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取り敢えず未来を夢見てしまいます

 


 本音を言えば建国祭が近過ぎて、ギルドマスターから貰った招待状に対して策を弄する時間などある訳も無く。

 行き当たりばったり、とまではいかないけれど。


 それしか方法は無いのかな、と言う感じ。


 Sランクとして挨拶回りをする訳でも無い。出ていたという実績があれば充分。

 流石に魔法で二人になどはなれないし、なれたところでなる気も無い。


 実際マグリットとしては出るのだ。出る、は嘘では無い。




 建国祭。

 帝国が出来た記念日。


 今から300年以上前に出来たこの国の一番大きなお祝いである。

 それは貴族や市民関係無く、皆んなが皆んなお祝いムードとなる。

 建国祭は三日三晩続く。


 市井では出店が多くなったり、町中花だらけになったり、様々催し物が道で開催されていたりと、なかなか陽気な雰囲気となる。

 それが朝夜関係無しに続く。


 貴族社会ではやはり一番は夜会。

 それも皇族主催の帝国一の夜会が三日間ある。

 これがもう豪華絢爛、と言う言葉がピッタリと当てはまる程の豪華さで、帝国の端から端まで、領地に散らばる貴族達が集まる機会でもある。

 つまりは挨拶だけで、相当な時間が掛かるのだが。


 皇族が主催する夜会は皇誕祭もあるが、やはり建国祭が一番の目玉である。



 つまりは今現在、フレデリックは普段にも増して忙しいのだ。

 ギリギリ教師としての仕事はやっているようだが、それもかなり無理をしているのが傍目にもわかる。

 わかるが手伝う事など出来ない立場であるし、そもそも対外的にはマグリットとフレデリックの関係性は淡白な物であり、手伝いを申し入れる事さえも不自然なのである。


 もどかしいな、と思えど何も出来ない。



 皇族が主催する夜会といえど、一貴族、しかも当主でなければ然程やらなければいけない事など無く。

 マグリットは特に変わらない日々を送っていた。


 少し気になった事もあり、マクシミリアンと、ジェシカ。そして四人の側近達が居る場面の監視をしてみた。

 やはり思った通りメインはマクシミリアンと一緒に居るが、隙を見て個別でも時間を取って交流しているようだ。

 よくやるな、というのが感想で。それ以外の感情は浮かんでさえこない。


 後はその五人の攻略以外にも、ジェシカはどうにかしてフレデリックに近寄ろうとしているのが見て取れる。

 下級貴族で下位クラスの人物が、上位貴族で上位クラスの担任になど容易く会えるほど、この学園は狭くない。


 その上フレデリックは避け続けているし、そもそも忙しい人物なので普通に生徒として用事がある他生徒でさえ、探し回らないと会えない程である。

 教師としている間だけは、皇族として居るよりも会いやすさはあれど、忙し過ぎて会えないとは不便な人物である。


 それでも普通に教師としてのフレデリックに用事があるような人物は、授業中には会える訳で。

 流石にマクシミリアンの世話を押し付けられはしたようだが、皇族が下級貴族の下位クラスの授業を担当する事はなかったようだ。

 まぁ、学園長辺りはフレデリックが仕事に忙殺されている事に気付いているようだから、その辺りの兼ね合いもあるのだろうが。


 特に今は前回たまたまジェシカとフレデリックが会えた時以上に、建国祭の準備も絡みフレデリックが忙しく動き回っている。ジェシカは会おうと苦心しているようだが、その努力はカケラも実ってはいない。



 やはりこのマクシミリアンやジェシカを観察してみたとて、つまらないなとしか感じない。


 男爵令嬢が皇太子と恋仲になり、皇后陛下となる。

 物語にでもして本に書き記したら売れるかもしれない。

 しかし、やはりそれは物語の中だけで。


 男爵令嬢では、政務を熟せる訳がないのだ。

 余程その男爵令嬢にやる気があれば、そこそこ形にはなると思う。現在の皇后皇妃両殿下もそこそこ、程度である。

 フレデリックのような完璧タイプの皇帝となれば、それでもやっていけるだろう。

 しかしマクシミリアンは違う。あれが皇帝陛下では、皇后がそんなのではやっていけない。


 何故それがわからないのか。マクシミリアン自身、実力が無いのは知っているだろうに。いや、実力が無いのでは無い。あれも頑張ればそこそこはいくはずで、サボってきた代償が、今だ。



 勿体ない。

 真面目に学修していれば、周りにも助けられて立派な皇帝陛下になれた筈で。実際、現皇帝陛下は周りの者達に随分と恵まれているのだ。

 しかもマクシミリアンには、頼れば助けてくれそうな優秀な兄フレデリックが居る。間違いなく上手くやれば、今よりも栄える事も夢では無かった筈なのに。


 マグリットが断罪されようが、されまいが。

 正直、マクシミリアンが統治する国に居たいとは思えない。


 もし、本当に。

 フレデリックが言う通り死なずに済むのであれば、帝国から出る道を選ぶと思う。幸いにも今回はSランクという称号も貰えたし、生活に困る事は無いであろう。



 少し、楽しみ、かもしれない。



 本当に死なないのなら。



 未来を夢見ても許されるのかとーーーーーーー





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