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リプレイサブル・ライフ  作者: YeetedSushi
01-暗殺がもたらした出会い
10/17

【Side:オルレイア】咄嗟に導き出した最適解

「オルレイア」


「どうしました?」


「標的を生かしたままでも抽出装置で相手の脳内から記憶を取り出せるんだよな?」


待って……


シエン、いったい何を聞いているの?


まさか、任務を放棄するつもりなの!?


「三号、余計なことは考えず、早く任務を遂行してください!そんなことをすれば、裏切り者として処分されますよ!」


「……あとで、抽出した記憶を本艦へ送る。その時は、俺が独断でやったと上に伝えてくれ。通信を切る。縁があれば、また会おう」


「三号、三号!シエン、無茶をしないで――」


私がまだ言い終わらないうちに、シエンとの通信が途絶えた。


その後、何度試しても、彼との通信をつなぎ直すことはできなかった。


……


通信装置そのものを壊してしまったんだろう。


任務を放棄したのはすべて自分の独断だと上に伝えるよう言われたから、私は処罰を免れられるかもしれないけれど……


彼はどうなるの?


これまで、殺すべき標的を見逃した【プロキシ】は一人もいなかった。


少なくとも、私の知る限りでは、これが初めてだ。


ピコン――


標的である浅野紗夜の記憶データが、私のタブレット端末へ転送されてきた。


彼の言葉どおり、本当に標的の記憶サンプルが送られてきたのだ。


これで、少なくとも【コピー】が生き続けられることだけは保証できる。


「まずい……!」


画面に表示された地図上に、「四十六号」と記された丸いマーカーが、三号のマーカーのすぐそばに現れた。


四十六号……


あのサディスト、まさかシエンとの会話を聞いていたんじゃ……


私の知る四十六号なら、必ずこの機会を逃さず、シエンを殺そうとする。


どうしよう……


挿絵(By みてみん)


ドンドンドン――


「……!」


部屋の扉が叩かれた。


「【アドミニストレーター】のオルレイアさん、いらっしゃいますか?あなたが担当している【プロキシ】に、何らかの問題が発生したと聞いています。少しお話を伺いたいのですが、扉を開けていただけますか?」


四十六号は間違いなくシエンとの会話を聞き、自分の【アドミニストレーター】を通じて上層部へ報告させたんだ……


まだ数分も経っていないのに、もう上層部の代表が私のところへ来た……


……腹を括って、扉を開けるしかない。


「きゃっ……!」


扉を開けた途端、黒い仮面をつけた黒装束の集団が部屋へなだれ込み、私を床に押さえつけた。


全員、【総監】直属の執行部隊だ。


普段、艦内の治安を維持する必要がある時にしか、彼らは姿を現さなかった。


どうやら……


シエンの任務放棄は、重大な脅威として扱われているらしい……


「オルレイアさん。三号が【プロキシ】としての任務を放棄したというのは、事実ですか?」


白いローブをまとった中年男性の【総監】が、私を見下ろしながら問い詰めた。


睨まれただけで、冷や汗が止まらなくなった。


「……はい」


今さら嘘をついても無駄だ。


そんなことをすれば、私たちの立場がさらに悪くなるだけ……


「彼の【アドミニストレーター】であるあなたは、なぜ止めなかったのですか?」


『その時は、俺が独断でやったと上に伝えてくれ』


うっ……


「わ……私は止めようとしました。ですが、彼はそれでも任務を放棄することを選びました」


……


駄目。


シエンが【総監】に裏切り者と見なされたら、殺されてしまうかもしれない……!


「ですが……!」


だからといって、すべての責任を彼に押しつけるなんて、できるわけがない。


シエンは私の幼馴染で、それに……す、好きな人なんだから!


彼の言うとおりにしたら、彼はきっと裏切り者として追われることになる。


「ですが、私も責任の一端を負うべきだと思います!そ……そうです。原因は標的です!三号は標的の出鱈目な話を信じ込み、その結果、このような決断を下してしまったんです!」


何があっても、彼を守りたい。


今は、一度も会ったことのない暗殺対象に、すべての責任を押しつけるのが最善だ。


ごめんなさい、浅野紗夜。


シエンを守るためには、こうするしかない。


「……」


どうだろう……?


自分で口にしておきながら、かなり無理のある言い訳だと思う。


【総監】は目を細め、私の答えを吟味するように黙り込んだ。


こんなふうに値踏みされているような感覚は、本当に居心地が悪い。


「では、あなたはどのように責任を取るつもりですか?」


「……!」


もしかして、通った……?


「ほかの【プロキシ】に標的の追跡と抹殺を任せ、三号を連れ戻すべきだと考えます」


「……理由は?」


「今は、一人でも多くの【プロキシ】を戦力として残すべきです。そうすれば、より多くの任務を遂行し、より多くの【コピー】を早くエラリスへ移住させられます。標的については、これまでと同じように抹殺し、こちらの情報を漏らす機会を与えなければいいだけです」


「三号があなたの幼馴染だから、何としてでも彼を守ろうとして、その結論を出したわけではありませんね?」


……!


この人、勘が鋭すぎない!?


もう私を疑い始めている……


早く何とか誤魔化さないと!


「……違います。これは、より多くの人を救うために導き出した結論にすぎません」


「では、この任務はあなたに一任します。標的か三号が我々の存在を明るみに出す前に、二人の居場所を突き止めなさい。その後、手の空いている【プロキシ】を数名率いて標的の暗殺を完遂し、三号を本艦へ連れ戻すのです。それができなければ、任務失敗の責任として、あなたも三号とともに処分します。分かりましたね?」


「は……はい!」


「彼女を放して構いません。撤収します」


私を押さえつけていた執行部隊の隊員が、ようやく私の腕を放した。


その後、執行部隊は【総監】の指示に従い、一足先に私の部屋から出ていった。


「ふん……若い者は、誰にも気づかれていないとでも思っているのか?」


ほかの者が全員立ち去ったあと、【総監】は扉の前で小さくそう呟いた。


えっ?


「しっかりやりなさい。二度と我々を失望させないように。何しろ、この件は全員にとって重要なのですから。分かりましたね?はぁ……だから私は、【総監】なんてやりたくなかったんです。面倒くさい……」


私に背を向けたままそう言い残すと、彼は部屋の扉を閉めて立ち去った。


……これで、シエンを守れたんだよね?


うぅ……


シエン、私、本当に頑張ったんですよ?


帰ってきたら、絶対にご褒美をもらいますからね!


たとえば、一緒に寝てもらうとか、いつもより長く私のそばにいてもらうとか……


もう、本当に。

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