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恋するエンペラーは神の倫理に立ち向かう。  作者: 蓮太郎


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12/12

アースの許した世界。

倫は、眠れなかった。

いや、眠らなかった。

一晩中、静かに泣いたり、

笑ったり、

腕の中で眠る玲夢の寝顔を見ていた。


テントに朝日があたり、

朝を告げる。


玲夢がゆっくりと目をあけた。


「おはよ、玲夢。」


「ぐすん。ぐすん。

倫・・・。私を一人にしないでくれ・・・。嫌だ!何故お前なのだ!

何故・・・。」


「昨日いっぱい話しただろ?

俺はいつもお前のそばにいるって思え。

ちゃんと幸せに生きて欲しい。」


「わぁーん!り〜ん!」

二人は、強く、強く抱きしめあった。


しばらくそうしていた。

出発の時間が迫る。

倫は起き上がり、テントをしまう。



「いくぞ玲夢。」


「・・・わかった。」


二人は昨日の場所へ歩いて向かった。


「倫、おはよ!

お前、ひどい顔してるぞ!」

翔太はわざと明るく演じる。


「翔太、大体わかってるよな?

今日までありがとう。」


「・・・本当に、いいのか?」


「あぁ。もう決めたから。」


「倫、すまない。私がエンペラーを摂取できてさえいれば、君にこんな・・・」

「白夜、これは運命。いや、アースの描いた世界。あらがいようは無い。

いくぞ。」


「わかった。」

白夜は、覇気なく答えた。


ザァー。

木々が風に揺れている。

神社の鳥居をくぐると、

空気が一変した。

神聖な、どこか荒々しい感覚が倫達を、包み込む。


倫達は、ほこらへ進み、

祭壇の前に立った。


ゴーっ!!

祭壇は倫達を招き入れる様に、

自ら動いた。


倫達は、祭壇の後ろの通路を進み、

開けた空間に出た。


そこはまるで別世界の様だ。

円形の広間。

岩の壁が周囲を囲い、

見上げれば、

数十メートル先に空が見えた。


「倫、恐らくアースが言っていたのは、

あの石だ。」

玲夢は、青い大きな石を指さした。




「やぁ!良く来たね。」


「誰だ!?」

翔太が叫び、辺りを見回した。


「僕はアース。


君たちに与えた能力を介して、話しかけているよ。


ここは、僕の力が最もおよぶ場所。


エンペラーと無限メモリー以外の能力者も、僕の声、聞こえてるよね〜。


エンペラーが能力を消滅させる前に、

君達に伝える事がある。


良く聞いて。


これから、エンペラーの命と引き換えに、全ての能力は無に帰る。


でも、僕にとって、薬を作るのは簡単なんだ。薬はいつでも作る事ができる。


エンペラーの命と引き換えに、ながらえた世界を、豊かにするのも、終わりにするのも、君達次第。


エンペラーが能力を無効化したら、

僕は、西園寺白夜が、この国の代表者となるように仕向けるよ。

君達は、協力しあい、僕が消したいと思わない人類になれるようにがんばって。


でないと、また薬を作るよ。


僕は、エンペラーの命で、

人類の全てを一度許すよ。


頑張ってね〜。」


アースの気配が消えた。


「白夜、大変だな。

後は、頼むぞ。」

倫は、白夜の肩を叩くと、

青い石に対峙した。


「うっ、うっ。」

倫の後ろでは、玲夢が声を殺して泣いている。


倫はもう一度振り返り、玲夢を抱きしめた。

「幸せになれよ。」

倫は、玲夢の頭をなでた。

「・・・ゔん。」


「さぁ!終わらせるぞ!」

倫は青い石の前に膝をつき、

手を触れた。

目を閉じて、青い石へ意識を集中する。


「・・・。」

バタン。

倫は、安らかな顔で、地面に倒れた。


「り〜ん〜!」

玲夢は、倫に駆け寄り、抱き寄せる。


「終わったよ。倫。起きて。

お願い。私を一人にしないでー!


ほら!記憶も戻ったんだよ。

ちゃんと倫の事、大好きだよ。


私の記憶が戻ったら、一緒に帰って、

続きするんでしょ?


・・・起きてよ。

バカ。バカ。バカ。バカ!

