53.知らなかったんかいっ!
リズ様が、新たにお茶を出してくれた。
「……これっ!」
驚いてジルティアーナ様を見ると、また得意げに「ふふふ」と笑った。
「和食には、お茶が欲しくなるでしょ?」
「はい、ありがとうございます」
目の前に置かれた湯呑みを、そっと手に取る。
あたたかい。
湯呑みから手のひらへ、じんわりと温かさが伝わってくる。
ほうじ茶をひと口。
香ばしい風味が口いっぱいに広がり、ほっとさせてくれた。
「やっぱり、おにぎりは最高ですね!」
そう言ったのは、私……ではなくフレイヤだった。
なんでも、初めてクリスディアに来たときからおにぎりに激ハマリし、クリスディアに来るたびにおにぎりを食べているらしい。
「……なぁに?」
「いや……そのおにぎり、何個目?」
私はおにぎりも豚汁も食べ終わり、食後のお茶までいただいた。
だが、フレイヤはまだおにぎりを食べていた。
「えっと……四個目?」
「違うわ。五個目よ」
フレイヤの答えを、ミランダ様が即修正した。
「五個!?」
「だって、おにぎり美味しいんだもんっ!」
「でも、五個はさすがに食べ過ぎでしょ……」
呆れる私に、フレイヤは胸を張る。
「ジルティアーナ様なら、きっと美味しいお昼ごはんを用意してくれると思ってね」
「うん?」
「朝ごはんは抜いてきたのよ!」
そこまで!?
と呆れながらフレイヤを見ていたが、ジルティアーナ様が親指を立てた。
「さすがは、フレイヤ様ねっ!」
……それでいいらしい。
◇
「それにしても……【召喚士】や【テイマー】でもないのに、スライムを相棒にできるとはすごいスキルですね」
リズ様が、ジルティアーナ様の膝の上にいるルーをじっと見つめながら言った。
「ぷ?」——『なにー?』
ルーがジルティアーナ様を見上げる。
すると、ジルティアーナ様が笑顔で答える。
「ルーちゃんはすごいねって」
「ぷぷ~」——『るーすごい? やったー』
褒められたのがうれしかったのか、ルーはぷるるんっと体を震わせた。
「ねぇ、ナディアさん。それとルーちゃん」
「はい」
「ぷ?」——『なぁに?』
声をかけられ返事をすると、ジルティアーナ様は続けた。
「もし、ふたりが良ければ、ルーちゃんに私のスキル【解析】を使わせてくれないかな?」
「……【解析】?」
「ぷぷ~」——『いいよー』
私とは対照的に、ルーは二つ返事で答えた。
「ルー、【解析】ってどんなスキルか知ってるの?」
「ぷぷ~」——『しらなーい』
知らないんかいっ!
とりあえず、よく分かんないのにジルティアーナ様に言われたら「いいよー」と即答しちゃうくらい、ルーが懐いていることは分かった。
「【解析】っていうのはね……」
ジルティアーナ様が説明をしてくれた。
【解析】は、【鑑定】の上位スキルらしい。
【鑑定】だけでもかなり便利で、非生物の名前や性能、状態などを見ることができる。
商人や冒険者が持っていれば、かなり重宝されるスキルだという。
そして【解析】は、そんな【鑑定】よりさらに詳しい情報を見ることができる上に、生物のステータスまで確認できるらしい。
え、それって……。
他人のステータスを見ることができるってことよね!?
すごすぎるスキルじゃない!




