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クラスの陽キャが僕と罰ゲームで一ヶ月付き合うことに。別れる前提で全力で恋人を楽しんだら、彼女が別れたがらない。  作者: 水海雫
第二章 恋煩い

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肉を焼くと描いて焼き肉!

「それでは佐藤家恒例の焼肉パーティーを開催します!」


「いえーい!」


佐藤さんと佐藤さんのお父さんは以上にテンションは高くて他のみんなは気後れしていた。なんかしゃもじをマイク代わりにしてるし……


「栄吉君も楽しんでるかなー!」


「え?う、うん。い、イエーイ!」


焼肉ってここまでハイテンションでやる物だっけか?しかし、場をもり下げるわけにはいかない。ここは頭を空にしなければ!


「焼肉、肉肉イッエーイ!」


「お!ノリがいいね?栄吉君もいける口だね?」


「任せてくださーい!僕焼肉djイエーイ!」


「え、栄吉?」


息子の普段見ぬとんでもテンションにビビりまくる角田ママンとパパン。見事に瞼がひくついている。


「ほら、父さんも母さんもイエーイ!」


「「い、イエーイ」」


一家総出で佐藤家に合わしに行くのだった。


「ね、ねえけんちゃんあれ大丈夫なの?」


「……静流見ないでやれ」


完全にけんちゃんたちは周りのテンションが高いゆえに逆に一歩引いたところから冷静になっていた。


「それでは…肉投入しましす!」


「イエーイ!!」


佐藤さんと佐藤さんのお父さんによって大量肉がホットプレートに投入されていく。と言うか肉以外が見当たらない。


「あのさ、肉はいいけど野菜は?後で入れるの?」


「え?ないけど」


「え?」


野菜がない?焼肉で?


「冗談だよね?」


「え?だって焼肉だよ?肉を焼くから焼肉でしょ?」


「えー……」


さすがに予想外だった。いったい佐藤家はどういう教育をしてきたんだろう……ちらっと佐藤さんのお父さんを見るとなぜか親指を立ててやってやったぜと言わんばかりの笑顔だった。


(いや、原始人じゃあるまいし……)


※佐藤家のお父さん名前は一馬。この男は角田以上のやばさを備えた人材です。


「ま、まあ。たまにはいいんじゃないか栄吉」


「そ、そうよ。ごちそうじゃない」


「二人とも僕の顔を見て言ってよ……」


完全に流れは佐藤家の支配下だった。その隙にも穂乃果によって絶え間なく肉は供給されていく。


「はい、これ焼けたから子の自家製のたれをかけて食べて栄吉君」


「う、うん」


穂乃果は小皿に自家製のたれとやらを入れてくれる。なんかきのせいじゃなければ普通のたれより少しどす黒い気が……


(だけど、ここで食べないのはマナー違反だよね……)


ごく。


唾を飲み込み覚悟を決めて一口。


「……おいしい」


「ふふ、そうだろ?この自家製のたれが最高なんだよ!」


自慢するだけあって自家製のたれは一級品だった。でも、それだけだろうか……


(なんか今日はやけにおいしく感じるな…)


