4話
リビング……と言って良いのかは分からないが、ともかくある程度の広さのある部屋のソファーに、三人は座っていた。
随分と高性能そうな機械がキッチリと整頓され、それでも尚部屋中を埋め尽くしている。
最初に口火を切ったのはラミムだった。
「さてさて、メリア君……だったかな?」
「はい。ワタシは人型汎用人工知──」
「信用できるの?ミルリック。」
「知らん。ただ──」
ミルリックはメリアへと視線を移す。その思考には先程の戦闘がこびりついている。
「──こいつは複数の物体を生成してたし、その速さも尋常じゃなかった。」
「…………そうか。ん〜〜〜。いや、困ったな。うん、困ったよ。どうしようかな。フフッ」
口では困ったと言いたながらも随分と楽しそうな様子を見せるモリア。
「まあ別に良いだろ。元々人様に言えないこと研究してるんだろうし。」
「いやいや、確かに大っぴらに言えるものではないけどね。それでもグレーさ。人工知能は真っ黒なんてもんじゃない。対応にも困るね。」
「………申し訳ありません。お邪魔でしたらすぐにでも破壊してください。」
二人に対してメリアが謝罪を告げる。
メリアからすればマスターの役に立つことが存在理由である。自分の存在がマスターに迷惑をかけるのは避けたかった。
「いやいや!むしろ楽しみさ!人工知能!今や世界で作れるのは一人しかいない、ロストテクノロジー!好奇心が非っ常〜〜に刺激される!」
「俺はどっちでも。モリアが楽しそうだし、とりあえずは任せる。」
モリアの声は上擦っており、ミルリックの声は気遣いも何も感じさせない声で、その言葉は本心なのだとわかる。
「…………ありがとうございます。」
メリアが綺麗なお辞儀と共に感謝を告げる。
「ところで質問なんだが、そもそも人工知能ってそんなにヤバいのか?」
「…………本気で言ってるのかい?ミルリック。」
モリアが若干、どころか大いに引きながら行言った。
その目線には呆れどころか驚愕すら混ざっている。
まさしくドン引きである。
「はぁ〜〜。分かった。私が馬と鹿のハーフの猿の君にも分かるように説明してあげよう。」
「罵倒しようとして謎の生命体ができてるぞ〜〜。」
モリアがミルリックのツッコミを無視して部屋の棚から小さな正方形の物体を取り出し、机に置いた。
「さて、この世界の建築物は大抵auと呼ばれる物体で作られている。コレの特徴は、容易に形、性質を変えられることだ。まあ、といっても」
モリアが正方形の物質──au──の方向に手を伸ばす。
するとモリアが胸ポケットに入れていたボールペンが青く光り、auがゆ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っくりと形を三角形に変えた。
「──このように専用の機械、今回で言えばこのボールペンだね、それが必要だし、速さも遅い。だから私達人間でこれを扱える者は変化させる種類を一つだけ決めてそれを極める。公式を覚えて計算するのに近いかもね。それじゃあ次にメリア、やってみてくれ。」
モリアに言われた通り、メリアがauに手を伸ばす。
メリアの体に青い光の線が浮かび上がり、auの形を、変える。
三角形から小さな槍に、槍から剣に、剣から正方形に。モリアの時とは段違いの速さだった。
「うん、まあ、ご覧の通り。人工知能はその異常な演算スピードでauを自由自在に操れる。素晴らしい能力だ。しかし惜しむらくはそれが人類への反逆に使われたことだろうね。……分かるだろう?」
都市部の建造物はauで作られているものが殆どだ。
そこで人工知能が人類への反逆を行ったならば…………その被害は想像を絶するものになるだろう。
それこそが、理由。彼等、彼女等人工知能が犯罪となり、禁忌とされる理由である。




