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ダンジョン配信者のカメラマンの成り上がり〜事故で実力がバレた俺は『影の最強』と言われてバズってるんだが?!〜  作者: 水葉わいん/わいん。


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第17話 背景が世界一意味わからん雑談配信



「すみません、探索者バトルアリーナへのエントリーをお願いできますか?」


 その後、唯と別れた俺たちは日を改めて、探索者バトアリのエントリーのために、探索者協会に来ていた。


 唯の話によると、探索者協会でエントリーができる、とのことだったからだ。


「わかりました。では、探索者証の提示をお願いします」


「……た、探索者証?! 探索者証がいるんですか?!」


 探索者証……それはダンジョン協会が発行する探索者であることを証明するカードである。

 これがあることによって、探索者ランクが付いたり、武器・防具の貸し出しなどのサポートを協会から受けられる。


 そのカードを俺は……持っていなかった。


 い、いやだって! ダンジョンに潜るだけなら、そんなもの要らないし……。


「どうかいたしましたか?」


「……すみません、俺、探索者証を持っていなくって……」


「わかりました。では、発行しましょうか。発行すること自体は簡単ですから……」


 しかし、そこで受付の方は苦い顔をする。


「でも、現在、探索者証がない……ということはエントリーは難しいかもしれません」


「どうしてですか?」


「実は、探索者バトアリに参加するためには、パーティの全員がB級以上でないといけないんですよね……」


「っ――?!」


 つまり、どういうことか。


 俺は探索者証を持っていない=探索者ランクが無い。

 探索者証を発行したとしても……最初は、探索者ランクは一番下であるF級から始まるのだ。


 俺はどうにかして、この短い期間でF級からB級まで上げなければならない。


「探索者バトアリのエントリー期限は3日後です。いくら強くても、それまでにB級に上げるのは少し難しいかと――」


「――SS級を何体、倒せばいいの?」


 その時、横から花火が会話に入ってきた。


「え? ど、どういうことでしょうか?」


「だ、か、ら! SS級を何体倒せばB級になれるの?」


 受付の方は困惑で目をぱちぱちさせる。


「え、ええっと……SS級を討伐して得られる探索者ポイントは10万。F級からB級に上がるために必要な探索者ポイントは150万ですから……15体、15体倒せばB級になれます」


 探索者ポイントというのはゲームでいう経験値のようなものだろう。

 これを貯めれば、ランクが上がっていくわけね。


 にしても、15体か……。


「蓮君、いけるよね?」


「まあ……頑張れば1日でいけるな」


「い、一日で?! 嘘……流石にそれは難しいんじゃ……」


 受付の方は驚愕で目を見開いていた。


「まっ、蓮君は『影の最強』って言われてるくらいだし? それくらい余裕だよ〜!」


 どうして花火が自慢げなんだ……?


 そして、『影の最強』ってワードをこんな公共の場で言うな?! 

 恥ずかしいし、もしかしたら、騒ぎにも――


「か、影の最強だと?!」


 横で、何かの手続きをしていたであろう他の探索者が驚愕で叫んだ。


 あ、終わった。


「――なんだと? あの影の最強?!」


「――どけどけ! どこに居るんだ?!」


「――影の最強が居るってことはヒバナたんも居るのか? はあはあ、ヒバナたん……!」


 不味い不味い不味い……!

 場は騒然とし、俺たちを探す者で溢れかえっていた。


「あ、あの! 早く探索者登録してもらってもいいですか?!」


「は、はい! では、この紙にご記入ください……!」


 俺は、紙を受け取ると全身全霊の力で高速で書いていく。


 そうすること数秒、俺は書き終わった紙を受付の人に渡す。


「では、すぐに発行してきます!」


 その後、なんとか俺は他の探索者に囲まれることなく、探索者証を手に入れることができた。




 ――――――――――



「はあ……疲れたぁぁぁ……」


 その後、俺たちは探索者協会から急いで逃げ出し、コンビニの前に来ていた。


「は、花火……! 変なことを言うなよ!」


「ごめんって……まさか、こんなことになるとは思ってなくて……」


 花火はてへぺろと言った感じで、謝る。


 反省……してないね?


