↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
60/126

取り敢えずスッキリしたいです

 


 余り長い事、フレデリックと二人で立ち話をしているのも怪しいとその場は解散となった。


 それにフレデリックの言葉を、熟考するためにも一人になりたかった。



(恋愛感情??好きって事???)

 想像の斜め上を行く、言葉であった。


 初めから政略結婚だった為、好きや愛してるなんて考えた事も無いし、想像さえした事も無い。

 貴族間の結婚など、義務や責務でしかない。

 ただ結婚して皇帝皇后となるからには、気まずい関係というのは不味かろうとは思いはした。

 思いはしたが、そもそも貴族間の結婚に恋愛感情などは不要である。好きな人が出来たとして、それが結婚する相手と別の相手だった場合そこにあるのは憐れな末路。


(えっ?そもそもフレデリック殿下は何処をどう見てそう思ったのでしょうか?)

 あんなに今まで無視されて、学園に入ってからも再度マグリットが通いだしてからやっとの事で顔を見る様になったのに?

 顔を合わせた所で、必要最低限の会話だけで雑談など以ての外。


 確かに様子が違うとマグリットも思ってはいたが、愛情どころか親愛さえも感じた事も無いし、むしろ悪意さえ感じる事だってある。


(好き・・・・・・)

 そういう話が出ると思い出す顔はあれど、マグリット自身はあの人を好きだったのかはわからないまま。ただ好きだと言われた言葉が過ぎる。


 しかしやはりわからない。

 あの人からの愛情は感じた事があるからこそ、余計にわからない。

 マクシミリアンのマグリットに対する態度の何処に、好きだと感じたのか。

 どう良い様に考えても、好きな相手にする態度では無いのはわかる。



 ーーーーーーーーー



「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 何となくモヤモヤした気持ちを発散したくて、昼休みの時間を使って討伐依頼へと繰り出していた。

 まだ授業が残っているこの時間の依頼は、余り討伐依頼は受けないようにしていたのだが、どうしても動いてスッキリしたかった。



 人気が無いので叫んでみても、刀を振ってみても、モヤモヤしたものはどうにもならない。


(ダメダメ、あまりノンビリもしてられないのに。)

 普段はどんな依頼であろうと気は抜かないのだが、今日は少し雑念が多い。スッキリもしないのであれば、受けるべきでは無かったと少し反省する。


 今居るのは人気の無い森の中。


 しかし近くには町があり、目の前にいるダイアウルフはその町の農作物を荒らし、とうとう人的被害まで出てしまったらしい。

 今までも何度も依頼を出していたそうだが、人的被害が出ていなかった事で後回しにされていたようだ。


 Sランクであるマグリットが受けるだけあり、魔物としては中々に強敵である。


 見た目は狼だが色は群青色をしており、夜の空のようで綺麗な毛並みである。しかし実態はかなりの身体能力を持っており、並の者であれば傷ひとつ付けることさえ出来やしない。遠吠えは耳障りで、近くの町の子供達は毎日泣いて暮らしているという。

 かなりの素早さを持っていながらも体格は大きく、一般男性にも引けを取りはしない。やはり狼系魔物だけあり武器は歯であり、それは鉄さえも砕く程強力である。



 それでもマグリットは嗤う。


「さて、終わらせましょうか。」

 マグリットはダイアウルフに聞こえるように言うと、ダイアウルフも唸り出す。


 最上級魔物は人の言葉を理解出来るものも多い。おそらくはこのダイアウルフも理解しているのであろう。


 先手必死とばかりにダイアウルフはマグリットへと飛びかかるも、マグリットは最小限の動きでギリギリで避け、魔力付与した刀で斬りつける。

「きゃうんっ!!」

 痛そうな声は出すものの、想像以上の身体強化を施しているのか斬り落とすまでいかなかった。不味い!と直ぐ様距離を取る為、後ろへと飛び退る。間一髪咬まれずに済む。


 しかし予想外の事など冒険者をしていれば日常茶飯事。むしろ油断した事に自身を叱咤する。


 刀に魔力付与と一緒に属性付与を施す。今回は風。

 風であれば斬れ味を上げることが出来る。


 ダイアウルフはそれにさえ気付いたようであった。


 ダイアウルフは今の今まで戦った事は無かった。今日初めて戦うのだが、本や図鑑での知識しかなかったのだが、想像以上に魔力に敏感で、聡そうであり、強い。


 それでも。

 ニヤリと嗤ってしまう。


 スピードなら負けはしない。一瞬で距離を詰めて、再度ダイアウルフの首を狙う。流石に相手もスピードを強みに持っている事もあり、傷は付けることは出来たが殺すまでは至らなかった。


 それでもかなりの深傷を負ったのか、ダラダラと少なくない血が流れている。時間との勝負と悟ったのかダイアウルフは再度マグリットへ一瞬で距離を詰め咬みつこうとするも、マグリットは刀でその口を防ぐぎ、その勢いで少し後ろに飛び距離を取る。


 余り刀傷を増やしたく無いのが正直なところ。狙うは先程傷を付けた首。次こそは一刀両断を狙う。


 解体用の短剣を取り出しダイアウルフの目を狙い投擲する。

 かなりスピードを乗せた事もあり、ほぼ狙い通りに眼球を貫き、痛みにもがいている隙に距離を詰め、今度こそ首を切る。



「はぁ、やっぱり汚れちゃうわね。」

 全身血まみれとはいかないが、それでも返り血を少し浴びてしまった。相手が強くなければそんな事にもならないのだが。

 指をパチンとならし、浄化魔法を掛ける。


 今日は帰ってすぐお風呂だな、と思いながら転移する。



 ーーーーーーーー



 依頼完了の報告を急いで済ませて直ぐ様学園へと戻るも、授業が始まるギリギリになってしまった。

 間に合えば問題無いとは言え、余裕を持つべき貴族がする行動では無いのは間違いない。


 少し依頼完了の報告で時間を使ってしまった。

 ダイアウルフに襲われていた町民が離してくれなかったのだ。それを振り切って帰ってきたのだが、遅くなってしまった。



 余り目立つ行動はしたくなかったのだが。マグリットは睨み付けるかの様なマクシミリアンの視線を背中に感じて、溜息を吐く。

(結局あんまりスッキリもしなかったわね。)




 放課後、いつもの様にすぐには家に帰らずに、一旦学園内をウロウロと歩く。

 今日は何をしようかまだ決めていない。


 またまだ大量にある依頼をこなすか、これから学園の図書館に向かうか、たまには早く帰るのも良いかもしれない。



 そんな風に思っていた時だった。


「マグリット!話がある。」



 後ろから掛けられた声に落ち込むのは、致し方無い事だと思う。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。