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ダンジョン配信者のカメラマンの成り上がり〜事故で実力がバレた俺は『影の最強』と言われてバズってるんだが?!〜  作者: 水葉わいん/わいん。


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32/50

第32話 あれ? 早川くーん? そんなに顔を真っ赤にしてどうしたの? ほら、カメラの前だよ? 笑顔、笑顔!



 

「――ははっ、オレをお呼びか?」


 木の影から姿を現した早川。


 しかし、彼の目はなぜか真っ赤に染まっていた。


 「いやぁー、超有名ダンジョン配信者に探されるなんて、オレも人気者になったもんだなぁ」


はははっと彼は笑う。


しかし、彼の目の奥には強い憎しみが込められていた。


「ふふっ、そっちこそ随分と私にお熱みたいだね? でもぉ……ごめんね? そんな情熱的な目で見られても私にはもう、心に決めた人が居るの」


「ッ……?! てめえッ……あの時、オレをコケにしただけじゃ飽き足らず……!」


早川は沸騰したように顔を真っ赤に染めると、剣を抜き、私に向かって構えてきた。


瞬間湯沸かし器かな?


私も、彼と同じく剣を構えると――


「――じゃあ、縛りプレイ、初めていくねー?」


持っていた剣を遠くの草むらに放り投げた。


そして、カバンから配信用ドローンを取り出し、配信をつける。


「は?」


「――今日の企画は『探索者バトアリで因縁の相手に武器もギフトも使わずに勝ってみた』! ……実は、前に蓮君がコイツに迷惑をかけられたことがあってさー! ちょぉーっとイライラしてるんだよねぇ……ってなわけで、今日は武器とギフトを縛って倒していきまーす!」


私はそう言うと、ドローンに向かってピースした。


「あれ? 早川くーん? そんなに顔を真っ赤にしてどうしたの? ほら、カメラの前だよ? 笑顔、笑顔!」


「て、テメェ……! まだ俺をコケにするつもりかァ!!!」


あれ? おっかしいなぁ……目立ちたがりな早川君なら、笑顔でピースしてくれると思ったんだけどなぁ……。


……なんてね。


このフィールドでは、相手に怪我を負わせることができない。

ならば、精神的ダメージを与えてやろうと思ったのだ。


最初は、拘束してから指の爪を全部剥がしていったり、腕をもいでいったりしようと考えていたのだが……それはクールじゃない。

何よりも、ヒバナとしてのイメージダウンに繋がってしまう。


私はエンターテイナーだ。

ちゃーんと、観客も楽しませなきゃね?


この方法なら、早川のプライドを傷つけながら、みんなを楽しませることができるのだ。


「絶対に……殺すッ!!!」


早川は、殺気の籠った目つきをして、突撃してくる。


私のそばまで近づいた彼は――


「死ねェッ!」


そう叫びながら、剣を振り下ろしてきた。


いや……振り回していると言った方が正しいだろうか?


ロクな技術も感じられない、怒りのままに振り回された剣。


避けるのなんて、造作もない――


「っ?!」


刹那、死が私の脳裏をよぎった。


私は咄嗟にバックステップすると、首筋に痛みが走った。

胸元のブローチに視線を向けると、ブローチの光がほんの少しだけ、弱まっていた。


私が……あんな粗雑な剣に傷を負わされた……?!


「へっへ……どうやら、アレの効果は十分あったようだなぁ」


早川は息を荒くしながら、そう言う。


その目は、さっきよりも真っ赤に充血し、顔も腫れていた。


まさか――


「君……もしかして、ドーピングしてる?」


「っ……?! なんのことだか……」


「――今すぐやめた方がいいよ。この闘技場内では全てのダメージを受けないわけじゃない。外傷は受けないけど……毒やめまいとかの内傷は受けるからね」


「だから、なんだ? ……オレはテメェらをボコボコに出来ればそれで良いんだよ……怪しいクスリでもなんでも使ってやるよ……!」


そう言う早川の目は、明らかに正気じゃなかった。

まるで、モンスターのような目つきになってしまっている。


怪しいクスリ……どんな副作用なのかは知らないけど、早く止めないとコイツ、本当にモンスターになるんじゃないの?

私はそれでも構わないのだけど――


「ああもう……! コイツが死んだら、蓮君悲しむんだろうなぁ……」


私は、ため息をつくと、拳を握りしめる。


とはいえ、ここで縛りプレイをやめるのはエンターテイナーとしての私が許さない。


だから――


「拳だけで、君の目を覚ましてあげるよ」


私は、地面を強く蹴り、一瞬で早川に肉薄すると


「は……? へぶしッ!?」


彼が私を視認するより前に、その顔面をぶん殴った。



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