49.米を作った!?
「はい、分かりました」
「えっ!」
「どれくらい必要ですか?」
「……いいの? ありがとう!」
でも、なんでおむつがそんなに必要なんだろう?
そう思ったら、側近の方に赤ちゃんがいるらしい。
その赤ちゃんが、最近はむつき替えのときに動いて大変なのだとか。
それなら、きっと紙おむつが大活躍してくれるだろう。
——コンコン。
そのとき、部屋の扉がノックされた。
レーヴェさんが外を確認する。
「昼食が届きました」
その言葉にジルティアーナ様が笑顔で立ち上がる。
「ちょうど良かった! 入ってもらってちょうだい」
そうして入ってきたのは一人の青年だった。
彼は、洗練された動作で一礼すると、無駄のない動きで、テーブルの前までやってきた。
「ご注文の品をお持ちいたしました」
……ご注文の品?
彼は、料理人のようには見えなかった。
白いシャツの上に濃紺のベストを着込み、その上から同色のジャケットを羽織っている。
商会員らしいきちんとした装いで、若いながらもどこか落ち着いた印象を受けた。
彼が腰に付けたポーチに手を伸ばそうとした、そのとき。
「ちょっと待って!」
ジルティアーナ様が待ったをかけた。
彼は動きを止めた。
「ごめん、ネロくん。“おにぎり”の前に、見てほしいものがあるの」
「おにぎり!?」
「おにぎり!」
ジルティアーナ様の口から出た言葉に、思わず反応してしまった私。
……と、なぜか同じく反応したのはフレイヤだった。
「お昼ごはんはおにぎりなんですか?」
「ええ、定番も新作もあるから期待してくれていいわよ」
「やったー!」
そして、フレイヤはなぜか嬉しそうに声を弾ませた。
私は呆然とその様子を見ていた。
おにぎりって……私が知ってる、あのおにぎり?
すると、そんな思いを察したかのように、ジルティアーナ様が私に笑いかけた。
「ナディアさんもぜひ食べてね。おにぎりと、それに豚汁もあるから」
豚汁……そして、おにぎり。
私が志摩子の記憶を取り戻してから、特に残念に思ったのは食事のことだった。
この世界と日本の食事はまったく異なっていた。
はっきり言ってしまうと……不味い。
味付けは、ほぼ塩。
だけど、その塩も高価だし、食材も育て方の問題なのか、保管方法が悪いのか、どれもあまり美味しくない。
そして肉や魚に関しては、なぜか平民は食べてはいけないという差別的なルールがあるのだ。
だが今は……そんなことより……。
「お米……この世界にあったんですね」
「あ、それはね……」
思わず尋ねてしまったことに、ジルティアーナ様はにやりと笑う。
「わたしが米なし生活に耐えられなくて、作っちゃったの!」
えええええ。
米を作った!?
……って、どうやって?




