第43話 おやすみなさい
『例えば……予選でお二人をダンジョンで邪魔してきた少女なんかと入れ替わっているのでは……?』
「少女……?」
……あれか、あのS級モンスター並に強かった機械のような少女だっけ?
いや、実際にモンスターだったんだっけ……?
「でも、入れ替わるってなんだ? あれはモンスターだろ? モンスターと入れ替わるなんてこと、できるのか?」
『……普通のモンスターであれば、無理でしょうね。……でも、もしもあれが人工のモンスターならどうでしょうか?』
「人工?!」
唯が言うには、モンスターの改造ができるなら作ることも可能なのではないか、とのことだ。
流石に俺は眉を顰める。
「そんなのあまりにも現実からかけ離れすぎてないか? 前代未聞だぞ?」
『あくまで憶測ですよ。でも……そういう可能性もあるので、気をつけてください。特に、最近、突然蓮さんに接触してきた人物なんかには』
最近、突然接触してきた人物。
俺は、1人の少女の顔が脳裏をよぎる。
いや……まさかな。
「そんなわけ……居ないに決まってるだろ」
俺は自分を言い聞かせるように、呟く。
疲れているだけだ、今日は早く寝た方がいい。
俺は、ベッドに横になって目を瞑るのであった。
――――――――――――――――
【花火視点】
「セナちゃん! この前ぶりだねー!」
私は、原宿駅前にて黒のワンピースに身を包んだ少女に、駆け寄る。
彼女は、私に気づくと表情を綻ばせる。
「この前ぶり……花火ちゃん……!」
「にしても、セナちゃん……服、凄い似合ってるね! やっぱり素材がいいからなのかな?」
「あ、ありがとう……は、花火ちゃんも可愛いよ……?」
少し頬を赤らめながらボソッとそう言ってくるセナちゃん。
え……可愛すぎない? 抱きしめたいんだけど……。
「と、ところでさ! セナちゃんは今日、オススメのスイーツのお店があるんだよね?」
「うん……! 私のお気に入りの場所……絶対、花火ちゃんも気に入ると思う」
「本当!? じゃあ、早く行こうよ! 私のお腹がスイーツを求めてるんだよねー!」
「うん……」
さっきまで焼肉を食べていたから、甘いものが食べたかったんだよね……!
この前のラーメンも美味しかったし……今回もきっと美味しいんだろうなぁ……。
私は、お店に向かって歩いていくセナちゃんの横を歩いていく。
すると、セナちゃんが私に話しかけてきた。
「ねえ、花火ちゃんは……何の食べ物が好きなの?」
「私? 私は、ラーメンとか焼肉とかは勿論、辛いのも甘いのも美味しかったらなんでも好きだよ? ……あっ、苦いのは苦手だけどね」
「ふぅん……そっか……」
すると、私たちは大通りから、小道に入る。
いや……これは小道というよりも路地裏?
もしかして、隠されし名店ってやつだろうか……?
「せ、セナちゃんは何が好きなの?」
私がそう訊き返すと、セナちゃんはこちらを振り返る。
そして、私の顔を覗きながら、口角を上げ――
「今まで信じてた人に、裏切られた人の……絶望の表情、かな?」
刹那、セナちゃんから……この世のものとは思えないドス黒いオーラが吹き出す。
「え……? ど、どういうことかな……?」
「言葉通り、だよ? 花火ちゃん……おやすみなさい」
彼女はふふっと笑いながらそう言うと――次の瞬間、どこかからか、セナちゃんは私の身長くらいある大鎌を取り出した。
そして、大鎌を私めがけて一振り。
「あ……」
私の意識は、徐々に朦朧としていくのであった。




