病に罹る。
「今日はありがとう。穂乃果ちゃん」
「いえ、私はただ栄吉君に笑ってほしかっただけですから」
「ふふ、栄吉は幸せね?」
「そ、そうだね……」
角田は視線を穂乃果に向けられず少し逸らして肯定する。おや、顔が赤い?
「栄吉どうしたの?熱でもあるの?」
「え?い、いや。大丈夫だよ母さん」
「本当に?」
いつもと違う角田を心配して穂乃果は角田のおでこを触って熱がないか確認する。だが、おでこというより顔が熱くなっていた。
「やっぱり熱があるんじゃ…」
「だ、大丈夫!ほ、ほら父さんも母さんも行こ!」
「おいおい、そんなに急がなくても…」
角田は急いで家に帰るように両親を急かしていた。
「またね!」
穂乃果は角田に向かって手を大きく振る。また明日。いつも通りに。
そんな穂乃果を振り返って角田は小さく手を振り返す。
そうして焼肉パーティーは幕を閉じた。
しかしその日を境に穂乃果は角田と会うことはなくなっていた。
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「はあ」
穂乃果は大きなため息を吐き出しながら机に項垂れる。それも角田が最近休んでいて会えていないからだ。もしかして自分のしたことは余計だったのかもしれない。そんな考えが頭に過っては回っている。
「ねえ、望はやっぱり私やっちゃったと思う?」
穂乃果の問いに望は反応せず窓の外を眺めていた。どこか憂鬱気味に。
「ねえ、望?」
「え?な、なに?」
「だーかーら。私余計なお世話だったかなって」
「あ、ああ。そのこと……」
望は少し目を伏せながら口を開く。ここで本当のことを言うのは敵に塩を送ることになる。しかし……
(お母さんの分も頑張るんだものね……)
※穂乃果のお母さんは死んでると思い込んでます
「そんなことないんじゃないかな……きっと嬉しかったはずだよ」
「で、でも長い間休んでるよ?もしかして私に会いたくなくてとかじゃ……わあああ」
穂乃果はもしもの想像でおかしくなりそうだった。そうだったら壊れそうだと思い悩んでいた。
「それはないんじゃないかしら。ね?辻井さん」
静流が横目で望を見ながら二人に会話に自然に入ってくる。
「そうだね……でも、会いたくはないんじゃないかな?」
「や、やっぱり!?」
穂乃果はショックで頭を抱えて机に突っ伏す。そんな穂乃果を見ながら呆れて静流は望に言う。
「意地悪な言い方ね?」
「……これくらいは許してほしい」
「はあ、何とも不器用な人ですね?」
「仙波さんほどじゃない」
「……そうかもね」
静流は二人を気の毒そうに見ていることしかできない。それが少しもどかしかった。
「あなた次第よ……角田君」
今はここにいない角田に向かって静流は静かに告げるのだった。
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その頃自宅にて角田は謎の熱に苦しんでいた。
「……どうしよう」
高熱に苦しめられ困っていた。わけではない。
「……佐藤さんとどんな顔して会えばいいんだろう……」
角田が罹っているのは病は病だが恋煩いだった。
あの日、角田は穂乃果に強く感謝した。愛を感じられた。そしてそれは角田の心を満たした。しかし、それは両親の愛だけではなかった。確かにそこにあった穂乃果の自分への愛も感じた。あの笑顔が離れない。よかったね。彼女は嬉しそうに言ってくれた。まるで自分のことのように。その瞬間、角田は恋に落ちた。
「あー……可愛いな…」
過去のデートなどを思い出しながら角田は悶えていた。結果、熱は上がり長期にわたって休んでいるというわけだ。
「会いたい……けど」
会いたいそう思うたびに角田の脳裏には過去のやらかしが思い浮かぶ。
「恥ずかしいことしてたな……」
※乙女かよ。そんなメンタル弱い男じゃないだろ?
幸いなのか今は会わないで済んでいるのでいいものの実際どんな顔をして会えばいいのか全く分かっていなかった。でも、会いたい。
「顔が見たいな……」
※重症ですね。とりあえず殴らせてもらえますか?
ピンポーン!
そんなことをうとうとしながら考えているとインターホンが鳴る。それに気づいて角田は何とかベットから這い出して玄関に行く。もしかしたら彼女かもしれないと少しスキップをして。
「え?辻井さん?」
ドアを開けるとそこには手にコンビニの袋を持った望が立っていた。少し不機嫌そうにしながら。
「……穂乃果だと思ったでしょ?」
「い、いやそんなことないよ?」
「……穂乃果は角田に会いたくないって言うから私が来たんだ」
望は意地悪な言い方をした。正しくは嫌われてたら死にたくなるから代わりにお見舞してきてと言われたのが正解だ。
「そう……なんだ」
見るからに角田はショックを受けていた。それを見て自分で言っておきながら心にチクリとした痛みが刺さるようだった。
「……私じゃだめ?」
「え?辻井さん?」
その時の彼女は角田から見ても少し様子がおかしかった。まるで焦っているようでどうしようもなく不安そうな表情。角田は心配になって近寄ろうとした。しかし、先に望から急に近づいて角田は唇に柔らかな感触を感じる。
「え……」
何をされたか角田は全く分からなかった。しかし、角田は知っていた。これはキスされたときの漫画の描写に似てると。
「……私、負けないから」
そう言って彼女はコンビニの袋を荒く角田に押し付けて帰っていく。
「……大変だ」
改めて自分の置かれている状況を理解して頭を抱える角田。言うまでもないが角田はさらに学校に行きづらくなるのだった。
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次回!
けんちゃんのアドバイス!
次回もぜってー見てくれよな!
読んでいただき、ありがとうございます。
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