11話
ネイルの鎖鎌が青く光り、周囲のauが集まり、物体を形成する。
粒子が部屋中に散らばり、いくつかの地点に集まると、小さな柱を形成した。
(柱……?一体何のために?)
メリアが柱の意味について考えていると、鎖鎌が飛んでくる。
既のところで屈み、躱すと、直ぐに二撃、三撃目が飛んでくる。
二撃目を腕で弾き、三撃目を姿勢をずらして躱すと、ネイルとの距離を素早く詰める。
しかし、3撃目の鎖鎌が柱に巻き付き、進行方向を変えると、メリアの背後を斬りつけた。
「ぐっ…ッ!」
衝撃にうめき声を上げるメリアの首を鎖鎌で巻きつけると、そのまま壁に叩きつける。
叩きつけた衝撃で、壁が亀裂と共に凹み、土埃が舞う。
(やっ……てはないか。)
土埃が晴れると、そこにはメリアが立っていた。
少しの傷はあるが、それだけだ。
大きなダメージは無い。
「なるほど、auを直接的な攻撃ではなく、自身の有利なフィールドを作るのに使っているんですね。自分の技に絶対的な信頼があるから出来ることです。」
「そうだな。実際お前程度には問題なく通じている。」
「分かりやすい挑発ですね。もう少し頭を使ったらどうですか?まぁ、それが出来ないから〈義侠衆〉は落ちぶれたんでしょうけど。」
「…………中々、挑発が上手いじゃないか。」
ネイルが鎖鎌をメリアへと飛ばす。
先程と同じように屈み躱すと、また同じように2撃目、3撃目が襲いかかる。
二撃目を弾き、三撃目に掴み、固定する。
しかし、ネイルが鎖鎌を引っ張ることで自らの体を素早くメリアへと近づける。
近づく速さをそのまま利用し、ネイルがメリアの腹へ蹴りを放つ。
蹴りの衝撃でメリアが鎖鎌を離し、体勢を崩す。
その隙を見逃すネイルでなく、鎖鎌がメリアを襲う。
鎖鎌がメリアに命中するまでの、その刹那。
──メリアの体が青く光った。
異常ともいえるスピードでauによって生成された巨大な剣が鎖鎌を弾き、ネイルへと斬りかかる。
ネイルが鎖鎌の刃の部分て防ぐも、衝撃を殺しきれず後ろにふっ飛ばされる。
柱に鎖鎌を巻き付け、壁に激突することは防ぐも、その衝撃は確かにネイルの体を蝕び、膝をつかせた。
(これがコイツのauか!威力も生成スピードも尋常じゃない!…………それでも!)
確かな決意を胸に敵を見る。
しかし彼女の目に写ったのは視界を埋め尽くす無数の武器だった。
剣、槍、槌、鎌、斧。
数多の種類の武器が確かな質量と殺意を持ってそこに存在していた。
「…………は?」
「こういう時は遺言を聞いた方が良いんでしょうか?その程度の余裕はありますし。」
「何だ…?何なんだ?」
「見てわかりませんか?武器です。」
「違う!それじゃない!何だ?!なんなんだよ!お前は!」
「ああ、そのことですか。」
姿勢を正し、相手の目を見て、ゆっくりと。
もうすぐ死ぬ相手だが、だからこそ丁寧に必要最低限でも敬意を払うべきだと思った。
「──ワタシは人型汎用人工知能3号機、メリアです。」
「人工……知能……!?」
「短い間でしたが、ありがとうございました。それでは、さようなら。」




