道を聞くふりしてナンパするの考えたやつ挙手!
※予告通り穂乃果視点になります。
「わあ、見て穂乃果!あの乗り物面白そうじゃない?」
「わ、わあ。そうだね」
私たちは今遊園地に来ていた。
というのも角田がどうしても行きたいと要望したからである。
「僕、彼女と遊園地デート一度やってみたかったんだー!」
「そうなんだー……」
今にもスキップでもしそうな角田と違って穂乃果は混乱していた。
(やっぱり、服に気合い入れすぎたかな!?)
仕方ないじゃん!人生初デートだし気合入れるに決まってるし!なのに角田は堂々とした汚す発言するしさ!あ、あんな劣情にまみれた目で見られたら意識しないわけない!
※そんな事実はありません。
う、うー。さっきからチラチラと足に視線を感じる……
「あのさ」
「な、なに?」
も、もしかして写真を撮らせてくれとか言うんじゃ!?それでいつも夜な夜な熱い劣情を消すのに使われるかもしれない!
※だからそんな事実はありません
「だ、だめ!」
「え?そんなに休憩するのだめだった?」
「え?きゅ、休憩?」
「うん、その靴だと足がすぐ疲れちゃうと思って」
そう言って角田は私の足元を指さす。
確かに今日は履き慣れてないヒールのある靴を履いてきていた。それを指摘されて思い出す。確かに混乱してて気づかなかったけど少し足が疲れた。
じゃあ、さっきからチラチラ足を見てたのは私を気遣ってくれてたからだったのか。なのに私、あんなことを考えて……
そう思うと急に恥ずかしくなった。
「ほら、あそこに座るところがあるから休憩しようか」
「う、うん」
椅子に座ると少し足が楽になった。自分で思っていた以上に遊園地に来るまでに疲れてたんだな。
「足、大丈夫そう?」
角田は心配そうに私の顔を覗き込む。目と目が合う。その間は一秒となかったが私の鼓動を速めるのには十分な時間だった。
「だ、大丈夫!」
私は急いで目をそらして大げさに答える。
「そう?でも、心配だからしばらくは休憩しておこうね?」
「う、うん」
角田が優しくしてくれるほど、私の鼓動は早くなる。
(こ、こんなに異性から優しくされたの初めてかも……)
「僕、何か飲み物買ってくるからちょっと待ってて!」
そう言って角田は椅子から立ち上がり売店に向かって駆け出して行った。
「助かった……」
あれ以上角田に優しくされてたら危なかった。もう少しで彼に本気で惚れてしまいそうだった……
「角田の癖に……」
あんなに心配して私のことばかり考えてくれて服もちゃんと褒めてくれてどこまで私にべた惚れなのよ……
「あれ?穂乃果?」
「え?望……」
声の主は同じクラスで友達の辻井望だった。彼女こそが罰ゲームを考案して角田と付き合うように決定した張本人。
「な、なんでここに?」
「私?私は彼氏とデートだよー」
とても嫌みのない顔で満面の笑みを浮かべて私に向かってピースをする。その顔にグーパンをしたくなる気持ちを必死に押さえつけて冷静になろうと全力で心掛ける。もし、彼女にデートなどしているなど知られたら何を言われるか分かったものじゃない。
「穂乃果は角田とデート?」
「い、いや!角田とデート何てあり得ないから!」
「そう?穂乃果と付き合って少しは変わったみたいだし本気で付き合うの考えてもいいんじゃない?」
「そ、それは……」
確かに角田は私のために必死に変わってくれた。そんなところはまあ、悪い気はしないけど……
「もう、そんなことじゃ他の人にとられるよ?」
「角田に限ってそんなことは……」
そういえば、やけに戻ってくるのが遅いような……
い、いや。元はあの角田だしさすがにそんなことはあり得ないよね。
……だ、大丈夫だよね?
「ねえ、あれ角田じゃない?」
「え?」
望の示す方向には飲み物を両手に持っている角田がいて、二人組の女性に話しかけられていた。しかも、角田は笑顔で話している。
「ほら、言わんこっちゃない」
望は肩を上下して呆れていた。
なんで?とは思わない。角田とは付き合ってまだ数日しかたっていないし、そもそもべたぼれがおかしいのだ。それに私はあくまで罰ゲームで付き合ってるだけだし文句を言うのもおかしい。
だけど……今だけは私の彼氏だ!
「え?穂乃果!?」
私は気づけば椅子から立ち上がり角田のもとに一直線に向かう。
「え?穂乃果?どうしたの?」
私は角田の腕を抱きしめて女性たちに向け告げる。
「この人は私のものですから!」
私の唐突な発言に角田は完全に意表を突かれていた。それもそうだ付き合ってからは私から好意をはっきり告げたことなどなかったのだから。そして、それは角田だけではなく女性たちも同じで完全に固まっていた。
(どうよ!やってやったわ!)
私は完全に勝ったと思って渾身のどや顔を披露していた。その堂々たる態度に女性たちは困ったように笑っていた。
「あのね、穂乃果。この人たちは道に迷って僕に道を尋ねてただけなんだよ」
「へ?じゃ、じゃあ……完全に勘違い?」
私の問いに角田は静かに頷く。
(やっちゃったよ!?何が私のものよ!?)
私は羞恥で完全に頭が沸騰していた。きっと顔は真っ赤だろう。
「す、すみません!」
「い、いえ!わ、私たちはこれで失礼しますね!」
女性たちはそそくさとその場を立ち去っていく。そうして二人っきりになるのだが、あんな発言をしてしまったあとでは何も言えなかった。そうして少し沈黙が続くがやがて角田が口を開く。
「あのさ……穂乃果」
「は、はい」
何を言われるの!?
「必死すぎwwww」とか言われない!?
大丈夫!?ねえ!大丈夫かな!?
あまりの緊張に早鐘の如く鳴る心臓の音は体中に響き渡る。うつむく私の視界には地面しか映らない。故に角田の表情が分からない。怒ってるの?呆れてるの?馬鹿にしてる?
私はぐっと服の裾を手で強く握りしめ耐えるように角田の次の言葉を待つ。
「最高にかっこよかったよ!!」
「え?」
角田は満面の笑みでとても満足そうに告げたのだった。
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