9話
「ネル様!」
父を殺し、〈義侠衆〉の頭領となった直後、慌てた様子で部下が部屋に入ってくる。
部屋の凄惨と言える様子を見て、一瞬ギョッとした後に父の死体と私を交互に見る。
「ついに……!やったのですね……!」
「…………ええ、そうね。だから少し一人にして欲しいのだけど?」
「申し訳ありません。しかし、緊急事態です。敵です!ミルリック、モリア、それに正体不明の女が一人!」
「「──ッッ!」」
タイミングが悪い!乗っ取り終わった直後にか!
………………いや、むしろ………。
このタイミング。まるで、私が乗っ取り終わる時を待ってたかのような……。
…………まさか!
私は専用の携帯電話を取り出し通話をかける。
少しのコールの後にもはや聞き飽きた声が聞こえた。
『〈道具屋〉でございます!ご依頼でしょ──』
「謀ったな!」
少しの沈黙の後、〈道具屋〉はいつも通りの声で言った。
『…………いえいえ、ご依頼のとおり、〈義侠衆〉の乗っ取りは成功させませたでしょう?その後僕がどうしようとも、貴方に関係することではありませんよ。』
「誤魔化す気もないのね……!」
『まあ、そうですね。もう用は無いですよね。それじゃあ。』
〈道具屋〉はそれだけ言って電話を切った。
「ネル様。どうしますか?」
そう質問するネイルも見かけ上はいつも通りだが、内心焦っているようだ。指先が細かく震えていた。
「…………丁度いいわ。」
そうだ。生まれ変わった〈義侠衆〉の権威を上げるためにもスラム街で名のあるミルリック、モリアが倒せるのは都合が良い。
何よりも、〈道具屋〉が私達を舐めているのが気に入らない。
「今日ここで示すのよ。〈義侠衆〉が生まれ変わったことを。」
「……っはい!」




