34.乾杯。
「わたしにもちょうだい!」
「俺も飲んでみたい!」
試飲のおかげで大盛況だ。
「飲んでみたい人は、こちらに並んでくださーい!」
「買う人はこっちに並んでー!」
先ほどまで時間をもて余していた子どもたちも大忙しだ。
「わぁ……!」
「なんでこんなに冷たいんだ!?」
「とてもおいしい!」
さまざまな声が聞こえた。
その多くが、高評価だった。
◇
夜、孤児院に帰ってきた。
食事の配膳を終え、みんなの前にずらりと並べられた食事。
それを確認し、私はひとり立ち上がった。
「みんな、今日は本当にお疲れ様!」
私はみんなの顔を見まわす。
みんな疲れているだろうに、笑顔だ。
手には、ミキサーで作ったジュース。
それぞれ好きな種類を選んでもらったが、多くの子がレモネードを選んでいた。
「みんなががんばってくれたから、ジュースがたくさん売れました」
みんなが誇らしげに笑い合った。
ジューススタンドは本当に大盛況だった。
試飲を始めてからは、途切れることなくお客さんが来てくれた。
予想以上に売れた。
今日用意していた分だけでなく、明日使う予定だった果物も急遽出すことになった。
あらかじめ作っておく必要があったレモネードに至っては、夕方には売り切れた。
「本当に、ありがとう」
頭を深く下げた。
一瞬、しんっと食堂が静まり返った。
「院長」
メイの声に顔を上げる。
みんなが笑顔でこちらを見ていた。
「ジューススタンド、すっごく楽しかった!」
ロイがそう言って立ち上がり、みんなを見まわす。
「な? みんなも楽しかったよな!?」
叫ぶように聞くと、他の子たちも口を開いた。
「うん、楽しかった!」
「すげー、たくさん売ったよな!」
「おばさんに『ありがとう』って言われたよ!」
うれしかったこと、楽しかったことを、みんながそれぞれが口にする。
そんな様子に……思わず泣きそうになった。
ふと視線を感じた。
横を見ると、嬉しそうに笑うリコと目が合った。
リコは私の顔を見て一瞬驚いた顔をしたが、笑顔で頷いた。
そして、リコは一歩前に出ると、両手を出した。
——パンパンッ!
手を二回鳴らす。
子どもたちが静かになり、リコに注目した。
「おしゃべりは一旦おしまい!」
そして、にこりと微笑む。
「まずはみんなで、乾杯をしましょう」
——私は急いで、涙を拭った。
その直後、リコがこちらを振り返って言った。
「院長、乾杯をお願いします」
私も一歩前へ出る。
顔を上げ、みんなを見渡して声を張った。
「今日は特別! ジュースのおかわりは自由です!」
わぁ! と子どもたちの歓声が上がった。
さらに続ける。
「たくさん飲んで、食べてちょうだい! では——」
私はコップを掲げた。
それに合わせ、みんなもそれぞれコップを手にする。
「乾杯!!」
「かんぱーい!」
「ぷっぷ~!」
みんなの声が食堂に響いた。




