↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
32/126

取り敢えず監視します

 


 それからは特に問題のある行程ではなかった。


 程なくウェルズリー領には着いた。

 領地としては然程大きくはないが、ギルドもあるし農地もまぁある。

 窮困する事はなさそうで、逆を言えば裕福にもならなさそうな本当に平々凡々な土地、というのが印象の場所であった。


 こんな事にならない限りはここで根を下ろそうとは思わないかもしれない。

 それ位平凡な土地であった。


 しかしながらギルドはある。


 マグリットは取り敢えずと、ここのギルドを拠点としてウェルズリー領のウェルズリー男爵が住む屋敷が程近い場所で日々を過ごす。



 それからは本当に何も無かった。

 もう既にか、これからかわからないが、何かあるのは間違い無いのではないかと思っている。

 ジェシカ=ウェルズリー男爵令嬢が入学するまでに、必ず何かがある。


 正直言うと、ジェシカ=ウェルズリー男爵令嬢は一般的には確かに可愛い、とは思う。

 美人、というよりは可愛い。天真爛漫で笑顔が絶えなくて、スカイブルーの大きな瞳もクリクリと、桃色でロブの髪の毛も手入れが行き届いているのか艶めいていて。

 良い言い方をすれば目上の人物にでも物怖じしない話し方で、怒ったり泣いたり笑ったりと感情豊かで、普段感情を表に出さない様にと教育されている普通の貴族令嬢ばかりを見ている者にとっては物珍しく映る、そしてそれを見て仕舞えば確かにお遊び程度の気持ちは湧くかもしれないが、それでも貴族社会に置いては妻としては矢張りやって行けはしないと感じる女性である。

 愛妾としては良いかもしれないが、正妻としてやって行くには社交界での他者との探り合いに打ち勝つ事が出来るようには思えない。


 何度かの断罪を経て、まぁ強かさはあるな、と感じるも何人もの高貴族を手玉に取る程の魅力溢れる女性とは、とてもとても感じない。

 そこにカラクリがあるのか陰謀の様なものがあるのか、それとも。


 例えば高貴族の異性と二人になった途端、男を手玉に取る手腕でもあるのか。とか、様々な事やや考えてみても正直な所マクシミリアンや側近達といつも一緒にいるジェシカをずっと見ていた事など無いのだから想像だにしない。

 考えた所で詮なき事。

 だからこそ此処にいるのだが。


 このウェルズリー領に来てからずっと着ている特に装飾も無い黒のローブにフードを被り、気配を消しながら木陰に座って本を読む。


 正直な所、潤沢に本を読むならCランクであり続けたくは無かった。

 本は少し高価な物。Cランクの収入では余り多くは買えない。

 しかしこれ以上のランクとなると目立つ為、それは本意では無い。


 余りギルドの仕事もしすぎるのもそれはそれで目立つのでやらない。

 適度にこなし適度に休んでる風を装う。



 このウェルズリー領は他の同じ様な領地と比べると少しばかり住みにくいな、と感じる。

 生活は一応やってはいけるだろうが、少しばかり税が高い。


 その浮いたであろう資金はどこにいったのかと、不審に思った。

 例えば領地内で不作になった時のような市民が生活できなくなるような事象が起こった時等に市民に分け与えるとかするのかと、考えてみた事もあったが。

 確かにそういう理由で少し税を上げている領地もある。そして基本的にはそういう場所では本当に何かあった場合、市民には無償で食料を配ったりしている。


 しかしながら此処は本当にそんな事をするのか?と疑問に感じていた。

 実は魔力を使いマグリットはウェルズリー男爵の屋敷を四六時中観察している。

 気になる屋敷の出入りはドレスや装飾品を扱う商人の出入りだ。


 余り大きく無い領地にしてはどうも商人の出入りが多い。

 つまりは多くの税を徴収して散財してる、のは間違い無いと思う。


 しかし今はそれだけだ。

 皇太子妃になるような計画がある様には見えないし、むしろそれ以上にあんなに学園ではマクシミリアンとその側近達の高貴族を虜にしたような片鱗はジェシカには感じない。



(皇族の他領地の視察に来ている訳でも無いし、貴族として自身の領地の視察に来ている訳でも無い。

 確かに税は高めだが、国に申告する程でもない。

 本当、こんな所から皇太子妃が出るなんて考えられないわね。)

 本を一旦閉じて木陰から顔を出す。


 そこにはウェルズリー男爵の屋敷があり、庭先でジェシカが家族でお茶会をしている。


 散財はやはりジェシカがしているようで、かなりの量のドレスがあるのか一度として同じドレスを見た事が無い。

 毎日見かける訳では無いが、それでも月の半分は姿を見せるのだ。

 男爵がやってる事業も軌道には乗っているようではあるが、こんな辺境の土地にいる割にドレスも装飾品も持ち過ぎなのは間違いない。


(確かにこんな子が皇族なんかになってしまったら酷い事になりそう。)

 フレデリックの言葉を疑っていた訳では無いがジェシカが国庫を食い潰す、というのは大袈裟な気もしていたがそうでも無さそうだ。




(・・・・・・・・・!?)

 魔力を伸ばして監視をしているのは何もウェルズリー男爵の屋敷だけでは無い。


 領地全体とは言わないが、此処に繋がる大通り位は監視している訳で、そこに気になる馬車が通り少し離れた所に馬車を停めている様だ。

 そこから一人の男が降りてこちらの方へと向かってきている。



 持っていた本を空間魔法で仕舞うと、立ち上がり服についた汚れをパンパンとして払う。

 そして気配を消したまま、屋敷の屋根裏へと潜入する。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。