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クラスの陽キャが僕と罰ゲームで一ヶ月付き合うことに。別れる前提で全力で恋人を楽しんだら、彼女が別れたがらない。  作者: 水海雫
第二章 恋煩い

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春来たる。

「おはよー」


「おっはー」


教室にクラスメイト達の様々な挨拶が聞こえてくる。それを角田は右から左に流しながらそれでも耳を決して目的の声の主たちを逃さないように耳を傾けていた。


「おはようーみんな」


「あ、望おは~」


「!?」


そうしてしばらく耳を傾けていたら目的の一人が教室に入ってきた。


辻井望さんだ。


なんだかんだで始まった勘違いに巻き込んだ一人だ。最近やっと問題が解決して誤解は解けたのだが……


(結局、彼女との関係もあやふやなまま終わったまま……)


「おはよう。角田」


考え事をしている角田に望は近づき挨拶をする。


「え?う、うん。おはよう」


「ふふ、なんできょどってるの?」


「そ、それは……」


角田からすれば彼女は自分から告白して告白を受けてくれた一人だった。故に彼女が自分に少なからず好意があるのを知っている。だから、どういう風な態度をとっていいのか関係がリセットされて分からなくなっていた。仮の恋人ライフを演じた角田だったがそれでも心は初心なチェリーなのだった。


※勘違いとはいえハーレムまで作ろうとしていた男の言動ではありません。


「言ったでしょ?覚悟は決まったって」


「え?い、いやそれは……」


確かにあの時ネックレスを上げた時はそうだったがあれは勘違い故の発言だったわけで角田には全くその気はなかった。


「ふふ、はははははww」


「え?」


彼女は耐えきれないように笑いだす。そこで角田は気づいた。


「か、からかったの?」


「あったりー」


とても満面の笑みで答えられて角田は肩から力が抜ける。


「心臓に悪いよ……」


「ごめん。ごめん。ふふ」


彼女はこうした冗談が好きだった。今回の勘違いの原因にもなった罰ゲームの嘘告も彼女の提案だったと思い出して妙に納得する角田。


「ふふ、妙に私抜きで楽しそうね?」


その底冷えするような声に角田の背筋は妙にぞくぞくした。その声の主は角田の真後ろに立っていた。


「さ、佐藤さん……お、おはよう」


「うん。おはよう角田」


佐藤穂乃果。


彼女こそが勘違いの中心になった人物で一番勘違いしてしまった人物だ。詳しい経緯は省くが角田の紛らわしい言動の結果、彼女は角田との結婚まで考える羽目になっていた。ただ、彼女は結婚を前向きに考えていたのが幸いだった。


※もっと言うとノリノリでした。


「あのー私もいるんだけど?」


「え?ごめん。気づかなかった。で、あなた誰?泥棒猫?」


「ひ、ひどい!?」


二人はさして前と変わらないやり取りをしていた。それに妙な安心を感じる角田だったが、彼にははっきりさせなくてはいけないことがあった。


「でさ……僕たちは一体どんな関係なのかな?」


角田はゆっくりと口を開き二人に向かって尋ねる。


「そ、それは……ね?望」


「え?わ、私!?」


急な穂乃果からの無茶苦茶なバトンパスに望は頭を捻る。正直、彼女たちはもはや角田の何でもいいと思っていた。友達だろうが親友だろうが。ただ一つ違うのは二人とも角田の恋人になる気満々だというところだった。


「えっと……その……」


しかし、純粋な気持ちだけでない関係を友達だというのも好意があるのに親友も言いずらく言い淀んでいた。


「はよー皆席につけー」


「「は、はーい」」


「え?ちょっと!?」


二人はタイミングよく入ってきた担任の教師に言われてそそくさと自分の席に座る。


(やっぱり友達はないよね……)


今の現状角田からしても二人との関係は何とも言いずらかった。角田は二人の好意を知っており素直に友達と言うのもおかしな気がしていた。だが、角田の中にはそれ以上の言葉はなかった。そう……友達以上恋人未満なんてワードはなかった。


※残念ながら彼は歳=恋人いない歴の方です。


「じゃあ、朝のHRに行きたいんだが、今日はその前に転校生の紹介だ」


「えー!まじー!」


角田の悩みなど関係なく世界は進んでいく。担任の言葉に思考は自然とそちらに向く。


(この時期に転校生なんて珍しいな……)


そんなことをぼんやり角田が考えていると担任に呼ばれて転校生が教室に入ってくる。その瞬間教室は静寂に包まれた。


「……綺麗……」


誰かが小さく呟いた。


それはクラス中が思っていたことだった。


入ってきたのはまさに大和撫子と言わんばかりの綺麗な女性でその黒い長い髪が特徴的な女性だった。


「じゃあ、自己紹介」


「はい、千羽静流《せんばちずる》です。よろしくお願いします」


綺麗なお辞儀はそれだけで皆を魅了するほどに美しい。一瞬皆が唖然として固まっていたが次第に拍手が聞こえてきた。それは次第に大きくなって教室を包んだ。


「ほい、ありがとさん。じゃあ、千羽はそこの空いてる席に座ってくれるか?」


「はい」


彼女はゆっくりと歩き出す。《《なぜか角田に向かって》》。


そして、角田の目の前で止まり見下ろす。


ただ彼女は無言でにこりと笑う。


そして角田の腕に自分の腕を絡めて体を密着させて笑顔のままクラス中に告げる。


「言い忘れてましたが……私は彼、角田栄吉の婚約者なんです」


クラスは一瞬で喧騒に包まれた。


「えー!私狙ってたのに!」


「……さすが角田パイセン……」


女子は悲しみ。男子は謎の尊敬の眼差しだった。


そして、当事者の角田はと言うと……


(この胸の高鳴り……これが恋なの?)


人生初の初恋が発生してそれどころではなかった。


次回!


恋てこんなにドキドキするものなんだ……


※いや、お前この状況で……まじか……


お楽しみに!









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