55.聖霊は心が分かる?
現れたのは、腰までの長く豊かな白い髪のとても可愛い女の子。
その髪はすべてが真っ白というわけではなく、ローライトのように所々グレーが混じっていた。
それに、きらりと光る青い瞳。
先ほどまでの白猫さんと同じ色だ。
やはりこの女の子は、白猫さんなんだろう。
「ネージュ。ナディアさんとリコさんにご挨拶しなさい」
「はーい。こんにちは、ネージュです!」
元気よくそう言ってくれた。
私とリコも挨拶を返す。
「こんにちは、ナディアです」
「リコと申します」
そして、ネージュちゃんはヴィオレッタ様とフレイヤに気づいた。
「あ、ヴィオレッタ! フレイヤ!」
「お久しぶりです、ネージュ様」
うん。
領主様の部屋に、普通に窓から入ってきた白猫。
それが女の子に変わった。
それだけでも充分びっくりの事態だが、皆さんのこの対応……この子、絶対ただものじゃない。
その正体はあっさりとティアナ様から告げられた。
「ナディアさん! ネージュもね、聖霊なの」
「えっ!?」
はい。さっきのびっくりを、あっさり更新してきた。
え、聖霊ってよくいるものなの?
そんなことを考えていると、ネージュちゃんが言った。
「ううん、聖霊はあまり居ないよ」
——えっ。私……声に出してなかったよね?
驚いてネージュちゃんを見返すことしかできなかった私に、ティアナ様が教えてくれた。
「聖霊たちは、強く思ったことなら感じ取れるの。だから『戻ってきてー!』って強く思えば、ネージュにも伝わるのよ」
「あ、だから……」
思わずルーを見る。
そんな私に、「何か心当たりがあった?」とティアナ様が笑った。
「はい……思ってただけで、口に出してなかったことをルーが察して動いてくれたことが何度かあったんです」
私はルーを抱き上げた。
「ルーには私の心が通じてたんだね」
「ぷー」——『んー? よくわかんなーい』
そう言って体をぐいーん、うにょーんと傾けた。
「また分かんないんかい!」
突っ込まずにはいられなかった。
そして、ティアナ様が教えてくれた。
「じゃあ、ネージュちゃんがさっき急に戻ってきたのってさ……」
「うん、私がネージュを呼んだの! ルーちゃんが聖霊だって分かったから、ネージュにも会ってもらった方がいいと思って」
そしてティアナ様は、先ほどネージュちゃんの背中に乗っていた白うさぎさんを私に見せた。
「あと、この子も!」
「えっ?」
「この子はね、ルナ。ただのうさぎじゃなくてジャッカロープなの」
「ええっ!?」
私はじっと白うさぎさん……ルナちゃんを見つめる。
うーん、どっからどう見ても普通のうさぎですが?
そう思っていると、ティアナ様が言った。
「ネージュ。ルナの角、見せてあげてくれる?」
「はーい」
ネージュちゃんが両手をぱちんっと叩いた。
するとその瞬間——。
今まで何もなかったはずのルナちゃんのおでこに、一本の長いツノが現れた。




