取り敢えず家族に会います
授業には今の所出る予定なので、今回は図書館に行ってから目的の物を何冊か借りて直ぐに教室に戻る。
この学園は貴族が通う事もあり、なかなかに広い。
しかも休憩時間も結構長く取られている。
貴族がせかせかと時間に追われる事は無い様になっているのである。
それでも少し遠くまで歩いて離れた所でご飯を食べ、少しのんびりしてから、又離れた所にある図書館まで行って本を借りに行った為、次の授業まで時間がない。
流石にこんな初めから授業に遅刻は出来ない。
しかも全ての民の手本となるべき公爵令嬢が、である。
まぁ、サボろう等と考えていたが。
結果としては授業には間に合った。
焦って教室に戻った事もバレてはいない様だ。
優雅な仕草で自身の席に着き借りてきた本を読み進める。
・・・授業が始まってからも。
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フレデリックが教師として来た以外は特に変わった事も無く終わった。
授業が終わってからはお昼休みに借りた本は読み終わったので、図書館に戻りのんびりと本を選んで何冊も借りてきた。
普通なら借りた本を重たい思いをして運ばないといけないが、そこは過去に魔法学者になった事もあるマグリット。
空間魔法を使い、本を全て異空間に入れ、手ぶらで帰路へ着く。
夕食の時間までまだ時間はある為、紅茶を飲みながら借りて来た本を読む。
暫くするとトントンとノックの音がして、ソフィーが扉の前にいるのが気配でわかった。
時間を確認するともう夕食の時間になっていた。
マグリット自ら立ち上がり、扉を開ける。
「お嬢様。
夕食のお時間です。」
「ごめんなさい。
本に夢中で時間に気づかなかったわ。」
「大丈夫です。
公爵様ご夫妻も若旦那様もまだ、食堂には来ていらっしゃっていませんから。」
公爵様ご夫妻は両親、若旦那様は兄である。
ソフィーとマグリット、二人で会話しながら食堂へと向かう。
食堂に着くとまだ来ていないと言っていた三人がもう揃っていた。
マグリットの父である公爵家当主である、ヘンリー・ウェールズ=カンバーラント公爵。
母であるフローラ・カートレット=カンバーラント公爵夫人。
兄であるアレク・イングラム=カンバーラント公爵家次期当主。
「遅れてしまい申し訳ございません。」
カーテシーをしてから自分が座るべき椅子に腰を下ろす。
「大丈夫よ。
みんな先程来たばかりだから。」
母であるフローラが優雅に微笑む。
父はその言葉に小さく頷いている。
この人は無口で殆ど話さない。
ただ目は口ほどに物を言うとはよく言った物で、貴族の割に表情が豊かである。
その顔を見る限り怒ってはいないのがよくわかる。
むしろこの父は自分の子供達が大好きなので、滅多な事では怒ったりはしないのだが。
「マグリットが食堂に先に来てないのは珍しいね。」
兄であるアレクがニコニコと笑顔を浮かべ、御令嬢達が見ればメロメロになりそうな甘い顔立ちの優男である。
「本を読んでいて遅くなりました。」
マグリットが椅子に座ってすぐメイド達が食事を運んで、執事がそれぞれの前に食事をサーブしていく。
(何だかお父様もお母様もお兄様も久しぶりに見た気がするわ。)
昨日はフレデリックとの話し合いの為、早くに食事を終わらせたくて部屋に運んでもらった。
その為十回目の世界で家族に会うのはこれが初めてである。
むしろ四回目のやり直し位から家族には殆ど会ってはいない。
ギロチンで処刑される時位に顔を見た程度である。
別に家族を嫌っている訳では無いし、むしろ好きではある。
それでも・・・・・・
(この公爵家にいるのが耐えれなかった。)
久しぶりに見た三人は何も変わらない。
変わったのはマグリットだけだ。
食事の邪魔をしない程度に会話をしながら、次々サーブされる食事を食べ続ける。
(そういえば、こんな貴族らしい食事も久しぶりね。)
叩き込まれた貴族令嬢としてのマナーは、どれだけ時が経とうが忘れはしない。
なので、誰にも不審には思われはしない。
(今回はお父様達と過ごせるのね・・・・・・)
「あれ?マグリット。
何だか機嫌が良さそうだね?」
マグリットの表情は然程変化していない。
何故か昔からこのアレクという兄は、マグリットの感情を感じ取るのが得意で、いつも表情には出ていない筈なのに気持ちを言い当てたりする。
「えぇ。
皆んなでご飯を食べているので。」
満面の笑みでマグリットがそう答えた。




