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恋するエンペラーは神の倫理に立ち向かう。  作者: 蓮太郎


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11/12

決意。

倫達は、富士山の麓へと到着していた。


「玲夢、本当に大丈夫なのか?」

倫は、玲夢に詰め寄る。


「大丈夫だ。私の意識は、あいつに負けたりはしない。」


「信じるからな。」


「あぁ。終わらせるぞ、倫。」


申告な空気が倫達を包み込む。


「おい!」

麗央は、翔太が自分の肩にまわした腕を払いのける。

「・・・。」

翔太は、めげず、麗央の肩に腕を回す。

「おい!お前はやはりバカなのか!

空気を読め!」


「無理だよ!親友の愛する人が命をかけてる場面で、俺は一人黙って耐えるなんてできない!精神がぶっ壊れそうだ!」


「はぁ。お前はどれだけ小心者なのだ。

耐えろ!」


「無理!絶対無理!」


「ゔ、ゔん。」

白夜は咳払いをする。

「麗央、その男を黙らせてくれ。」


麗央は、兄の難しい要求に、頭を抱えていたが、思いついたように翔太を抱きしめた。

「こ、これで大人しくできるか?」


「なんとか。」

翔太は、嘘とか冗談無しに、

麗央に抱きしめてもらえないと、耐えられそうになかった。


「ははっ。情けない男だ。」

玲夢は、翔太を見て笑った。


「残念だったな。

俺も耐えられそうにないんだ。」

倫は、玲夢を抱きしめた。


玲夢が周りを見渡すと、兵士達は、

男女問わずに抱きしめ合い、白夜も頭をかかえ、小刻みに震えるている。



「まったく。私のまわりには、情けない男しかいない様だ。」

玲夢は、恐怖に怯える心が少し救われた気がした。


「倫、いってくる。」


「うん。必ず戻ってきてくれ。」


「当たり前だ。」

玲夢は、そう言うと、目を閉じた。


・・・。



「アース、約束通りきたぞ。」


「やぁ!ちゃんとまた来たんだね。」


「約束通りきたのだ、薬を消滅させる方法を教えろ!」


「いいよ。まぁ精々なやむといい。

薬の・・・。」





倫達が玲夢が目覚めるのを待っていると、玲夢は、まぶたをゆっくりとひらいた。


「・・・。」

玲夢はとても悲しそうな表情をしている。


倫は、玲夢を抱きしめた。


「ダメだ。薬の消滅は無理だ。

諦めよう・・・。」

玲夢の目じりからは、大粒の涙がこぼれ落ちた。


「お前、感情が戻って、嘘がつけるようになったけど、下手すぎ。」

倫は、玲夢を抱きしめていた腕にちからを入れ、強く抱きしめた。

「・・・何があった?」

倫は優しく聞いた。



「・・・嫌だ。」


「何があったかまず教えてくれ。

じゃないと何も前に進まないだろ?」



「だから!前に進めたくない!」


「・・・倫。」


「何だ?」


「アースの言った事が本当かを知りたい。」


「俺が何かすればいいのか?」


「あぁ。」

玲夢は、倫の後ろを指さした。

「あの湖に手をつけて、アースに干渉してみて欲しい。」


「わかった。」

倫は、湖へ歩き膝をついた。

右手を湖につけ、目を閉じる。

「・・・アース干渉。」


「あーーー!!!!」

倫の中にアースの記憶がなだれ込む。

体も脳も心も全て引き裂かれ、

バラバラになりそうな感覚に襲われる。



真っ暗な空間。

暗い暗い、闇の中。

一つの光が倫に語りかける。


「良く来たね。エンペラー。」


「お前は・・・アース・・・か?」


「そうだよ。」


「もうすぐ災いがやってくる。

・・・

すぐそこまで来てるよ。

・・・

僕の力を使うといい。

・・・

君はカギだ。

・・・

人類の未来を君が握る。

・・・

君の好きにするといい。」


一方的に話すと、アースは消えた。


倫は、我にかえった。


「ハァハァハァ。」


「倫・・・大丈夫か?」

玲夢が心配そうに問いかける。


「大丈夫。玲夢、俺がカギなのか?」


「・・・。」

玲夢は言葉がでなかった。

言葉の変わりに瞳から涙がこぼれ落ちる。


「玲夢、後で詳しく教えてくれ。

今はあいつに集中する!」



玲夢が倫の視線の先を見ると、

一人の男が立っていた。

「何だあいつは?!」


玲夢と兵士達は身構える。


「翔太、あいつ多分政府軍だ。

知ってるか?」


「知らない。多分、四天王の上に一人いるって噂があった。

恐らくそいつなのかもしれない。」


「政府軍最強って事か。」


男は両手を広げ、話し始める。


「やぁ~はじめましてだね。

裏切り者とレジスタンス諸君。」

男は口を開いた。


「何しに来た?」


「何しに?君たち全員を消しに来た。

確信に迫りつつある君たちは、危険だよ〜。さぁ!政府軍の未来のため、

消えてくれ!

・・・ストップ。」


男の一言で、時が止まる。


男はゆっくりと白夜の前まで歩いた。

「こんな奴らに四天王は全滅。

バカバカしい。」


男は、腰にさした刀を抜き、

白夜に向かって振り上げる。


「あれ〜?」


男は、刀を振り下ろそうとするが、動かない。


「今から大事な話を未来の嫁とするんだよ。

邪魔すんな・・・殺すぞ。」


「わぁ!」


倫の鋭い視線と殺気に、男はたまらず距離を取る。


「お前!何故だ!何故動いている?!」


「俺はエンペラー。

お前ごときが、俺の時間に干渉など許されない。」


「なっ、何を言っている!

