43.文字化けの正体。
「ジルティアーナ様の天職って……【ロストスキル】」
思わずいつもの癖で、思ったことを口にしてしまった。
やってしまったーー!!
わざわざ、辛かった話をほじくり返すなんて、私のばか!
いくら「同郷」とジルティアーナ様が言ってくれたとしても、失礼がすぎるわっ!
自分の失言にパニックになっていると、ジルティアーナ様があっさり言った。
「うん、わたしの天職は【ロストスキル】だったの」
……あれ? トラウマやコンプレックスでは、ない?
ジルティアーナ様は、口に手を当てて「ふふふ」と楽しそうに笑った。
「【ロストスキル】って、“失われたスキル”とか“文字化けスキル”って呼ばれてるのは知ってる?」
「は、はい……」
私は戸惑いつつ、頷く。
するとジルティアーナ様は突如、「ステータス・オープン!」とスキル画面を呼び出した。
「……ティアナ様」
リズ様が咎めるように、ジルティアーナ様の名を呼ぶ。
「別にいいじゃない。日本語が分かる人なんて、初めてだもの! ぜひ見てもらいたいわ」
嬉しそうに話すジルティアーナ様。
リズ様は諦めた様子で「分かりました」と一歩下がった。
「ナディアさん、こっちに来てくれる?」
私を手招きするジルティアーナ様。
「ぜひ、私のステータスを見てほしいの」
ええ?
以前、リコが私のステータスを見ることに躊躇したように、ステータスは個人情報の塊だ。
私なんかが、ジルティアーナ様のステータスを見ていいの?
と思いつつも、本人が「見て」って言ってるし、なにより好奇心が勝った。
「失礼します」
そっとステータス画面を覗く。
そこには——。
「日本語!?」
ジルティアーナ様のステータス画面。
そこに並ぶ、これまで“文字化け”だと思われていた文字。
だけど私には、それがはっきりと読めた。
これは……日本語だ。
呆然とステータス画面を見つめる私に、ジルティアーナ様がくすくすと笑いながら言う。
「おかしいでしょ? この世界の人たちが“文字化け”だと思っていたものの正体は——日本語だったのよ」
なるほど……。
異世界の文字だから、読むことができず、【ロストスキル】なんて呼ばれてたのか。
そんなことを考えているときだった。
コンコンッ!
部屋の扉がノックされた。
リズ様が向かい、扉を開けた瞬間。
「ティアナッ!」
「ミランダお姉様!?」
扉から勢いよく入ってきたのは、ミランダ様だった。
私とフレイヤのアカデミー時代の同級生だ。
そういえばフレイヤから、ミキサー作りに関わったと聞いていたけど……。
「って、“お姉様”?」
そこで、ふと思い出す。
確かミランダ様のお母様は、ヴィリスアーズ家に嫁いでいたはず。
……ということは、ジルティアーナ様とミランダ様って、義理の姉妹!?




