
「ありがとうございます」
「こっちこそ。ドナ爺さんを見つけてくれて感謝してるよ。ちっこい子たちもまたね」
「ホー」
「シュシュ」
仕事に戻るペルルさんと別れ、宿屋を後にします。…やっぱり私は押しに弱いですね。さすがに貰いすぎな気がするのですが…。お金は5000Gでした。嬉しいですね~。今はいくらあっても嬉しいです。…なんか私、お金にがめつい人みたいになってますね。そして肝心の指輪なんですが…。
秘石の指輪 レア度4 幸運+30
カーバンクルの力が宿った宝石があしらわれた指輪
…。鑑定結果に二の句が継げられませんでした。まさか本当にカーバンクルから贈られた宝石を使っているとは思わなかったです。ペルルさんの話を信じていなかったわけではありませんが…いえ、半分は疑っていました。だって大抵はそういうの、偽物だったりするじゃないですか…。
「しかも幸運アップの付与付きですよ」
「ホーホー?」
「多分、相当珍しいはずです」
付与付きの物はレアリティが高いと掲示板に書いていた気がします。…オートマティック・オンラインでは盗む行為が禁止されているのが幸いですね。そうでなければこの指輪、盗られる可能性が高かったですよ。
指輪は右手の人差し指に付けることにしました。なんとなくですが、そこに付ける方がいいと感じたので。…うん、なんか少しくすぐったい気持ちになりますね。
「さて、次はどこに行きましょうか」
「ホホーホー」
「あ、そうですね。トロンさんの工房にも行かなくては」
ちょっと忘れかけていました。ですがもうすぐログアウトの時間がせまっています。工房に行くのは明日にしましょうか。稲荷さんたちと会った後でも、時間は十分あるでしょうし。
次の更新は4月19日です。
今回は短めですみません。ここから次の展開に進むと、どうしても話が長くなってしまうので…。切りがいいところで終わらせました。