「それはそうとして、モンスターを倒しに行くんでしょ?」


「しれっと話題を変えられた……?」


「ほら! B級にならないといけないんだから、早速モンスター狩りに行くよ!」


 花火は俺の手首を掴んだかと思えば、どこに向かって駆け出した。


「お、おい?! どこに行くんだよ!」


「もちろん、ダンジョンに決まってるじゃん!」


「ダンジョンって……! あまりにも急すぎないか?」


「いいじゃん、蓮君の空間魔法に武器とか防具は収納してあるわけだし」


 確かに、俺の空間魔法であるストレージに俺と花火の武器や防具は収納されているため、今からでもダンジョン探索はできるのだ。


「わかったよ……やればいいんだろ? やれば!」


 結局、俺たちは渋谷ダンジョンに行くことになった。



 ――――――――――――――


「それで、どうして花火がカメラを持ってるんだ?」


 俺はダンジョンの中で口を尖らせる。


 目の前には俺がいつも使っているカメラを持った花火が。


「だって、私は探索者ランクはSで、上げる必要がないからね! 今日は蓮君がメイン……ってなわけで、折角なら配信した方がいいでしょ?」


「何が『折角なら』だよ!」


 配信に映るのは、モンスターと戦うのとは違ったストレスがあるというか……。


 しかし、止めてもやめてくれそうになかったので、俺は諦めて剣を構え、ダンジョンの奥へ進んでいく。


〈コメント欄〉

 :来ちゃあああああ!!

 :今日はカメラマン君がメインなんだって?

 :ヒバナは今日、カメラマンってマ?

 :まあ、カメラマン君もカメラマン君で見てておもろいからいいや


 すると、コメント欄が勢いよく流れていく。


 ちなみに、俺たち、ダンジョン配信者がこのコメント欄を配信中にどうやって見ているのかというと……そのわけは、俺が今、耳につけている特殊なイヤリングにあった。


 これはクロノテクノ社が魔石やドロップアイテムを元に作った道具であり、これを使うことによってコメント欄が目の前にホログラムのようにして表示されるのだ。


 勿論、念じれば消すことだってできる。


「そうだ、視聴者のみんなに一つお知らせがあるんだった!」


〈コメント欄〉

 :なんやなんや?

 :結婚報告?

 :おめでとう……! お父さん、嬉しいよ……!

 :¥50000 おめでとう、ご祝儀やで


「い、いや、結婚じゃないからな?!」


 俺は急いで訂正する。

 てか、ご祝儀送ってきてる人もいるし……早とちりしすぎだろ……。


「実は私たちで探索者バトアリに出ることにしたんだよね」


〈コメント欄〉

 :うおおおおおお!!!!

 :激アツすぎ!

 :おお! 探索者バトアリってあれか!

 :めっちゃ楽しみなんだけど!!

 :……こいつらと当たるやつ、可哀想だな……ww


 どうやら、視聴者からの反応はかなり良いようだ。


 そういえば、結構、人気なんだっけか……探索者バトアリ。


 すると、その時、通路の先から物音がした。


「ブモォォォォォ!!!」


 オークだ。

 しかし、普通とは違い、真っ黒で禍々しいオーラを纏っていた。


 あれはSS級のダークオークだ。


 普通のオークとは桁違いな膂力と巨体……そして、物理攻撃を無効化してくるという特性を持つモンスターである。


 ダークオークは俺を見つけるや否や、突撃してくる。


 俺はタイミングを見計らって大きくジャンプすると――


「〈断絶〉」


 断絶を発動する。


 すると、ダークオークは糸が切れた人形のように地面に倒れ、光の粉となって消えていった。


 物理攻撃を無効化してくるだけのダークオークと、俺の〈断絶〉の相性はとても良いのだ。


〈コメント欄〉

 :なんか、ヒバナが雑談してる横でSS級モンスターが死んでる気がするんだけど

 :背景が世界一意味わからん雑談配信

 :なんだろう……常識が壊れていく音がする

 :もう意味がわからんww


 俺が知らない間に、視聴者には、そんなことを言われていた。


 俺、変なことしてないよな?



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