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異世界ポイ活、始めました〜婚約破棄された悪役令嬢ですが、私だけ「ポイント」が貯まるようなので毎日お得に暮らします〜  作者: よつ葉あき
第2章 怖い院長、やめてみます。

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33/47

33.試しにいかがですか?


「さて、何を頼もうかね……」


 考えるおばさんに、フレイヤが笑顔で話しかける。

 

「イチ押しは“レモネード”らしいですよ!」

「レモネード?」


 おばさんの疑問に、すかさずメイが答える。


「レモネードは、レモニのジュースなの!」

「レモニ? すっぱくないかい?」

「はちみつを使ってるから、甘くて美味しいよ!」


 おばさんの動きが止まる。


「は、はちみつ!?」

「はちみつだって!?」


 おばさんとおじさんの声が被った。


「はちみつって、あのはちみつだよな?」


 おじさんが驚いたように聞く。

 すると、おばさんも続けた。

 

「はちみつって、お貴族様が食べてる甘味だろ? なんでこんなジューススタンドで使ってるのさ」


 ふたりの質問は止まらなかった。


「あたし……はちみつなんて高級なもの、食べたことないよ」

「ああ、俺もだ」

「でもレモニのジュースなんて、すっぱそうだねぇ」


 やはり出た、その心配。

 すかさず子どもたちが言う。


「ちょっとすっぱいけど、おいしいよ!」

「甘いんだよっ」


 口々にレモネードの良さをアピールする。

 そして、フレイヤも言ってくれた。


「私も今、初めて飲みましたが……飲めば分かります!」


 それを聞き、ハッとした。


 そうだ。

 この世界の人たちは、“レモネード”を知らない。

 レモニを飲み物にしようという考えはない。

 

 よく分からない物を、避けるのは当然だ。


 私は冷凍冷蔵庫を開け、冷やしていたレモネードを取り出す。

 そして、ふたつの紙コップに少しだけ注いだ。


「どうぞ」

「えっ!」


 顔を見合わせるおじさんとおばさん。


「レモネードがどんな味か分かりませんよね?」


 私の問いかけに、ふたりは頷く。


「ぜひ試しに飲んでみて、気に入ったら買ってください」

「え、これはタダでいいのか?」

「もちろんです」


 私は笑顔で頷く。

 

「試してみて、気に入らなければ買わなくて大丈夫ですよ」


 ふたりは紙コップを手に取り、飲んだ。


「なんだこれ!」

「……甘っ! これがレモニだって!?」


 驚くおじさんたちに——。


「ね! すごくおいしいでしょ?」

「うちのイチ押し商品なんだよ!」


 子どもたちが誇らしげに言った。


「レモニだって言われれば、確かにそんな味もするけど……」

「はちみつっておいしいんだねぇ」


 そして、おばさんが……。


「よし。あたしはこのレモネードをおくれ!」

「ありがとうございます!」


 さらに、おじさんも。


「俺にも、レモネードをくれ!」

「えっ! おじさんペシェルジュース飲んだでしょ?」

「こんなうまいものをひと口で我慢できるか!」


 そんな会話をしていると——。


「なんだ、あれ……?」

「レモネード?」

「よく分かんないけど、うまそうだな!」

「お母さん、あれ飲みたい!」


 気づけば、ジューススタンドの周りにはたくさんの人が集まっていた。

 そこへ——。


「おまたせいたしました!」


 子どもたちが用意した、二杯のレモネード。

 それを見て、周りの声が騒がしくなる。


「なんか不思議なコップだな?」

「あの棒、なんだ?」


 そんな疑問の声に、先ほど一杯目を飲んだおじさんが得意げに答える。


「このコップは紙でできてるんだぜ!」

「え、紙!?」

「で、このストローってのを吸えば、コップを傾けなくても飲めるんだよ」


 おじさんは、レモネードを飲んだ。


「ぷはぁ! やっぱこのレモネードはうめぇな!」


 まるでビールでも飲んだようなおじさん。

 おじさんに質問をした男性は、ごくりと喉を鳴らした。


 ——ナイスよ、おじさん!


 私はこっそり、ほくそ笑んだ。


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