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クラスの陽キャが僕と罰ゲームで一ヶ月付き合うことに。別れる前提で全力で恋人を楽しんだら、彼女が別れたがらない。  作者: 水海雫
第一章 理想の恋人ライフ

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角田の重要事項

「うーん」


目が覚めて初めに目にしたのはあどけない佐藤さんの寝顔だった。彼女は何の警戒もなくただとても満足そうな顔で寝ていた。目の前の彼女からは少し甘い匂いがして妙に心を落ち着かせた。


起きたらすぐ隣に彼女が寝ているのはなんて目覚めがいいんだ。僕は体を起こして思考を覚醒させる。そして昨日のことを思い出す。


(ああ、そうか。昨日はあの後二人でアニメの一気見をして知らない間に寝てたんだ)


初めはなんだか集中できていなかった佐藤さんもよほど気に入ったのか熱狂していた。それを見て僕もさらに熱狂して熱く語り合った。


楽しかったなー。

ここまで楽しくて嬉しかったことは初めてだ。僕には友達がいないし話す相手が今までいなかった。


だけど、昨日は心行くまで満足した。まさか、恋人とこんなに楽しく過ごせる体験ができるなんて嘘告バンザイ!


「うーん、もう朝……」


佐藤さんも目覚めたのか、目を擦りながら大きなあくびをして虚ろな目で僕のほうを見て固まった。


「おはよう。穂乃果」


「な、な」


僕は昨日の感謝も込めて満面の笑みで彼女に言う。すると佐藤さんはみるみる顔を赤くさせて挙動不審になった。


「大丈夫?水飲む?」


「う、うん」


僕から水を受け取った彼女は勢いよくごくごくと喉を鳴らしながら水を飲み干す。少し触れた彼女の手は温かかった。それが少し嬉しい。


「な、なんで笑ってるの?」


佐藤さんはとても不思議そうに顔を傾げながら聞いてくる。僕はどうも笑っていたらしい。それが知れてなお嬉しかった。


「いやー理想の恋人ライフだなーって思ってさ」


「ただ、アニメの話しただけなのに?」


「そうだね……」


ただ、アニメの話をして楽しさを共有してるだけ。でも、それがとっても嬉しいんだ。隣に人の温かさや呼吸の音がする。それが僕にとって重要なことだから。


「あのさ、今日は土曜日だし、僕とデートしてくれない?」


「え?」


それは自然と口から洩れていた。それは角田の人の温もりを求めるあまりに出た願いだった。まだこの時間が続いてほしい。そんな願い。


(し、しまった!?)


こんな聞き方をしてしまっては万が一にも彼女に断るチャンスを上げるようなものだ。あくまで彼女には嘘告の代償として僕の理想の恋人ライフに強制的に付き合ってもらう計画なのに!


僕はぐっとこらえるように目を閉じ彼女の返事を待つ。


「い、いいよ」


「え!?う、嘘じゃないよね?」


「う、うん」


や、やったー!!一時はひやひやしたけどデートは約束できた。これでまだ佐藤さんといれる!


「じゃ、じゃあ、私は一度帰って着替えてくるから待っててくれる?」


「うん!いつまででも待つよ!」


「そ、そこまでは待たなくていいから」


「いいんだ。それくらい僕は楽しみなんだ!穂乃果の私服を見られるのもデートもね!」


僕は首を振り彼女にいかに僕が初デートというイベントを楽しみにしているか伝える。このイベントは一大イベントだ。佐藤さんはいつもの制服ではなく私服に身を包み僕のためにおしゃれをしてくる。それがたとえ嘘告でもあからさまには手を抜かないはず、つまり本物のデートと遜色なく楽しめるというわけだ!


「わ、分かったから!」


佐藤さんは顔を真っ赤にしていた。どうも僕の童貞丸出しの初デートへの意気込みがよほど恥ずかしいものだったらしい。だが、恥などはない!これが僕の本心だ!


「よかった。じゃあ、ゆっくりでいいから絶対に来てね?」


「わ、分かったわよ」


そうして僕たちのデートは決行されることになった。


_____________________


それから一時間後。


ピンポーン


「あ、佐藤さんだ!」


インターホンの音にすぐさま反応して僕は駆け足で玄関に向かいドアを開ける。するとそこには女神がいた。そのあまりの衝撃に僕は固まった。しかし、固まっていたのは僕だけではなかった。


「え、えっと……よく似合ってるよ」


「あ、ありがとう……あなたもよく似合ってるわ」


お互いに固まっていたようだった。


「な、何か変だった?」


佐藤さんが少し不安そうに聞いてくる。それは世に言う上目遣いというものになっており今にも泣きそうな目元が余計に彼女を可愛く見せていた。


「全然!あまりにも可愛くてびっくりしちゃったんだ。ごめんね。心配になったよね?」


彼女ほどの容姿の持ち主だ、こんな陰キャに変に思われるなんてきっと心配でたまらなかったのだろう。ここはしっかり褒めなくてはいけない。男の見せ所だ!


「大丈夫!そのスカートも可愛いしとっても似合ってるしセクシーさも出てて僕は大好きだよ!」


「!?」


僕の言葉に彼女は瞬時に反応して自分の露出した足を手で隠す。


「そ、そんなとこまで見なくていいの!」


「え?だって僕のために可愛くしてくれてるんだし見なきゃ損でしょ?」


「そ、それは……す、少しだけだからね」


佐藤さんは恥ずかしそうにしながらも手を退けてくれる。改めて見ると彼女の足は細すぎず肌はきめ細やかで傷一つない。よく手入れされているのが分かる。


(陽キャは陽キャで大変なんだなー)


「も、もういいでしょ」


「うん!とっても参考になるよ!」


「な、何の!?」


「なんのって……無粋だよ?」


「!?」


角田は陽キャという生き物の参考資料になる。とは言わなかった。その結果、穂乃果は壮大な勘違いをする。


(私、角田の脳内で汚されるの!?)


次回、波乱のデート開幕。


※次回は穂乃果視点になります。彼女の壮大な妄想の数々を乞うご期待!





読んでいただき、ありがとうございます。

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