「不思議そうだね?」


望が少し面白そうに角田に笑顔で言う。


「……なんかいつもよりおいしくてさ。なんでだろう……」


すると望は角田の言葉を聞き少し笑って角田に嬉しそうに言う。


「あのさ、食事って誰かと食べるとおいしいんだよ。不思議だよね?」


そうか、これが……


漫画やアニメなどのフィクションではよく言われてることだったが角田はあくまでフィクションだと思っていた。


だが、この瞬間確かに感じた食事のおいしさはただ美味しいだけではない。嬉しい楽しい。そう言った感情まで出てくる。それが確かな現実の出来事だと角田に教えていた。


「……知らなかった」


「大切なことを知れたね?」


「うん」


皆楽しそうにお肉だけの焼肉をおかしくも楽しんでいた。母も父も食べ慣れているはずなのにおいしそうになにより楽しそうだった。僕が知ってる二人ではないようだった。


「きっと、穂乃果は知ってほしかったんだね…」


「え?なにを?」


望は角田の手をみんなに見えないように握り小さな声で言う。


「お父さんとお母さんは角田の考えてる人じゃないって多分本当の二人を知ってほしかった。だから誘ったんじゃないかな?」


「そう……なんだ」


その事実と彼女の手の暖かさに鼓動が早まりながら脈打っている。


「私もそう思うよ……二人はきっと角田が思うような人たちじゃないんじゃないかな?」


「そうかな……」


「きっとそうだよ……」


彼女の手は静かに僕の手を離れていった。


_______________


「さて、そろそろ締めの移行しようか?」


「そうだねパパ」


「え?締め?これってラーメンとか鍋じゃないよな?締めとかあるのか?」


「けんちゃん、ツッコんだら負けだと思うわよ……」


さすがにけんちゃんも佐藤家の暴れっぷりには黙っていられなかった。


※なんだかんだノリがいい奴だ。


「ふふ、締め。それはあってもいいんだよ!」


「い、いいのかな……」


「いいんだよ!」


圧が強い。


「では最後にうちのパパ特性の焼きそばをごちそうします!」


「うん!任されたよ!」


ちゃかちゃかとフライ返しをこすり合わせてやる気満々だった。


そうして見事な手際で焼きそばを完成させた。


「へい!お待ち!」


「「おお!」」


あまりのこなれた感じにみんなが拍手をしている。


「お見事でした!弟子入りしたいぐらいです」


「へへ、いやー」


知らぬ間に父さんと佐藤さんのお父さんは仲良くなったのか楽しそうだった。肩まで組んでいた。


「あの人ったら。ふふ」


母さんも自然と笑顔になっていた。


すると、後ろから肩を叩かれる。


「少し、頑張ろ」


拳を突き出している穂乃果がいた。


(何を頑張るの?は必要ないよね……)


僕は彼女に拳を合わせて深呼吸をして母さんと父さん向かって口を開く。


「父さん、母さん」


「うん?なんだ栄吉」


「どうしたの?食べ過ぎた?」


二人は不思議そうな顔をしていた。でも、いつもの無表情ではなかった。それが少し僕に勇気をくれた。


「あのさ、これからはもう少し一緒にいる時間取らない?」


それは仕事の邪魔に二人の邪魔にならないようにと言えなかった言葉。きっと二人のことは決まっていると言えなかった。だけど、人は言わなければ伝わらないし進まないから。


「……そうだな」


父さんは静かに呟く。


「でも、いいのかしら?」


「栄吉が望んでいることだ」


二人な何か納得したのか僕に向き合い真剣な目で告げる。


「いいか栄吉。お前はお前の幸せのために自由に生きなさい」


「うん?どういうこと?」


何のことか分からず父さんに聞くと二人は心配そうに僕を見て告げる。


「あなた、小さなころから私たちのために頑張ることが多かったでしょ?」


「う、うん。褒められたくて……ごめん」


僕がそう言うと母さんが慌てて訂正する。


「ち、違うの。謝ってほしいんじゃなくて……むしろごめんなさいね」


「え?」


まさか謝られることになるなんて思っていなかった。母さんにも父さんにも。


「……私たちはただあなたの自由に生きてほしかったの。だから母さんたちはあえて興味がない振りをしたの……ごめんなさい」


「すまない」


二人とも頭を下げて真剣だった。大の大人が頭を下げていた。


「私と母さんの望みは栄吉が楽しく自由にしてくれることだった……だが、やり方が間違っていた。だからこの場を借りて言わせてもらったんだ」


「父さん……」


分からなかった。二人がそんなに考えてくれているなんて。


「僕はてっきり仕事が大切だからだって……興味が僕にないじゃないかって…思ってたよ」


すると二人は顔を合わせて笑い出す。


「はは、知ってるか?母さんお前に彼女ができたって大喜びだったんだぞ?」


「え?そ、そうなの?」


「大切な息子に彼女ができたんだから当然よ」


そっぽ向きながら言う母さんを見て事実だと分かる。


(どうも本当に大切にされてたんだな……)


「栄吉!?」


「だ、大丈夫!?」


「え?」


気づくと涙出ていた。安心。嬉しい。それは名前が付けられない感情だった。混ざってぐちゃぐちゃな説明ができないそういう感情。


「僕……愛されてたんだ」


角田の胸の中に確かにあった穴は綺麗にふさがった。いや、満たされた。


「よかったね?」


こちらを見て笑う穂乃果がとても嬉しそうに言う。


「ありがとう……ありがとう」


僕にできるのはただ、感謝の気持ちを言う。それだけだった。


_________________


次回


追い風。


お楽しみに









読んでいただき、ありがとうございます。

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