54.ルーは聖霊!?
ジルティアーナ様の【解析】を使えば、ルーについて何か知ることができるかもしれない。
だったら……。
「ジルティアーナ様、ぜひお願いします!」
にこりと笑うジルティアーナ様。
「ティアナでいいわよ、ナディアさん」
そして、ルーをそっと抱き上げる。
「では、視させてもらうわね。【解析】」
【解析】と唱えた瞬間、ジルティアーナ様……改め、ティアナ様の目が煌めいた。
ぴくんっと体を揺らす、ルー。
ティアナ様は、少しの間じっとルーを見つめたかと思うと、ぱっと顔を上げた。
「聖霊!?」
「せいれい?」
意味が分からず、聞き返してしまった。
ティアナ様はまっすぐ私の目を見ながら頷いた。
「ルーちゃんは、普通のスライムじゃないようなの」
私は思わず頷いた。
……うん。意思の疎通ができて、踊れるスライムって普通じゃないよね。
「スライムの姿は仮の姿。ルーちゃんの本当の種族は聖霊よ」
「…………せいれい? って聖霊!?」
私は驚く。
周りのみんなの視線も、ルーへと集中した。
ルーは周りを見渡し、体をぐにょぐにょと動かした。
「ぷぷー?」——『なんかみんな、るーのことみてるー?』
「ルー!」
「ぷ?」——『なぁにー?』
「ティアナ様が、あなたはスライムじゃないって!」
「ぷぷー」——『うん。るーは、すらいむじゃないよー』
そう言われてはっとする。
そういえば以前、フレイヤとルーがはじめて会ったとき……
『すらいむじゃなくて、るーだよー』
って、言ってた。
そのとき私は、“スライム”じゃなくて名前で呼んでほしい、って意味だと思ってたけど……。
まさか、本当にスライムじゃなかったってこと!?
「ルー、あなた……聖霊だったのね?」
「ぷ?」——『せいれいー?』
ルーが考えるように、体を左右に揺らす。
「ぷぷー」——『よくわかんなーい』
分からんのかーい。
そして、続ける。
「ぷぷぷ~」——『るーは、るーだよー』
「……うん、そっか」
そんな私たちの会話に、ルーの言っていることが分からない皆は不思議そうな顔をしていた。
意味が通じているティアナ様は、くすくすと笑っていた。
——トントン。
ん?
扉のノックの音とは違う音がした。
レーヴェさんが部屋の窓に寄る。
外を確認すると、窓を開けた。
「ただいまー!」
「きゅきゅー」
女の子のような声が窓から聞こえた。
なんで女の子の声が窓から!?
そう思い窓を見ていると、レーヴェさんの影から白猫が現れた。
そして——。
「あー! おにぎりだぁ」
なんと、白猫さんから女の子の声が聞こえた。
しゃべる猫!?
……と、驚いているのは私とリコだけのようだった。
他の皆は、特に驚いた様子もない。
「おかえりなさいませ。ちゃんとネージュ様とルナ様の分もありますよ」
「わーい、やったー!」
「きゅきゅ~!」
不思議に思って白猫さんをよく見ると、その背中には白いうさぎさんがいた。
……なんで!?
私が呆気にとられていると、ティアナ様が白猫さんに向かって言った。
「ネージュ! 食べる前にはちゃんと手、きれいにしてね」
「はーい」
白猫さんが元気よく返事をすると、白うさぎさんがぴょんっと背中から飛び降りる。
すると、白猫さんの体がピカッと光った。
光が収まると、そこにいたのは——。
声から想像した通りの、小さな女の子だった。