ストップ!ストップ!止まれー!」


「うるさい・・・

耳障りだ・・・

跪け。」



カチカチカチカチ。

倫が男に命令すると、

男はひざまづいた。

そして、時間が動き出しす。


翔太達は何が起こったか理解が追いついていない。


「何だ?奴はどこへ?」


「倫!どこだ!?」


玲夢が、叫ぶ。


「あそこだ!」


一人の兵士が指をさす。


指差す先では、


倫の前に男がひざまづいている。


「何が起こったんだ?翔太、貴様も分からんのか?」

麗央は、翔太に問い詰める。


「噂だけど・・・あの男の能力は、時間。恐らくあいつは、時間を止め、お兄様の首を取ろうとした。

それを、倫が何かして、あの状態?」


「なるほど。何かか・・・。

あと、お前のお兄様ではないぞ。」


この状況でも、白夜は不機嫌そうに翔太を睨んでいた。


「倫!」

玲夢が叫んだ。



「時間、動いてるみたいだな。」

倫が男に話しかける。


「まっ、待て!わかった!私はもうお前達には手だししない!見逃してくれ!」

男は命乞いをする。


「手だししないだと?ずいぶんと上から話すじゃないか。

お前の能力は危険すぎる。

悪いが消えてもらう。」

倫は男を睨見つけた。


「すっすまない!申し訳ない!ゆるし・・・」

「死ね。」

倫は、男の叫びを遮る様に、男に命令した。

男は手に持った刀で自らを突き刺し、

絶命した。


「何度味わっても、人に手をかけるのは最低な気分だ。」


倫は、ゆっくりと白夜の元へ向う。


「白夜、一晩俺にくれ。明日の朝、この場所にまた集まろう。

恐らく、政府軍に攻めてくる力はもう無い。

今日は安心してみんな眠るといい。」


「倫、わかったよ。」

白夜は、倫が悲しそうなのが気になったが、少しでも玲夢との時間をあげたいと思い、直ぐに解散の令を出した。


ザー・・・ザー・・・ザー。

「・・・玲夢。」

倫と玲夢は、湖の浜辺を二人で歩いていた。

「何だ。」


「手・・・つなご。」


玲夢は黙って手を差し出す。

倫は手を握り、また歩き出す。


夕日に照らされた湖が輝き、

二人の心を少しだけ、和ませる。


二人はしばらく黙って歩いた。

これまで二人で過ごした時間を思い出しながら。


「玲夢、この辺りにテント出そうか。」


「あぁ。任せる。」


倫は、慣れた手つきでテントを組み立てた。


二人は、テントの中に座り、

湖を眺めている。


「倫、こんな隠れた場所にテントを出して、お前は私をどうにかするつもりか?」


「したいな〜・・・。

でも、俺、決めてたから。

お前の記憶がちゃんと全部戻って、

それでも俺といたいって思ってくれたその時、俺はお前をどうにかするって。」


「何故だ!今日だ!今すぐだ!

私を抱いてくれ!」


「なんだよ。発情期か?」


「茶化すな!お前は明日死ぬ・・・。」

興奮した玲夢は、口を滑らせた。


「やっぱり・・・そう言う事か。」


「はぁ。全て話す。」


「あぁ、頼む。」


「お前は、湖でアースの力を使う事ができるようになったな?」


「そうだな。」


「アースの力とエンペラーの力の融合は、薬の効力を消す準備の様な物だ。」

玲夢は、山を指差す。

「あの山にある、神社のほこらの祭壇を動かすと、開けた空間があるそうだ。

お前がその空間にある光る石に触れ、干渉すれば、全ての薬の効力を消す事ができると奴は言っていた。」


「そうか。何故それで俺は死ぬんだ?」


「ぐすんっ。」

玲夢は、耐えきれず泣き出した。

「嫌だー!」

玲夢は倫に抱きついた。

「死なないで欲しい。お願いだ。」


「玲夢、落ち着いてくれ!

教えてくれ。なんで俺が死ぬのかを。」


「わかった。

お前の能力、エンペラーの副作用は、

生死逆転。お前は薬を打たれた時、死んでいた。だから、お前は今生きている。

だか、薬の効力が無くなる時、また生死逆転が起きるとアースが言っていた。

お前は今生きている。

だから・・・。」


「そうか・・・。」

倫は玲夢を抱きしめかえした。


「・・・そうか、そうか。そうか・・・。

死にたくないな〜!」

倫も半信半疑だった自分の死が、確信へ変わり耐えきれず涙を流した。

「俺、玲夢と幸せに暮らしたい。

ただそれだけなのに・・・。

エンペラーの力なんて、なんの約にも立たないじゃねーか!」


「そうだな。

私も倫と幸せに暮らしたかった。

お前・・・覚悟を?」


「あぁ。俺がエンペラーとして、理性を保って世の中を治めたとしても、

俺が死んだ後、大きな力がなくなった世界には、必ず争いが起きる。

そして、今の人類が本気でやりあったら、確実に人類は滅ぶ。

アースが記憶を俺に流し込んだのは、

それを伝えるためだったんだと思う。

俺が幸せになっても、俺達の子供や孫にそんな世界は見せたくない。」


「そうか。

私も覚悟をきめる。

もし、お前が明日死んでしまったら、

お前の後を追いたい。

それだけは許して欲しい。」


「ダメだ。」


「何故だ!私の命だ!決めるのは私だ!」


「玲夢、俺の分まで生きて欲しい。

俺は、俺じゃない誰かとお前が幸せになっても、化けて出たりはしない。

お前は、俺と一緒に幸せになっているって思って生きろ。

生きるんだ!」


「グスン。

逆の立場なら・・・私もそう思っただろう。わかった・・・。」


二人は横になり、長い長い口づけをした。

二人の目じりには、涙が溜まっては、

流れていた。


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