朗報。
ドカーン!ゴーーー!!
ものすごい音と振動で、倫は目を覚ます。
倫は急いでテントの外に出た。
「なんだこれ!!?」
野営していた場所から少し離れた所に、
次に越える山があった。
山は消え、そこは平な地面に代わっていた。
まるで巨人が踏みつぶしたような、
変わり果てた景色が広がっていた。
倫は、平地となった場所まで走る。
平地には、二人の人の姿が見えた。
倫が近いていくと、
二人のうち、一人に見覚えがあった。
「翔太!お前!お前!生きてたのか!
ごめん。翔太。俺っ。」
「倫、今は話している余裕ないぞ!」
翔太は、対峙する相手に目をやる。
「あいつは?何者だ?」
「倫、要件だけ話す。
俺はお前につく。
あいつは、最後の四天王、グラビティ。
重力を操る能力者だ。」
「内容濃すぎて頭追いつかね〜よ!
つまり、お前は見方で、俺たちを守って戦ってくれてるって事?」
「性格には、戦ってた。だ。
もう立っているので精一杯だ。」
二人が身構えながら話していると、
四天王グラビティが口を開く。
「ヒョッヒョッヒョッ。
一人増えたか。ワシも少し力を使いすぎた。一度引こうかの。」
四天王グラビティは、踵を返し、撤退する。
翔太は仰向けに倒れた。
「あー!マジ死ぬかと思った!
てか、このままだと多分死ぬ。
空気で色々つなぎ合わせてるけど、
内蔵ぐちゃぐちゃだわ。」
「翔太。お前が守ってくれなかったら、
俺達全滅してたんだよな?」
「そうだな。
グラビティに対抗できるのは俺の空気くらいだと思う。
あいつは、一人でも全ての能力者に勝てる自身があるから、余裕ぶっこいでやがるんだ。」
「ヤバい奴だな。
とりあえず、お前の傷治す。」
「はっ?無理だろ?
内蔵ぐちゃぐちゃなんだぞ。
倫、あいつを倒す秘策があるから、
俺が死ぬ前に、聞け。」
「翔太、黙ってじっとしてろ!
・・・細胞操作。」
「えっ!治った!治ったぞ!
倫、サンキュー!まだ俺生きて居られるんだな!」
「まぁ、いつまで持つのか、分からないんだけどな。
で?何から聞こうか?」
「グラビティがいつ戻って来るか分からない。まず、グラビティを倒す秘策からだ。でも、これは博打だ。
俺を信じるかは倫に任せる。」
翔太は、倫に秘策を話した。
「なるほどな。確かに可能性あるな。」
「次に、お前に吹き飛ばされてからの話をするか。」
「その節は、申し訳ない!」
倫は、翔太に頭を下げた。
「いいよ。お前の気持ちも分かったし、
何より、俺は政府軍を抜けたかった。
恐らく、グラビティはそれに気付いていて、俺には甘く接してた。
グラビティに対抗できる可能性のある、
唯一の能力者だったから、俺を手放したくなかったんだ。
でも、今戦って分かった。俺はあいつに勝てない。
だから、倫、お前にかかってる。
エンペラー、頼むぜ。」
「あぁ。分かった。
お前、なんでエンペラーの事?」
「悪い。俺は空気に同化できるんだ。」
「・・・まさか!のぞきか?
趣味悪いぞ。」
「お前と玲夢ちゃんがそういう雰囲気のときは、ドロンしてたから、気にすんな!」
「ドロンて・・・。
お前、俺もまだ見てない玲夢の入浴覗いたりしてないだろうな?」
「してねーよ。お前が好きじゃなかったら覗いてたかもな。めっちゃ可愛いし。」
「おい!治した内蔵元に戻すぞ。」
「顔が本気すぎて怖いわ。」
「でも、生きててくれてありがとな。」
「また、親友に戻れるかな?」
「お前を手にかけるって決めた時も、
手にかけた時も、
その後も、ずっと親友だった。だろ?」
「そうだな。
俺がなんで生きてるか知りたい?」
「あぁ、一応。」
「俺、お前に吹き飛ばされて、
呼吸できなくなった。
正直死んだと思ったよ。
そしたら、覚醒したんだ。
それからは、空気に同化できる様になった。
その後は、政府軍とお前の所を行ったり来たりして、正直どちらにつくか考えてた。
結果、お前につく事にした矢先に、
火のお嬢が、お前のとこに攻めてるって知って、急いで戻ったら、グラビティと遭遇した。
でも・・・俺、お前と戦ったのが覚醒前でよかった。
覚醒してからなら、俺は多分お前を手にかけてた。」
「そっか。でも、一つ訂正がある。
多分俺も死んで無かったぜ。
俺、火の奴に心臓貫かれたんだけど生きてるからな。」
「なんだそれ?!
