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異世界ポイ活、始めました〜婚約破棄された悪役令嬢ですが、私だけ「ポイント」が貯まるようなので毎日お得に暮らします〜  作者: よつ葉あき
第2章 怖い院長、やめてみます。

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17.孤児院長室の前で。


 ――翌日。


「ん?」


 私はお手洗いから院長室へ戻る途中、その扉の前にロイとマークがいるのを見つけた。


 思わず廊下の角に身を隠す。


 ……何をしているのかしら?


 そう思いながら様子を窺っていると、二人の会話が聞こえてきた。


「ロイ、ノックしてみろよ」

「やだよ! マークがやってよ」


 どうやら、どちらがノックをするかで揉めているらしい。


 ……私に何か用かしら?


 声をかけようか迷っていると――。


「あんたたち、何してんの?」


 向こう側から現れたのはメイだった。


「なんだ、メイか」

「院長かと思ったじゃん。脅かすなよ」


 二人が揃って、ほっと息を吐く。


 そんな様子を見たメイの瞳が、すっと細められた。


「なに? 院長だとまずいようなことしてたの?」


 びくりと体を揺らす二人。


 ……何しようとしてたんだろう。


 私までドキドキしてきた。


 しばしの沈黙のあと、ロイがぽつりと言った。


「……スライム」

「スライム? スライムってルーちゃんのこと?」


 ロイがこくんと頷く。

 続けて、マークが口を開いた。


「俺は昨日、あのスライムを触ってないから……ロイにどんな感じだったか聞いたんだ。そしたら……」

「すっげぇ柔らかくて、冷たくて、ぷるぷるしてて、かわいくて……思い出したら、また触りたくなっちゃったんだよっ!」


 ――分かる!

 ルーのぷるぷるボディは魅力的よね。


 なんて思っていると、メイも深く頷いた。


「それは分かる。ルーちゃん、かわいいよね!」


 そう言って、ぐっと拳を握る。


「おやつを食べると、『おいしー!』って感じで『ぷっぷぷ~』って鳴くんだよ! 楽しいときは、体をぼいんぼいん弾ませるのもかわいいよね!」


 ――うんうん、そうよね!


 心の中で思わず同意してしまった。


 けれど、ロイとマークはそんなルーの姿をまだ知らないらしい。


「そうなのか? いいなー、俺もそんな姿見てみたい!」


 ロイが叫び、マークも大きく頷く。

 それを見て、メイはふふんと得意げに笑った。


「それにルーちゃんは、とってもやさしいのよ! この前、私が火傷したとき、あの体で手を包み込んで冷やしてくれたんだから!」


 その発言に、衝撃を受ける二人。


「あのスライムが手当てしてくれたのか!?」

「なんだよそれ、ずるいぞメイ!」

「くそー! 俺たちもスライムと仲良くなりてぇ」


 そう言って、孤児院長室の扉を見つめる。

 

「でも、ノックするの……怖いよなぁ」


 マークの呟きに、ロイが何度も頷いた。


 ……やっぱり、私がまだまだ怖がられてるのか。

 

 なんて少し落ち込んでいると、メイの声が聞こえた。


「ナディア院長も最近やさしいよ? 大丈夫だよ」


 そして——


 コンコンッ!


「院長いますかー? メイです」


 あっさりノックをした。

 それを見て、更に驚く二人。


「そんな簡単に……!」

「メイ……お前、勇者だな」


 メイはそんな二人を気にせず、こてんと首を傾げた。


「……あれ? 反応ないね。てか、部屋の前でこんなに騒いでも出てこないんだから、院長居ないんじゃないの?」


 男の子二人は顔を見合わせ、安堵した。


「なんだよ院長いないのかよ!」

「緊張して損した~」

「私ならここにいるわよ」

「「い、院長!」」


 私は、ちょっといじわるかな。と思いつつ、二人の背後から顔を出した。

 あからさまに、びっくりする二人。


「あ、院長」

「おはよう、メイ」

 

 それに対して、メイはもうすっかり懐いてくれていて、笑顔で挨拶を返してくれた。


「院長、ルーちゃんは中に居ますか?」

「ええ」


 そんな会話をしながら、孤児院長室の扉を開けると——。


「ぷぷぷ~」——『めいー』


 ルーが嬉しそうに飛び出してきた。

 どうやら廊下の声を聞いていたらしい。


「ルーちゃん!」


 ぽよんっと飛んできたルーを抱きしめるメイ。

 

 うん、ほんとに仲良しになったわね、この子たち。


 そして——。


「あなたたちも、良かったら入って」


 私は後ろを振り返ると、ロイとマークに声をかけた。


 

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