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クラスの陽キャが僕と罰ゲームで一ヶ月付き合うことに。別れる前提で全力で恋人を楽しんだら、彼女が別れたがらない。  作者: 水海雫
第二章 恋煩い

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角田節

それはある日の昼下がり。


ピンポーン。


高級住宅街の一軒の家に響く音。


「ごめんくださーい。婚約のあいさつに来ましたー」


角田はインターホンに向かって口を開く。


「か、角田君どうしたの?」


少しして聞きなれた声が聞こえてくる。それを聞き角田は機嫌よく答える。


「いやー婚約するなら僕のことを仙波さんのお父さんにも自己紹介しようかなって。で、今日はお父さんいる?」


「え、ええ。いるけど……」


「よかったー。じゃあ、ドア開けてくれる?」


「わ、分かったわ」


あまりの角田の勢いに負けて静流は玄関に行きカギを開ける。そしてゆっくりとドアを開けるのだが……


「やっほー仙波さん!」


「え?」


そこにいたのは角田だけではなかった。そこには穂乃果や望もいた。


「ど、どいうこと?なんでクラスメイトの佐藤さんや辻井さんが一緒に……」


「話すと長いんだけどさ、二人とも僕の将来の家族なんだよ」


「か、家族!?」


「うん。穂乃果とは将来の約束をしているし望とも付き合ってるんだ。隠ししててごめんね?」


「そ、そうなの……」


この事実にはさすがに静流も戸惑っていた。角田の両親から聞いてた話では大人しくてまっすぐで誠実な息子だと静流は聞いていた。確かにまじめだし隠さず静流にこのハーレム状態を告げたのは誠実だが……


(もはや誠実とは?……)


静流はそもそも根本的に間違っているのではないかと考えだしていた。事実二股状態なわけだしそれがそれぞれの許可を得ているからハーレムなわけだが、二股の事実は変わらないわけで。


※ごもっともです。角田は二股最低野郎です。


「だ、誰もそこまでは!」


「仙波さんどうしたの?」


「い、いや。なんでもないわ」


「そう?とにかくさ、中に入れてくれる?」


「……どうぞ」


「おじゃましまーす」


角田は意気揚々とレンガ造りの高級住宅に入っていく。そうして静流に案内されリビングに通される。


「と、とりあえず、ここで待ってて。お父様を呼んでくるから」


「「はーい」」


静流は少し急ぎ足で父のいる書斎に向かって歩き出す。


「……お父様怒るかしら」


ふと父の顔が頭に過り言葉が漏れる。まさか婚約者がこんな破天荒な男だったなんて知ったら……


そんな想像を取り払うように頭を振る。今は会社が一番だし私の気持ちも何もかも関係ない。そう自分に言い聞かせて父の書斎の扉をノックする。


「お父様、少しいいでしょうか」


「うん?なんだい?静流」


中から聞こえる声は優しく思いやりに溢れたいつもの父の声で静流は安心する。


「その……角田君がお父様に自己紹介がしたいって家に来てるの」


「……そうかい……分かった今行くよ」


そうして書斎の扉が開き静流パパンが顔を出すと少し俯きながらぽつりと告げる。


「……すまない……《《しずるちゃん》》」


それは聞こえない程度の小さな言葉だった。しかし、静流にはしっかり聞こえていた。だから静流もぽつりと返事する。


「……いいのです。私の決めたことですから」


それを聞こえたのか分からない。しかし、静流パパンは少し顔を歪めた。


「行こうか……」


「……はい」


そして、二人はゆっくりと角田たちが待つリビングに向かうのだった。


________________


「すまない。少し待たせた……ね?」


リビングに着き静流パパンが目にしたのは……


「はい、あーん」


「あーん……うん!おいしい!」


「ふふ、よかった」


娘以外の女性と盛大にいちゃついてる角田の姿だった。しかも……


「ねえ、角田。私も!」


「うん。あーん」


女性は一人ではなかった。


その光景に静流パパンは体が固まり動かなかった。


(こ、このご時世にあーんだと!?)


そのべたなほどのいちゃつき方に身震いをしていたのだった。


※いや、そこ以前にツッコむポイントあるだろ!?


「ちょ、ちょっと!何してるの角田君!?」


だが、さすがに娘の声で静流パパンも正気に戻る。


(い、いかん!あまりにもべたべたすぎて動揺して肝心な部分が抜けていた!)


「そうだ!角田君何をしてるのかね!」


それを聞き角田は動揺するわけでもなくただ当たり前のように笑って答える。


「何って、将来のパートナーたちとの憩いの時間を過ごしていただけだよ?」


「は!?将来のパートナーたち!?ど、どういうことだね!?」


完全に初耳の静流パパンはあまりの状況に脳みそが追いつきそうになかった。故に脳みそは完全にこの状況を拒絶していた。


「静流パパン!!」


「静流パパン!?」


もはや角田の暴走はいや、大暴走は止められない。


「あなたの娘さんをこのハーレム王の角田栄吉にください!!」


「ハーレム王!?」


次々と出てくる破天荒な言葉に静流パパンは完全に混乱状態に陥っていた。それでも何とかその無茶苦茶な状況に追いつくために必死に脳みそを動かし何とか言葉を絞り出す。


「パ、パパンは早くないかね?」


「お父様!ツッコむところはそこではないでしょ!」


「はっ!そ、そうだね。えっと、まずハーレム王とは何のことかな?」


「はい!不肖ながら角田栄吉の夢はハーレム王になることなのです!!」


「は?……」


「……ほ、本気で言ってるの角田君?」


二度聞いても全く答えになってない回答に驚きすぎで固まっている静流パパンの代わりに静流は問う。


「うん!僕はいずれ100人彼女がいるやつだって超えるんだからね!!」


※やめろ!そいつには敵わねーぞ!角田!


「へ、へえーすごいわねー……ね、お父様?」


だが、ここで否定など静流にはあり得ない。資金提供がなければうちの会社は潰れる。そうさせないためにはたとえ相手がハーレム王だろうが結婚さえすればいいのだ。そう考えた静流は必死に流す方向で話を進める。


「ふふふふふふふふふふふ」


「お、お父様?」


だが、そんな娘の意向などもはや静流パパンには関係なかった。そして会社の行く末すらどうでもよくなっていた。


「そうかい、そうかい。ハーレム王……うん……実にいいね。じゃあじっくりこってり話し合おうか?」


「し、静流パパン?」


それほどまでに静流パパンは怒っていた。


_____________


次回!


しずるちゃん


お楽しみに!











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