10話
ネイル、ネルの2人が侵入者の元に向かえば、そこにあったのは地獄絵図だった。
長年暮らしてきた家は戦闘の余波でボロボロに壊されていた。
彼女達の愛する仲間は動かぬ死体となっていた。
彼等の温かい笑顔は苦痛に歪められ、優しい声は悲鳴に染められたのだろう。
しかし。その元凶は何事もなく立っていた。
そして、3人と2人の目が合った。
「帽子を被った小柄な少女。〈道具屋〉が言ってた特徴と一致しているね。君がネルかな?」
「そんじゃあ横にいるのは……えと、誰だっけか。」
「ネルの側近、確かネイルという名前だったと思います。」
ネルが深呼吸をする。大きく、ゆっくりと。
「ネル様……。」
「いい。大丈夫よ。」
ネルが傍に駆け寄ろうとしたネイルを制止し、3人の方へ一歩近寄る。
「さて、〈道具屋〉から一通りの紹介はされてるようだけれど一応の自己紹介はしようかしらね。〈義侠衆〉の頭領、ネルよ。横にいるのがネイル。」
「おお、これはどうもご丁寧に。私はモリア、横にいるのがミルリックとメリア。短い付き合いになるだろうけど、よろしく。」
会話だけは穏やかに。しかし激情を内に秘めて。
「確認なのだけど、貴方達は〈道具屋〉からの依頼で来たのよね?内容は私達の皆殺しかしら?」
「そうだね。依頼は君のお父さんから〈道具屋〉を伝って私達に。内容は『君達が人の道を踏み外したら止める。』その方法としては、全員殺すのが手っ取り早くてね。」
ネルはなるほど、と思った。父が出す依頼としは違和感がなかったからだ。しかしまあ、その方法が皆殺しになることを想像していたかは分からないが。
「さて、お話はこれで十分よね。」
ネルが戦闘態勢をとる。それに続いてネイルも構えた。
「ふむ。ネルをミルリック。ネイルをメリア。私はメリアの見学。完璧な役割分担だ。」
「サラッとサボる気満々じゃねえか。」
「ハハッ、悪いね。メリアもそれで良いよね?」
「ハイ。ワタシは構いません。」
ミルリックがネルの前に、メリアがネイルの前に、モリアが部屋の隅にそれぞれ移動する。
「なぁネル……だったけ?お互い邪魔されるのは嫌だろ?移動しようぜ。」
「…………ま、そうね。」
お互いに了承した後、ミルリックとネルが移動した。
今現在部屋に残っているのはモリア、ネイル、メリアの3人だ。
(モリアは……──)
ネイルがモリアを見つめると、それに気付いたモリアがフリフリと手を振った。
手を出す気はない、ということらしい。
(──少なくともメリアとやらがやられるまでは。
とりあえずは。)
ネイルは思考を切り替える。今集中すべきはメリアだけだ。大丈夫、ネル様は負けないし、モリアだって何とかなるさ。私達はまだ始まったばかりなんだ。ここじゃあ終われない。
「さて……と。」
ネイルが武器を取り出す。長い鎖の先に鋭い鎌が付いている。鎖鎌だった。
ネイルが鎖の部分を掴み、回す。
最初はゆっくりだったソレも少し経てばブンブンという風の音が聞こえるほどの速度になった。
「死ね」




