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異世界ポイ活、始めました〜婚約破棄された悪役令嬢ですが、私だけ「ポイント」が貯まるようなので毎日お得に暮らします〜  作者: よつ葉あき
第1章 異世界ポイ活、始めます。

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3.ポイ活の相棒、できました。


 孤児院長室に戻り、ひと息ついていると——。


 テッテレーレー、テッテレー♪


 いつもの効果音……のようだけど、少し豪華にしたような音が鳴った。


『交換したアイテムを合計5人以上に使ってもらったね!』


『そんなナディアさんに……』

 

『はじめてミッション!』


「えっ!?」


 思わず声を上げる。 

 さらに文字は続いた。


『ポイ活の相棒を選ぼう!』


「あ、相棒?」


 そんな機能、志摩子が使っていた『ポイ貯め』にはなかった。

 やはり、まったく同じアプリというわけではないらしい。


「相棒ってなんなの?」


 私はさっそく『相棒を選ぶ』というボタンに触れた。


 ピロン!

 軽快な音とともに画面が切り替わる。

 そこには三体のキャラクターが並んでいた。


 赤、青、緑。

 そこには、三体のスライムが並んでいた。


「全部、スライムじゃない!」


 思わず声を上げる。

 犬とか猫とか、せっかくのファンタジーなんだからドラゴンとか……もう少しいろいろいるのかと思ったのに!


「相棒ねぇ……」


 まあ、見た目はそれぞれ違う。


 赤いスライムは、ころんと丸くて元気そう。

 緑のスライムは、でろーんと地面に溶けるような姿をしている。

 そして青いスライムは、ぷるんとしたしずく型。


「スライムといえば、やっぱり青かしら」


 志摩子だった頃に見た漫画やゲームの影響か、スライムといえば青という印象が強い。


「じゃあ、この子」


 私は青いスライムに触れた。

 

 ピロン!


『青いスライムでいい?』


『はい』

『いいえ』


「はいっと」


 ぽちっと押した。

 すると――。


「え?」


 目の前のテーブルへ、光の粒が集まり始めた。


「……この流れ、まさか」

 

 たわしの時と同じだ。 

 慌てて身を引く。

 光の粒はテーブルの上でひとつの塊となり、ピカッと強く輝いた。

 眩しさに目を細めた、その次の瞬間。


「…………え?」


 テーブルの上に。

 青いスライムがいた。

 先ほど画面で選んだ、しずく型のスライムだ。


「…………」


 私は画面を見る。

 そして、テーブルを見る。


 もう一度、画面。

 スライム。


「いやいやいや……」


 キャラクターを選んだつもりだった。

 アプリの画面上で、相棒として表示されるようなものだと思っていた。


 なのに。

 目の前に、本物がいる。


 青いスライムは、ぷるるん、と体を揺らした。


「……本物?」

「ぷぅ!」

「鳴いた!?」


 思わず身を乗り出す。

 目も口も見当たらない。

 表情だって分からない。


 それなのに、スライムは「そうだよ!」とでも言いたげに、ぐいんぐいんと体を伸ばしている。


「スライムって、鳴くのね……」

「ぷぅ」

「しかも返事するの!?」


 なんだか、かわいい。

 私は恐る恐る手を伸ばした。


 するとスライムの方から、私の指先にすりっと体を寄せてくる。


「わわっ!」


 ぷるぷると柔らかく、少し冷たい。


「ひんやりして、気持ちいいわね」

「ぷぷ~」


 まるで褒められて喜んでいるように、青い体が左右に揺れる。

 ずいぶん昔のことなのであまり覚えていないけれど、息子が小さい頃に作っていたおもちゃのスライムも、こんな感触だった気がする。


「ふふっ。なんだか、かわいいわねぇ」


 指先でぷにぷにと触っていると――。

 

 ピロン!


「今度は何!?」


 再び『ポイ貯め』の画面が切り替わった。


『ご主人さま! 相棒に名前をつけてね!』

「名前?」


 まさかの指示に、私は目の前のスライムを見つめる。

 けれど、当のスライムは相変わらず、ぷるるんと楽しそうに体を揺らしているだけだ。

 

 画面を確認するが、『名前をつけてね!』という表示にはバツ印がない。


「もしかして、名前をつけるまで先へ進めないの?」

「ぷぅ?」

「あなたの名前よ。何がいいかしらねぇ」


 スライムに聞いたところで、答えてくれるはずもない。


「うーん……」


 青いスライムを見つめていると、ふと、日本で飼っていた猫の姿が脳裏に浮かんだ。


 名前は、ルル。

 子どもたちと一緒に可愛がっていた、大切な家族だ。


 とても甘えん坊で、私がソファに座れば、いつも隣へやって来て体をすり寄せてきた。

 目の前のスライムが指先に体を寄せてくる様子は、どこかルルに似ている。


「同じ名前というのも何だし……」


 私は少し考えてから、スライムへ笑いかけた。


「じゃあ、ルー。ルーっていうのはどうかしら?」

「ぷぷ~っ!」

「わっ!」


 スライム――改めルーは、嬉しそうにぽよんと大きく跳ねた。


「ふふっ。気に入ってくれた?」

「ぷぅ!」

「じゃあ、あなたは今日からルーね」


 そう告げた瞬間――。


 テッテレー♪


「また鳴った!」


『おめでとう、ナディアさん!』


『はじめてミッション「ポイ活の相棒を選ぼう!」達成!』

『300P獲得しました!』


「300ポイント!」


 画面上部の数字が切り替わる。


 【170P】


 から――。


 【470P】に。


 その横で、ルーが「ぷぅ!」と得意げに跳ねた。



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