うぇ〜ん!」


玲夢は倫の胸に顔を押し付けて、

泣き叫ぶ。


周りでは、白夜や翔太、兵士達も涙を流している。


どれくらい時間が立っただろうか。

玲夢は、倫の胸の上で、静かになった。


玲夢は、違和感を感じ体を起こした。



「あれ?なんで?」


麗央が近づき、玲夢の肩を抱き寄せる。

「玲夢。」

言葉がでなかった。


「麗央。倫のね、倫の心臓・・・動いてるの。動いてる!」


麗央は、玲夢がおかしくなったと思い、

涙を流しながら、抱きしめた。

「玲夢、倫は死んだんだ。死んだんだ!」


「違う。違うの!ホントに心臓が動いてるの。」

玲夢は、倫の胸に、麗央の掌をあてた。


ドクドクドクドク。


「・・・うっ、動いてる!動いてるぞ!」

麗央は嬉しそうに叫んだ。


座り込んでいた兵士達も、

立ち上がり、歓喜の声をあげる。

「おー!」


その場にいた全ての人の悲しい涙は、

一瞬で、嬉し涙に変わった。


玲夢は、優しく倫を揺さぶり声をかける。

「倫、倫。起きて。」


倫は、ゆっくりと目を開き、起きがった。


「りんー!」

玲夢は、倫を力いっぱい抱きしめた。

「ゲホッゲホッゲホッ。苦しいって。」

玲夢は、驚いた様子で、離れる。

「ごめん。大丈夫?」


「大丈夫だ。」

倫は、玲夢を抱き寄せた。


「やっぱりな。俺生きてたな。」

「やっぱりって?なんで?なんで生きてるの?」


「俺、火の四天王に心臓貫かれて、

死んでる状態を、疑似心臓でしのいで生きてたからさ、もしかしたら、生死逆転したら、普通に生き返るって、少しだけ期待してたんだよ。」


「言ってよ!バカ!バカ、バカ、バカ!」

玲夢は、倫の腕の中で、何度も倫の胸を叩いた。


「玲夢、エンペラーのおかげで気にならなかったんだけど、お前結構力強いのな。加減して。」


「バカ。」

玲夢は、嬉しそうに、頬を膨らませた。


「玲夢、ごめんな。

お前に秘密にしてたのは、変な期待させて、ホントに死んじゃったら余計に苦しませると思ったんだよ。」


「倫・・・生きててくれてありがとう。」


「あぁ。これから二人で平凡で幸せな毎日を過ごそうな。」


「うん!」


「所で、記憶が戻ると口調も変わるんだな。」


「前の方が良かった?」


「いや。今の方が更に可愛いよ。」


「もぅ!」

玲夢は、顔を赤らめる。


「ゔ、うん。」

白夜が咳払いをする。

「二人とも、続きは帰ってからしてもらえるかな?」


「あっ、すまん。二人の世界だったわ。」


「倫、良かったね。

これで、僕達は、心置きなくこの世界と戦える。おっと、争いごとは無しでね。

必ず、良い世界にして見せるよ。

倫、見ていてね。」

白夜は、決意に満ちた表情で、倫に言った。


「そうだな、次は白夜の番だ。

たのんだぞ!」


倫達は、広間から出ようと歩き出した。


「アハハハ」

とアースの嬉しそうな笑い声が聞こえた気がした。



この後すぐ、日本の情勢は変わり始める。

薬の事が公になり、日本のトップ達は次々と辞任に追い込まれ、

薬を消滅させた白夜を中心に新しい政府がつくられた。

白夜の政治力は、目を見張る物があり、

各国首脳とも対等に渡り合い、

争いごと無しに、地球を平和へと導いていく。


数年の月日が流れた。


白夜のそばには、翔太と麗央がいた。

翔太の猛烈な求愛に、麗央は負けた。

今では夫婦で白夜を支える、

この国に欠かせない人物となっていた。


そして、倫所有の山では。


「りーん!お昼ご飯できたよー!」


倫は、畑の作物の間から顔を出し、

玲夢に手をふる。

「ありがとう!すぐ行くー!」

倫は額の汗を首にかけたタオルで拭いた。


エンペラーの力で建てたログハウスは、

能力無しで、倫がカスタマイズした。

リビングからウッドデッキに出た倫は、

ベンチに座る。


座るのは、いつも玲夢の隣り。

倫と玲夢は、向かい合わせには座らない。

少しでも長い時間、隣りにいたいから。


一度、離れ離れになる事を決意した二人は、どんな困難があっても、もう離れない。

毎日そう思って、

1日を大切に生きている。


       「完」


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