表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョン配信者のカメラマンの成り上がり〜事故で実力がバレた俺は『影の最強』と言われてバズってるんだが?!〜  作者: 水葉わいん/わいん。


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
18/29

第18話 作戦なんて、あるわけないじゃん!




「――〈断裂〉」


「グギャァ……」


 すると、赤竜の首がぼとりと地面に落ち、赤竜は光の粉になって消えていった。


 俺はドロップアイテムを拾いながら、チラリと花火の方を一瞥すると――


「そうそう、それでさ、この前、蓮君がさぁ――」


 カメラを持ち、何か、雑談をしていた。


 このアマ……俺のことすら見てないじゃねえか!


〈コメント欄〉

 :いやぁ、普通の雑談なのにやけに面白く感じるなぁ

 :それどころか、なんだか血生臭い匂いも感じるわぁ

 :どうしてやろなぁ……笑


 コメント欄を確認すると、そんなことを言われていた。


 そもそも、この配信は雑談配信じゃないだろ……!


 俺が頑張ってモンスター戦っているんだから、本来ダンジョン攻略配信であるべきでは……?!


「絶対に、帰ったら飯奢らせてやる……!」


 俺は口を尖らせ、ずんずんと奥へ進んでいく。

 すると、数分後――


「キシャァァァァ!!!」


「〈断裂〉」


 大きな蜘蛛のS級モンスター――ジャイアントスパイダーが突然、天井から現れたため、断絶で首を切り落とし、瞬殺する。


 さてと……これで今の探索者ポイントは、幾つになっただろうか……。


「おっ、丁度100万ポイントか」


 俺は探索者証を見ながら、そう呟く。


 倒したモンスターとポイントは全て、自動的にこの探索者証に記録される。


 そのため、これを見れば、あとどれくらいモンスターを倒せばB級になれるかがわかるのだ。


 残り50万だから……あとSS級を5体か。


「よし、とっとと5体倒して帰るぞぉ!!!」


 俺は自分に喝を入れた。


 そんな時だった。


 ――ゴゴゴゴゴゴ


 通路の先からそんな轟音が聞こえてきたのは。


「な、なんだなんだ?」


「――蓮君、気をつけて! 只者じゃない気配がする……!」


 俺たちは身構え、通路のじっと見つめる。


 そこからは案の定、モンスターが現れた。


「GYAOOOO……」


 口から漏れ出す紫色のブレス。全身を覆う禍々しい紫色の鱗。信じられないほどの巨体。

 こいつは確か――


「毒竜……?」


 花火がボソリとそう呟いた。


 ああ、そうだ、こいつは毒竜……《《SSS級》》モンスターだ。


「花火……気をつけろよ?」


 俺は身構える。


 別に、SSS級モンスターと戦うのは初めてではない。


 何度か対決し……全て勝っている。

 しかし、SSS級の中でも毒竜と戦うのは初めてだった。


「れ、蓮君……! ここは私も戦うよ! あいつの《《ブレス》》には絶対に触れないようにね!!!」


 花火はカメラを地面に置くと、俺の前に出て剣を構える。


 花火の奴……なんだか、焦っている?

 いや、何かを怖がっているのか?


「わ、わかった……でも、花火も気をつけろよ?! 危なくなったら絶対に引けよ?!」


「勿論! ……絶対に死んでやるもんか……!」


 そう言う花火の目からは何か、執念のようなものが伺えた。


〈コメント欄〉

 :毒竜?!

 :SSS級じゃん……

 :やばいだろ、流石に逃げろッ!

