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〜sideフレデリック   過去の情勢

 



 ーーーーそうだな、何処から話そうか。


 マグリットは何度もやり直しをしているが、この帝国の情勢には疎かったな。

 それもそうか。


 そういう風に追いやられているもんな。


 以前にも軽く伝えた通り、基本的な所は変わらない。


 君が処刑後、カンバーラント公爵家を筆頭に内乱が起きる。

 その混乱に乗じて他国から侵略があり、戦争となる。


 これが話の根源だな。



 なら初めから細かく話そう。


 まずはマグリットの断罪からだな。


 そうなった理由はやはり、ジェシカ=ウェルズリー男爵令嬢をマクシミリアンが見初めたのがキッカケだろう。

 しかしどうやらそれだけでは終わらなさそう、ではあるな。

 いくら皇太子殿下が見初めたからと言って、幾ら何でも身分が離れ過ぎている。

 しかもウェルズリー男爵令嬢はお世辞にも淑女とは言い難い。

 皇太子妃になるどころか、貴族としてのマナーさえも覚束ないな。

 それにも関わらず、マクシミリアンの側近候補達は何故止めなかったのかと思ったよ。

 出来るだけ調べてみると、どうやらマクシミリアンの側近候補達さえも籠絡されてたのでは、と思う。

 実際の所を確かめられる程、マクシミリアンを取り巻く環境を深く調査する事は出来なかった。

 何故だかジェシカ=ウェルズリー男爵令嬢が来てからというもの、少しずつではあるが、警戒が強まっていくんだ。

 過去何度も工作員を潜り込ませては居るんだが、一定以上の調査が出来なくなる。

 正直ジェシカ=ウェルズリー男爵令嬢の何処を見て、あんなに熱を上げれるのか不思議でたまらない。

 何かがある、とは思うんだが・・・・・・


 すまない。

 今はそれを議論するところでは無かったな。


 まぁ結局のところマグリット断罪後、そのまま言っていた通りジェシカ=ウェルズリー男爵令嬢はマクシミリアンの婚約者となる。

 しかしながら、貴族としてのマナーさえも無かった人物を皇太子妃に相応しい人間にする事は叶わなかった。

 むしろ本人にも全くやる気が無い。

 それに対しても周りの人間は苦言を申す事もなかった様だ。

 そのままフレデリックが21歳の頃に皇帝が崩御。

 そして当然のようにマクシミリアンが皇帝となり、最初にマグリットを処刑する。


 その後は謂れのない罪でマグリットが処刑されたのを、当然カンバーラント公爵家は納得がいかない訳でマクシミリアンに抗議するも、話さえろくに聞いていなかったみたいだな。その場に俺は居させて貰えないから人伝ではあるが。

 カンバーラント公爵はそこで表向きは従った様に見せて、裏で内乱を起こそうと動くんだ。

 帝国を潰したくない俺はカンバーラント公爵に内乱を止める様に切言した事もあるんだが、受け入れてはもらえなかったよ。


 内乱の準備が進む中、皇帝となったマクシミリアンは愚王となるまで早かったよ。

 今の様子からも予想は付くだろうだろうが・・・

 皇帝となったマクシミリアンは、全てを自分に都合の良い様にした。

 マクシミリアンの周りには自分の言う事に反論しない人物ばかりになり、少しでも苦言を申せば良くて左遷。

 殆どはそこで処刑される。

 マグリットが処刑されるギロチンはずっとあの広場に残され、何度も何度も気に入らないという理由だけで、あのギロチンは使われる事になるんだ。


 帝国の今居る貴族の半数はいなくなり、マクシミリアンに物申す人は居なくなる。

 そんな事をする奴が善政を敷く訳もなく、この豊かな帝国の国庫を使い尽くし税を上げれるだけ上げ、当然民の生活も困窮する。

 その頃には婚約者ではなく、皇后殿下となったジェシカ=ウェルズリー男爵令嬢と共に。

 誰も止めない、いや止められないのを良い事に服や装飾品、それを見せる為だけに毎夜の様に開かれる夜会。

 その夜会も贅を尽くした物ばかり。

 挙げ句の果てには異性交遊までし出す始末。

 マクシミリアンなんかは外に子供まで居たみたいだ。

 責任を持って母子にお金を払う訳でも無く、使い捨てかの様にしていた。

 俺は何度もこのままでは駄目だと言い続けはしたが、何にも変わらなかった。

 むしろ俺さえも処刑したかったんだろうが、流石に俺を理由無く処刑は出来ないみたいだった。

 それは当然だよな。いつだって俺がギリギリの所で帝国を支えているのは流石のマクシミリアンでも知っていたんだろう。

 それでも気に入らないのか、いつも暗殺者には狙われたがな。

 ガタガタになった帝国を立て直そうと毎日毎日公務に追われたよ。

 あれでも俺の弟だからいずれは思い直してくれるのではと、祈っていた。



 マクシミリアンが皇帝陛下となり10年。


 とうとうどうにもならなくなった。


 もう国も貴族も民も全てが限界だった。

 貴族でさえお金はなく、それでもマクシミリアンもジェシカ=ウェルズリー男爵令嬢も危機感さえなかった様だった。


 当然他国はそんな状態の帝国を黙って見逃してはくれはしない。

 今までは外交が上手くいっていたから攻め込まれる事はなかったが、こんな事がなければこの帝国は資源も豊富、国土も広く気候も安定していて人も多い。税収も安定している。

 他国からしてみれば喉から手が出る程、恵まれた場所だからな。



 しかしながらすでに疲弊した帝国に抵抗する術は無い。


 無血開城と言っても良いほど何も出来なかった。



 もうこの頃には誰も愛国心なんて物はないからな。

 仕方あるまい。



 そしてやり直し、その繰り返しだ。

 





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