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異世界ポイ活、始めました〜婚約破棄された悪役令嬢ですが、私だけ「ポイント」が貯まるようなので毎日お得に暮らします〜  作者: よつ葉あき
第2章 怖い院長、やめてみます。

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22.美食の街の領主様。


「クリスディアではね、このミキサーを使って街の子どもたちが、ジューススタンドを開いてるの」

「ジューススタンド!?」


 予想外の答えに、驚きの声を上げてしまった。


「子どもたちがって……ジュースを子どもたちが作るの?」

「ええ。このミキサーはすごいのよ! 果物とかを切って入れれば、あっという間にジュースにできちゃうんだから」


 ふむ。やはり性能は、日本のミキサーと同じようだ。


「果物を切って、ボタンを押せばできあがりだから、子どもたちでも簡単に作れるのよ」

「なるほどね……」


 【調理】スキルを持っていないことを心配したが、フレイヤによると問題なく扱えていたという。

 

 ……じゃあ、私でもミキサーでジュースを作れるのかしら? 

 ミキサーをじっと観察していると、日本で使っていたミキサーとのある違いに気がついた。


「このミキサーって、どうやって動かしてるの?」


 目の前にあるミキサーには、コンセントが付いていなかった。

 まあそれもそうか。

 この世界には、日本のような“電気”はない。

 日本でいう電化製品のようなものは、電気ではなく、魔力を使って動く魔術具として存在していた。


「後ろに魔石が埋め込まれてるの。満タンに魔力を込めれば、1週間ほど使えるって仰ってたわ」


 言われたとおり、ミキサーの後ろ側には魔石が付けられていた。

 魔力を込めてみる。

 さほど多くない量で、それ以上魔力を吸わなくなった。

 満タンのようだ。


 これだけの魔力量で1週間も使用できるなら、コスパはいいだろう。

 だが——。


「ねぇ、街の子どもたちって平民の子どもよね? 魔力は誰が込めているの?」


 さほど多くない魔力で満タンになる。

 それは私たち貴族の基準だ。


 一般的に平民の魔力量は少ない。

 子どもはもちろん、その親たちも平民なら、この魔術具に魔力を込めるのはかなり大変だろう。


「ジルティアーナ様や、その専属の方が魔力を込めることが多いらしいわ」

「ジルティアーナ様って……まさか、クリスディアの領主のジルティアーナ様?」


 確か何年か前に、クリスディアの領主になった方が、ジルティアーナという名前だった。

 だけど……。


「なんで、領主が平民の子どものジューススタンドに協力するのよ!」


 思わずツッコミを入れてしまった。

 フレイヤは「あはは」と笑いながら答える。


「やっぱり普通、そう思うわよね! 私も初めて聞いた時はびっくりしたもの」


 ジルティアーナ様は、10年ほど前に亡くなった聖女・クリスティーナ様の唯一の孫娘だ。

 おそらく魔力量も多いはず。


 でも、だからといって……この世界では身分の差が大きい。

 身分制度や魔力がなかった世界で生きた志摩子の記憶が蘇ったことで、今の私は以前ほど平民を身分で見ることがなくなった。

 だが記憶がなかった頃のナディアはそうではなかった。

 

 魔力を平民のために使うなんて……絶対しない。

 それはナディアが冷たいのではなく、貴族の常識のようなものなのだ。


「ジルティアーナ様はすごいのよ! 次々に料理や新商品のアイデアを出して、それを専属料理人やミランダ様たちがどんどん実現しているのよ」


 なるほど。

 数年前から、美食の街と呼ばれるようになったクリスディア。

 目立つのは、今までにない画期的な料理の数々だが、他にもジェルネイルなど新たな流行が、クリスディアから生まれることが多かった。

 

 その要因は、新しく領主になられたジルティアーナ様のようだ。

 

 

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