青い春は人工物
さあ、前回は謎の大和撫子の登場により混乱の渦になった教室。そんな中本作の主人公角田は……絶賛初恋発生中だった!!
さあ、さあ淡い春の始まりだ!
※だが、そんなものは彼女たちが……い、痛い!?え?か、角田!?何するんだよ!?お、落ち着け!ぐわ!?
えー、うっとおしい作者はさくっと始末したので僕の青い春を一緒に楽しみましょう!では、どうぞ!
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「あ、あの……そ、その」
「ふふ、そんなに緊張してどうしたの?」
僕の心臓は今にも飛び出しそうなほどに高鳴り早鐘の如く脈打っていた。こんな気持ちは初めてだった。
「えっと……あなたに一目ぼれしたみたいかも…」
「あら、そうなの……いいわね」
彼女はにこりと笑い体をさらに密着させる。
「私もあなたのことが好きよ?」
「ほ、ほんと!?」
「ええ」
その底が知れない笑みに飲み込まれるような感覚に陥りながらも僕の心は確かに彼女、千羽静流に心を掴まれていた。
「そ、そうなんだ……両思いだね?」
「ふふ、そうみたいね?」
「へっへへ」
彼女に心を捧げてもいい。そう思えるほどの高鳴りがあった。それは人生で一度も感じたことない感情だった。
「「か・く・た?」」
「は、はい!!」
しかし……彼女たちはやはり許すはずなどない。
※心配かけました。何とか奴から主導権を取り返しました。ここからはいつも通り私がお話を進めさせていただきます。角田……覚悟しろよ?
「なにをにやにやしてるのかな?」
「い、いや。その……なんというか……初めての春ってあるじゃない?」
「……へえーつまり私や穂乃果は初めての春にはならなかったと?あん?」
「い、いえ!!」
(く、くそ!?せっかく邪魔ものを始末したと思ったのに!)
※俺は神ぞ?死なぬ!
「くそ!なんで皆で僕の春の邪魔をするの!?」
「「そんなの自分の胸に聞いてみなさい!!」」
「す、すみません!!」
「そもそも、婚約者ってどういうことなの?」
「え?さ、さあ?」
そこで角田は浮かれすぎて考えもしなかったが、自分にはこんな婚約者などいた覚えなどない。
「えっと、千羽さんどうして僕の婚約者なの?」
「あら、ご両親から聞いてないの?」
「両親……」
その言葉で先ほどまでの浮かれた気持ちは角田の中から消し飛んだ。また……なのかと。
「あの人たちが何かしたの?」
「え、ええ。倒産寸前の私のお父様の会社に資金援助をしてくださって助けてくれたの」
静流は彼の先ほどまでの人物と同じとは思えない低い声を聴いて微かに動揺しながら答える。
「それで、お礼に僕と婚約してくれって言いだしたの?」
「そ、そうね」
角田は胸の奥がチクリとする。まるでガラスの破片が浅く皮膚に刺さったような感覚だった。それは何度も味わった感覚だ。
「まただ……僕のことなんて興味ない癖に……なんで」
「か、角田。大丈夫?」
穂乃果に声をかけられて角田は意識を内面から表面に呼び戻す。
「うん……ごめん。大丈夫。いつものことだから……」
「いつも?それって……」
望の問いかけに角田は少し笑みを浮かべて皮肉そうに告げる。
「両親は僕に興味がない。だけど、僕の将来には口出しをするんだ。だからよく勝手に進学先を決められたりしてたんだ……まさか、将来のパートナーまで決めてこようとするなんて思いもしなかったけどね……」
「え?それって……」
穂乃果は何か言いたそうだった。しかし、角田は穂乃果の言葉を遮るように言う。
「いいんだ……皮肉にも千羽さんは僕のタイプの女性だしね?さすが血のつながった両親だよ。よく分かってる……」
その笑みは決して清々しい笑みではなく今にも割れてしまいそうな痛々しい笑みだった。
「で、でも!」
穂乃果が何か言う前に静流が穂乃果の口を指で押さえる。
「だめですよ?これはあなたたちみたいな庶民が関わっていい世界ではありませんから」
「は!?何言ってるの!?角田と私たちは!」
「お付き合いでもされているのですか?」
「そ、それは……」
勢いよく発言したものの望は黙ってしまう。今の自分たちの関係は自分たちですらよく分かっていない。いや、言葉にすることができない。それは友達でもなければ恋人ではない。《《恋人以下友達以上》》。今はその言い方がふさわしいのだから。
「ふふ、では問題なさそうですね。ね?角田君」
「……うん」
角田には親に反抗的になろうなど思いつきもしなかった。その時までは。
「ばっかじゃない!!」
教室に大きな声が響く。その声は芯が通り反響してその場の全員の脳内の思考を止めさせるほど清々しい声だった。
「え?」
それは角田も同じで先ほどまでの暗い沼のような思考の中から引きずり出された。
「大好きは自分で大好きを伝えてなんぼでしょ!角田らしくない!まっすぐしなさい!」
「は、はい!!」
その声は強く角田の心の襟を立たせる。
(そうだよ……両親が言ったからじゃない……本当に僕が彼女を好きならちゃんとまっすぐ好きな気持ちを伝えなきゃいけないよね……)
「おーい。いい加減もういいかー?」
「は、はい。すみません。ほら、仙波さんも席に座ろう?」
「はい」
担任の言葉でその場は収束する。
そうして奇しくも角田が望んだように春が始まるのだった。
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そんな角田の心とは別に穂乃果の心は穏やかではなかった。
(なんであんなこと言ったの私!?)
机に項垂れながら敵に塩を送るような真似をしたことをひどく後悔していた。
(でも……あんな角田嫌じゃん……)
あの時の角田は穂乃果から見たら羽を取られた鳥を見ているような気持だった。
(角田は……角田だからいいんだから……でも、あれはないよねー)
「うっ、うっ」
相反する感情を持て余しながら彼女は頭を悩ませ続けるのだった。
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次回!!
え?これってNTR判定になったりしますか!?
※角田……ついにそこまで……
次回もお楽しみに。
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