14.ルーとおしゃべり。
それから五日後――。
テッテレーレー、テッテレー♪
久しぶりに、いつもより豪華な音が鳴った。
『獲得ポイント10,000達成!』
『新しい商品が交換できるようになったよ!』
「キター!!」
「ぷっぷぷ~!」
喜ぶ私の横で、ルーが踊るように飛び跳ねた。
「さて、何と交換できるようになったのかな~?」
交換商品の一覧をスクロールする。
「……あれ?」
おかしい。アイテムが増えてないぞ。
首を傾げていると――。
「ぷっぷぷー!」
ルーが、にゅっと伸ばした手――いや、触手? で画面を指した。
「……え、ここ?」
「ぷぅ!」
それは、交換商品の中にある『ペット』のタグ。
そこを押すと、見慣れた表示が現れた。
『ルーのごはん/10P』
『ルーのおやつ/10P』
そして、その下に――。
『ルーのことば/5000P』
「ことば……?」
その文字を見て固まる。
え、どういう意味?
まさかルーがしゃべるようになるってこと?
困惑しながら、その横に視線を走らせる。
「5000ポイント!? 高っ!」
よく分からないアイテムにしては高すぎる!
思わず叫んでしまった。
……でも。
もし、本当にルーとお喋りができるなら……。
『おはよう!』
幼い子どもの声で話しかけてくる脳内ルーを想像してしまった。
――絶対、かわいい!!
「ええい!」
買い物は勢い!
私は迷いが出る前に『ルーのことば/5000P』をタップし、そのまま確定ボタンを勢いよく押した。
パァァァァァ!
「ルー!?」
「ぷぷぅ!」
突然、ルーの体がまばゆい光を放つ。
目も開けていられないほどの眩しさに、私は思わず手で顔を覆った。
そして――。
『なでぃあー』
「……え?」
幼い子どものようなかわいい声が届いた。
そっと目を開ける。
すると同時に、ルーがぴょんっと私の腕の中へ飛び込んできた。
『ルーのこえ、きこえるー?』
「やっぱりこれ、ルーの声!?」
『そだよー』
間延びした、のんびりとした声。
想像とは、ちょっと違ったけど……。
『なでぃあ、ありがとー』
腕の中で、すりすり。
『ルーねぇ、なでぃあとおはなししたかったんだー』
「ルー……!」
思わず、むぎゅっと抱きしめる。
なんなの、このかわいい生き物は!?
「私もルーとお話できて嬉しいよ!」
『ほんとー?』
「もちろん!」
『じゃあ、いっぱいおはなししよー!』
「うん!」
嬉しそうにぷるぷる震えるルーを見ていると、ふと気になった。
「そういえばルー、今まで私が話してたことは分かってたの?」
『わかってたよー』
私がひとりごとを言っていたときも、全部分かってたってこと?
『なでぃあ、いっぱいルーにおはなししてくれたー』
「そ、そうね……」
なんだか急に恥ずかしくなってきた。
けれど、ルーはそんな私の気持ちなど知らず、嬉しそうに続ける。
『ルーもねー、いっぱいおはなししたかったの。でも、ぷぅしかいえなかったー』
「そうだったのね」
『だから、うれしー!』
ぎゅむっ、とルーが私の胸元にくっつく。
……5000ポイント。
最初に見たときは、とんでもなく高いと思った。
でも――。
「うん。これは買って正解だったわ」
「ぷっぷぷ~!」
あれ?
しゃべれるようになっても、そこは「ぷぷ~」なのね。
思わず吹き出すと、ルーは不思議そうに体を傾けた。




