↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界ポイ活、始めました〜婚約破棄された悪役令嬢ですが、私だけ「ポイント」が貯まるようなので毎日お得に暮らします〜  作者: よつ葉あき
第2章 怖い院長、やめてみます。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
31/47

31.ジュースが売れません!


 ——とうとう、この日がきた。


「お客さん、来てくれるかなぁ?」

「大丈夫だって! だってすっげぇ美味いんだぜ」


 不安そうなメイに、ロイが力強く言った。

 その声に、心配そうにしていた子どもたちも、「そうだよな」「絶対、売れるよ!」と明るい表情をした。


 ——だが。


「お客さん……来ないねぇ」

「なんで来てくれないんだろう……」


 ジューススタンドを開店してから2時間。

 ジュースは1杯も売れていなかった。


 最初は、店の前を人が通ると目を輝かせていた子どもたち。

 お客さんになってくれるのを期待していたのだ。


「いらっしゃいませー!」

「おいしいフルーツジュースですよー!」


 呼び込みもがんばっていたが、それが成果に繋がらない。

 声にもだんだん元気がなくなってきていた。


 うーん……どうしたものか……。


 店の前には、人がたくさん通っている。

 立地条件が悪いわけではないと思うんだけど……。


 そんなことを考えていた、そのときだった。


「ナディア」


 明るい声に視線を向けると、そこにいたのは……。


「フレイヤ!」

「どお? ジュースは売れてる?」


 そんな問いかけに、しょぼんと肩を落とす子どもたち。


「……売れてない」

「え?」

「……1杯も売れてないの」


 フレイヤにそう告げた女の子は、目に涙を溜めた。


「ええ! なんで!?」

「……わかんない」


 とうとう、瞳からぽろぽろと涙がこぼれはじめた。

 言葉にしたことで、我慢していた涙が溢れてしまったようだ。

 それを見て、フレイヤが慌てる。

 

「わわ、泣かないでー! ごめんねぇ」


 何も悪くないのに、謝るフレイヤ。

 ……ちょっと可哀想になった。


 助け舟を出そうかと思ったとき、フレイヤが言った。


「じゃあ、私がお客さん1号になっちゃお!」


 そのひと言に、女の子の涙がぴたりと止まった。


「……ほんとう?」

「本当! どれがおすすめかな?」


 女の子に視線を合わせ、やさしく聞くフレイヤ。

 女の子は、ぱぁ! と表情を明るくした。


「おすすめは、レモネードだよっ!」

「……レモネード?」


 不思議そうな顔をするフレイヤ。

 するとルーが、メニュー看板の前で飛び跳ねた。


「ぷぷ~っ!」——『これだよー』


 触手を伸ばす。

 その触手は、しっかりと……。


『イチ押し! 迷ったらレモネード』


 という文字を指していた。


 ……すごいわ、ルー!

 文字が分かってるのかしら?


『レモネード』の文字の横には、子どもたちが描いてくれたオレンジ色のレモニの絵もあった。


 それをじっと見つめたフレイヤが、顔を上げる。


「レモネードって、もしかしてレモニのジュースなの!?」


 驚くフレイヤに、ロイは得意げに胸を張った。


「そうだよ! でも、甘酸っぱくて美味いんだぜ!」

「そうなの? じゃあ、それにしてみようかな?」 

「ありがとうございます!」


 ぺこりと頭を下げる子どもたち。


「レモネードはね、はちみつが入ってるから甘いんだよ!」

「えっ! はちみつ?」


 目を丸くする、フレイヤ。


「はちみつって高級食材じゃない!」


 フレイヤは財布を取り出し、ロイに尋ねる。

 

「えっと、いくらかな?」

「500ペルだよ!」


 値段を聞いて、一瞬固まるフレイヤ。

 

「じゃ、これ代金ね」

「ありがとうございます!」


 子どもたちがジュースを用意しているあいだに、フレイヤがそっと私に耳打ちをしてきた。

 

「はちみつ使ってるのよね? 大丈夫? 安すぎない?」

「そうなんだけどね……」

 

 でも、子どもたちがやるジューススタンドだ。

 

 “たくさんの人に飲んでもらいたい”

 

 そんな想いがあったから、あまり高額にしたくなかった。

 みんなで話し合って、500ペルに決めたのだった。

  

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。