因果応報
「はあ」
今、角田は非常に気が滅入っていた。先日の望のキスを発端に自分の置かれた状況を完全に理解。だが、角田自身この状況をどうすればいいか皆目見当がついてなかった。
改めて整理すると二人から好意を寄せられており、角田は穂乃果が好きだと気づいた。その状態で先日のキス。
望も角田からすれば大切な存在であるのに間違いはない。もし、彼女を拒絶したら…あまり考えたくなかった。
「よ、角田!」
そんな角田の肩を叩いたのはけんちゃんだった。
「けんえもーん!」
「うお!?ど、どうした?」
角田は藁にも縋る気持ちを込めてけんちゃんに抱き着いて助けを求める。実質、友達のいない角田の唯一頼れる男の知り合いである。
通学を共にしながら事情をけんちゃんに説明する角田。けんちゃんは話を聞き一つの可能性を思いついていた。
「なあ、角田」
「何かいい案思いついたの!?」
「ああ、最高の案だ」
けんちゃんは笑顔で角田の肩を掴み提案する。
「ハーレムこれしかない!」
「……けんちゃん……僕をなんだと思ってるの?」
「ハーレム王だろ?」
「それは誤解だから!」
確かにハーレムができる成立するなら状況は丸く収まるのかもしれない。だけど、それは二人に苦しい思いを強要させることになる。
角田にはその選択肢は存在しなかった。それに母と約束した。選択をすると。
「だけど、辻井さんを振るのは嫌なんだろ?」
「そうだけど……」
それもまた事実だった。彼女を振るくらいならハーレムをなんて都合のいい答えは求めていないが彼女を傷つけることを角田はためらっていた。
「あのさ角田。誰も傷つけない選択肢なんて存在しないんだぜ?」
「……」
けんちゃんの言葉には重みがあった。僕との婚約を破棄させても仙波さんと付き合いたかった彼だからこその言葉だった。
分かってはいた。傷つけない選択肢なんてなくて僕には責任があってどちらかを傷つけてでも選んであげなければいけない。
「……佐藤さんが好きなら好きって言えばいいんじゃないのか?」
「そうなんだけどね……」
佐藤さんに告白して選べば今の状況を終わらせられる。でも、そんな資格が僕にあるんだろうか……
脳内には自分の都合のいいように彼女を使って理想の生活をエンジョイしていた頃の記憶が蘇る。彼女にはたくさん勘違いをさせて心にもない言葉を言ってきた。彼女への言葉は結局空っぽのものだった。
それに彼女は嘘告で僕に告白をしてきた。本当はただの勘違いで僕に好意を持ってくれてるかもしれない。そう考えると足がすくんだ。
「嘘告が始まりだからか?」
「え?なんでそれを……」
けんちゃんは知らないはず。
「静流が二人から聞いたんだよ」
「そうなんだ……」
図星だった。嘘告から始まった関係。それは角田にとって足枷になっていた。
「で、俺は思ったんだけどさ……今度は角田から嘘告しようぜ」
「え?ど、どういうこと?」
「今度はこっちから佐藤さんに嘘告して偽の恋人生活をするんだ。それで、佐藤さんの本心を改めて確認するんだよ」
「それってアウトじゃない?」
「あっちが初めにやったことなんだからこっちがやっていけないことはないだろ?」
「そ、そうかな」
それはさすがに水掛け論じゃないのかな……
「とにかく!これで佐藤さんを試してそれで辻井さんか佐藤さんか選べばいいんじゃないか?」
「でも、それって辻井さんを悲しませることになるけどいいのかな?」
「あーそうだな。分かった。なら角田の時と同じで辻井さんには嘘告の話を話してたらどうだ?」
確かにそれなら少なくても悲しませることはないかもしれない。それになんだかいい案に思えてきた。
「……分かったよ。僕、嘘告するよ」
「よし!その意気だ角田!」
肩を抱きしめあい二人は笑顔で校内に入っていく。だが、二人は当事者に聞かれているなど知らなかった。
「ど、どうしよう……」
物陰からこそこそと出てきた穂乃果はとんでもないことを聞いてしまいパニック状態に陥りながらのろのろと教室に向かっていくのだった。
物語は最初に戻る。これも因果なのだろう。
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次回!
ダ・カーポ
お楽しみに!
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