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異世界ポイ活、始めました〜婚約破棄された悪役令嬢ですが、私だけ「ポイント」が貯まるようなので毎日お得に暮らします〜  作者: よつ葉あき
第2章 怖い院長、やめてみます。

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29.レモネード


「院長、それなーに?」

「レモニのジュースよ」

「レモニ? レモニってあのすっぱいレモニ?」


 子どもたちから驚きの声が上がった。

 この世界には、レモニをジュースにするという発想はなかったらしい。

 作ったときも、手伝ってくれたリコに驚かれた。

 

「ええ、そのレモニよ」


 私の答えに、微妙な顔をする子どもたち。

 はっきりとは言わないものの、「美味しくなさそう……」という気持ちが顔に出ていた。


「レモニを使ってるけど、お砂糖とはちみつを入れてるから、甘酸っぱくて美味しいわよ」


 私はコップにレモニジュースを注いでいく。


「はちみつ!?」


 珍しく、マチが大きな声を上げた。

 みんなの視線がマチに集中する。


「あ、すみません。はちみつは高価なものなので、驚いてしまって……」


 え、そうなの?

 ジルティアーナ様のマジックバッグに入ってたから普通に使っちゃったんだけど。


 ……ま、いいや。

 もう使っちゃったもんは仕方ない。

 はちみつに戻せるわけでもないし、美味しくいただこう。


「じゃあ、飲んでみましょう」


 子どもたちが、それぞれ気になったジュースを取っていく。

 レモニジュースは——誰も手に取らなかった。


「……」


 少し寂しく思っていると——。


「俺、これ飲んでみよう!」


 そう言ってレモニジュースを取ったのは、ロイだった。

 思わず、ロイを見つめる。

 それに気づいたロイは、照れくさそうに言った。


「貴重なはちみつを使ってんだろ? どんな味か気になるじゃん」


 そんなロイの言葉に釣られたように。


「私も、レモニにしよ!」

「じゃあ、俺も……」


 ロイに続き、メイとマークもレモニのカップを手に取る。

 そして——。


「私も、これにします」


 リコも、レモニのカップを取ってくれた。


 

「では、みなさんご一緒に——」


 私のかけ声に合わせて——


「いただきます!」


 みんなの声が重なった。


「わっ! 冷たーい」

「うまっ! なんだこれ」

「昨日のナポルジュースも美味しかったけど……」

「冷たいと、もっと美味しいね!」


 あちこちから、嬉しそうな感想が聞こえてきた。

 さらに——。


「うま……っ!」

「少しすっぱいけど……甘いっ!」

「これ、本当にレモニか!?」


 ロイ、メイ、マークが言った。

 それに頷くリコ。


 そんな様子を見ていた他の子どもたちも——。


「レモニジュース、本当に美味しいの?」

「俺も飲んでみたい!」


 そうして、他の子たちもレモニジュースを飲んでくれた。

 そして——


「すごい美味しい!」

「甘酸っぱくて、おいしいね!」


 そんな子どもたちを見ていると——


「よかったですね」


 リコがオレンジ色のレモニジュースを差し出しながら、やさしく笑った。

 私はそれを受け取り、ゴクリと一口飲んだ。

 爽やかな酸味と、はちみつのまろやかな甘さが口の中に広がった。

 それは、まさに——。


「レモネードがこんなに大好評なんて……」

「レモネード?」


 思わず漏らした言葉に、リコが首を傾げる。


 いけない。これはレモネードじゃなくて、レモニジュース……と考えたところで、ふと気がつく。

 

 レモンじゃなくてレモニだけど……レモネードって呼び方でいいじゃない! 


 こうして——ウィルソールのジューススタンドのイチ押し商品は、『レモネード』に決まった。

 

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