 :いや、この2人ならいけるだろ

 :でも……毒竜ってヒバナの……


 俺は、そこでコメント欄の表示を切った。


 SSS級相手にコメント欄を見ている暇なんて無い。


 俺たちはしばらく、毒竜と睨み合う。


 その静寂を先に破ったのは――


「絶対に……殺すッ!!!」


 花火の方だった。


 花火は、地面を強く蹴ると、目にも留まらぬ速さで毒竜に肉薄したのだ。


 ギフト:〈神速〉の力だ。

 花火は今回、最初から全力で行くようだ。


 花火は毒竜の前で大きく飛び上がると――


「〈ハイ・グラビティ〉!」


 重力魔法で落下速度を速め、ハンマーを毒竜の頭に叩きつけた。


 しかし、流石はSSS級モンスター。花火の攻撃を受けても鱗が少し凹むだけだった。


「GYAOOOO!!!」


 毒竜は攻撃されたことに憤怒し、花火を振り払おうとブンブンと頭を振り回す。


「っ……」


 そのせいで、花火は一旦、距離を取ることを余儀なくされた。


 ……不味い、この距離は毒竜が最も得意とする距離だ。

 だって――


「GYAOOO……」


 この距離は毒竜のブレス――触れただけで相手を即死させる最強のブレスを放つには、最適な距離なのだから。


「GYAOOOOO!!!!!」


 毒竜は口を大きく開くと、毒々しい紫色のブレスを花火めがけて放った。

 物凄い速さでブレスは花火に迫ってくる。


「当たるもんか……!」


 花火は横に大きく跳び、簡単にそのブレスを避けてみせた。


 例え、物凄い速さであろうと〈神速〉によってどんな速さにもなれる花火には関係ない。


 花火に――攻撃は当たらないのだ。


 毒竜はなんとか花火にブレスを当てようと首を動かし、ブレスの方向を変えるが……一向に花火に当たる気配は無かった。


「GYAO……GYAOOOOO!!!」


 すると、今度は花火を諦め、ブレスを俺の方向に放とうと、口を大きく開く。


 しかし、それを許す俺ではない。


「〈短転移ショートワープ〉」


 俺は空間魔法で、呑気にブレスを溜めている毒竜の目の前に転移すると――


「〈断絶〉〈断絶〉〈断絶〉!!!」


 何度も何度も、毒竜の首めがけて〈断絶〉を放った。


 断絶は鱗を貫き、首に幾つものの赤い線を残すが、首を断ち切ることはなかった。


「くそッ! 魔法耐性が高すぎる……!」


〈断絶〉は空間を歪ませることで、対象を切る魔法。本来であれば、どんな物であっても切れるはずである。


 しかし、毒竜のような高ランクのモンスターには魔法耐性という特殊な防御力が存在するせいで、そういうわけにはいかないのだ。


 どうやら、全身に人間には認識できない特殊な力が巡っており、それによって魔法に抵抗できるらしい。


 しかし、確実にダメージは与えられているのだ。

 このまま頑張れば、絶対に勝てる……!


 そう思っていた時だった。


「GYAOOO……」


 攻撃されたことに憤怒したのか、毒竜は大きく口を開けると、ブレスを放ちながら、体をぐるりと360°回転させていく。


 これによって全方向にブレスを放とうとしているのだ。


 俺は咄嗟に毒竜の体の下に潜り込み、ブレスを回避したが――


「花火ッ!」


 花火はそういうわけにはいかなかった。


 花火は毒竜と中途半端に距離を取っていたせいで、そうすることができなかったのだ。


 今から、毒竜の下に潜り込もうとしても、ブレスに当たってしまうことだろう。


 クソっ……それなら……!


「〈転移門ワープゲート〉」


 俺は、空間魔法の〈転移門ワープゲート〉によって毒竜の下と、花火の近くの空間を繋げた。


 すると、花火は咄嗟に〈転移門ワープゲート〉に飛び込み、ブレスを回避。


「わっ……蓮君、気が利くじゃん! ハンマーで全部吹き飛ばすところだったよ……!」


転移門ワープゲート〉から出てきた花火は、笑いながら礼を言う。


「結局、自分でなんとかなるのかよ……! それで、何か倒す策はあるのか?」


「私を誰だと思ってるの? 最強と名高いヒバナだよ?」


 おお! 作戦があるのか!?


「――作戦なんて、あるわけないじゃん! 頑張って倒す……それだけだよ?」


 ハンマーを持ち上げ、ウィンクをしてそう返した。


 うん、なんとなく、そんな気がしてたわ……。


 毒竜がブレスを吐き終わった頃、俺たちは目配せし――


「「絶対に死ぬなよ?(絶対に死なないでね?)」」


 同じタイミングで毒竜の下から飛び出した。


「〈ロー・グラビティフィールド〉」


 花火がそう唱えると、俺の体が軽くなる。


 どうやら、重力魔法で周りの重力を弱めたらしい。


 俺たちはそれを合図に、毒竜の真上へ出来る限り高くジャンプ。


 すると、約20m――ダンジョンの天井スレスレまで飛び上がることができた。


 俺たちはもう一度、目配せをすると――


「〈ハイ・グラビティフィールド〉」


 花火が魔法で重力を強くした瞬間――俺たちは天井を思いっきり蹴り、毒竜めがけて落下していく。


 花火はハンマーを、俺は剣を、構えると――


「GYAOOO?!」


 毒竜の頭めがけて武器を振り下ろした。


 まず、花火が毒竜の頭めがけてハンマーを振り下ろすことで頭にある全ての鱗を砕き、毒竜自体にもダメージを与える。


 俺はそれに続くように毒竜の脳天目がけて剣を突き刺した。


 とんでもない速度で繰り出された剣は、毒竜の頭を貫通。


「GYAOOO……」


 小さな呻き声をあげると、毒竜は地面に倒れ込んだ。


 その後、体は光の粉になって消えていく。


 討伐――俺たちは無傷でSSS級モンスターの毒竜を討伐したのだ。


 ――ピピッ


 すると、何かの電子音が耳に入った。


「まさか……」


 俺はポケットから探索者証を取り出すと――


『探索者ランク:B級 取得ポイント:1500000』


 探索者証にはそう書かれていた。


 どうやら、俺は探索を開始して3時間で、B級に上がったらしい。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