お前の能力、底が知れないな。」
「だな。」
「お前がエンペラーで良かったって思う。
グラビティ、倒そうな。」
「あぁ。一度戻ろうか。お前の事紹介するわ。」
「了解。」
倫は、野営地に戻り、翔太がグラビティと戦っていた事、これまでの事を白夜と幹部に話した。
「貴様、本当にこちらにつくのか?」
雷の女は問い詰める。
「ねぇ、君の名前教えて。」
翔太は、雷の女に問いかける。
「返答になっていないぞ!」
「いいから。」
「お前と話すと、調子が狂う。
私は西園寺 麗央だ。」
「麗央。俺がこちらについた理由は、
薬を消滅させたい利害の一致が一割。
倫がこちらにいるのが一割。
残りの八割は君だ。
全部終わったら、俺と結婚しよう!」
「はーっ!おま、お前は何を言っている!バカなのか!」
「バカかもね。でも、空気と同化してこちらを探っていて、君に惚れたんだ。」
「ゔ、うん。」
白夜が、咳払いをする。
「私達は、お互いの名前を伏せていた。
一つは、外部に情報が漏えいしないため。もう一つは・・・麗央の名字を聞いて気づかないか?」
珍しく白夜がイライラしている。
「まさか?」
倫が白夜と麗央を交互に見る。
白夜は頷く。
「兄の前で可愛い妹にプロポーズとはやってくれるね。」
「知ってました。
二人になった時、麗央はたまに兄さんとよんで怒られてたから。
本気だとわかって欲しいから、お兄さんの前で気持ちを伝えました。」
「ははっ!ははははははっ!」
倫は、笑う。
「倫・・・他人事だと思って。」
白夜は頭を抱える。
「白夜、翔太はいい奴だ。
俺が保証する!」
「倫の保証つきなら・・・。」
「ちょっ、ちょっと待て!私を置き去りにして話を進めるな〜!」
麗央は我を見失っている。
翔太は、麗央に向き直り、真っ直ぐ見つめる。
「麗央、もう一度言う。
俺と結婚してくれ。」
麗央は、そっぽを向き答える。
「考えておく!」
麗央は、翔太の真っ直ぐさに万更でもなさそうだった。
「よし、とりあえず保留って事で、
翔太、時間がないぞ。」
「そうだな、グラビティが戻ってきたらまずい。作戦を伝える。
俺を信じて欲しい。」
翔太は人柄が良く賢い。
この数分で、周りの兵士達を、自分を信じて動く気持ちにさせた。
翔太が兵士達に叫ぶ。
「倫が俺を治してくれなかったら、絶命していた時刻まであと10分間。
恐らく、グラビティは、俺が絶命する時間に戻って来る。配置についてくれ!」
配置と言っても、簡単だ。
倫と翔太以外は下がる。
ただそれだけだった。
「来るぞ!翔太!」
「どこだ?」
「また5キロ先だ。
でもあのスピードなら、あと一分でくるぞ!」
「どこまで見えるんだよ!
了解!頼むぞ、倫!」
「あぁ!」
ゴーーー!!!
辺りの重力が重い。
「来たな!」
「ヒョッヒョッヒョッ。
空気、何故生きている?」
「企業秘密だ!こいグラビティ!」
「まぁ、いいわい。二人一緒に潰れてしまえ。
・・・グラビティ。」
周りの重力がどんどん増し、潰されそうだ。
倫は、翔太の前に立ち、翔太にかかる重力を軽減する。
「ヒョッヒョッヒョッ。
どこまで耐えられるかの〜。」
倫は身体を最大まで強化するが、
口や目からは血がにじみ、流れる。
「ぐぅー。ぐるしぃー。しぃぬー。」
倫は、細胞が壊れるたび、体内で修復して、重力にたえる。
「しょーぅだー、まだがー。」
「倫!できた!俺たちの勝ちだ!」
「はぁやーぐー。」
「グラビティ!こいつを喰らえ!
いや、喰らわれろ!
エアー解除!」
翔太は何かにかけた能力を解いた。
グラビティの前に突然、ブラックホールが現れた。
「なんじゃこれは!水の力?何故じゃあ〜!」
グラビティは、重力を使い抵抗しているが、徐々にブラックホールにのまれていく。
「何故じゃ~!」
「冥土の土産に教えてやるよ!
翔太が空気の膜で隠していた水を、
お前が圧縮して、作ったんだよ!
そのブラックホールを!
俺たち二人だからできた。
お前の負けだ!」
倫は、叫んだ。
「ガァー。」
グラビティは、ブラックホールにのまれ、消えた。
ブラックホールは、グラビティをのみこむと消えた。
「やったな。」
パチン!
倫と翔太はハイタッチした。
「でも、ブラックホール消えて良かったな。」
翔太は、自分達ものまれる可能性も感覚ていた。
「原理不明だけど、玲夢がグラビティをのみこむとブラックホールは消えるって分析したんだ。
俺は玲夢を信じてたよ。」
「はいはい。お熱い事で。
さっ、戻るぞ!麗央と結婚式だ!」
「バーカ。まだ終わってないだろ。
薬と薬の力の消滅が終わらないと、
この戦いは永遠に続く。
終わらせに行くぞ、
富士山へ。」
「だなっ!」




