第69話 gdgd
連載が遅れてごめんなさい。
読んでくださってありがとうございます!
カラン。
「やあ、合コンとやらは進んでおるかね」
ドアベルが鳴ったかと思うと、恰幅の良い紳士が二名、堂々と入場してきた。
「大旦那様、プロスペロさん。どうしてこちらへ?」
「いや、ロドリゴが皆を集めて試食をするついでに、また面白いことを考えついたというものだからな」
「うぇっ、俺、いや私ですか?」
「いやお前、今更だろう」
ヤベぇ。プロスペロさんのクイックツッコミもさることながら、俺、大旦那様に「面白ェ女」ポジション認定されてる?
「誰が女か。まったく、面白そうな集まりかと思えば、なんだこの葬儀のような空気は」
「えっとこれは」
「ああ、皆まで言わずとも良い。ペドロ、お前はいい加減にしないか。どうせ縁談にかこつけて、酒も飲まずにクダを撒いているのだろう」
「お前たち、この男に構わずとも良いぞ。こいつはこのネタで界隈を荒らす色男だからな」
えっ、そうなの?
「こうして同席した夜の蝶の同情を引くんだ。まったく手に負えん」
「料理の腕は確かなんだがなぁ。おかげで接待に連れて行くことも叶わん」
「あーあ師匠、バラされちゃった」
「まあ日頃の行いっつーか」
「……」
悪行をバラされて、そそくさと立ち上がって厨房に引っ込むペドロさん。弟子たちのフォローも皆無だ。おい、さっきまでの荒れ具合はなんだったん。てかもしかして、離婚の原因はペドロさんにもあったんじゃ?
「まあ、ペドロの悪癖は置いておいて。ポルフィリオ、すまなかったな。どうしても断れぬ縁談だったとはいえ、お前には要らぬ苦労をかけた」
「いえ、大旦那様に謝っていただくようなことは」
「ロドリゴも、そんな上司のためにこのような企画を立てるとは、やりおる。ポルフィリオ、可愛い部下が出来て良かったじゃないか」
「はぁ……」
当のポルフィリオさんは、プロスペロさんに向かって軽く頭を下げながら、俺にジト目を送ってくる。器用か。
「まあそういうわけで、この場に集まった皆の良縁を祈願しつつだな。ロドリゴ、先日申しておった鶏ガラと豚骨のダブルスープだが、三パターン作って来た。お前の舌で是非とも味見を」
「最新作だぞ、皆も喜ぶがいい!」
そして店に横付けされた馬車から、昼バイトのティトさんとトニョさんが、寸胴三つを運んできた。
「左から、チキン、チキンが八に豚が二、五対五、二対八、そして豚骨100%だ。どうだ、それぞれコクが違って味わい深いだろう」
急遽席が足され、大旦那様とプロスペロさんが上座に鎮座。主役だったはずのポルフィリオさんは下座に移動し、改めてチキン、豚骨、ダブルスープ三種がサーブされた。もはや婚活のコの字も存在しない。しかしスポンサーである彼らに異を唱える者はいない。
「あらっ、二種類のスープを混ぜただけでこんなに味が変わるのね?」
「んん〜ッ、この豚骨スープが濃厚でたまらないわ! だけど孤児院で作るなら、短時間で煮出せるチキンの方かしらね」
この微妙な空気感をものともせず、スープに食らいつく女性陣。この世界にコラーゲンの情報は存在しないが、お肌にいいと言われると躊躇がない。
「一度冷まして油を取り除くと、カロリーも減ってよりヘルシーに召し上がっていただけるかと」
「大旦那様。こちらは『プリシラの輝き』とでも命名し、飲む美容液として売り出してみられては」
「おお、それはいいな! 最近ワシの金遣いが荒いとご立腹だからな、ちょうどいいご機嫌取りになるだろう」
盛り上がるオッサン二人に女性陣。空気を読んで大人しく会食に付き合うトマスさんとポルフィリオさん。
「……なあ、俺らなにしに来たんだ?」
「さあな……」
「俺は美味いモンが食えたらいいぜ!」
「スープだけじゃなくてパスタも出してくれよ!」
明らかに場違いな空気に戸惑うサバスさんとセベリノさん、空気を読まずにスープを飲み干すプリニオにポンシオ。
「パコ兄ィ、腕を上げたな」
「この混合スープ、いい線行ってんじゃないか?」
冷静にスープを味わって分析する二番弟子ぺぺ氏に末弟子パキト氏。
「なあロドリゴ。お前の言う合コンってこういうモンなのか?」
「えー、縁は異なものと申しまして」
「それはさっき聞いたっつーの」
「女子を呼んで来れなかったピオさんにも責任の一端はあると思います」
「なんで俺が?!」
会場の隅っこでピオ氏と泥試合の俺。
「ふふっ、これは一大事だ。是非ともフランチャイズを持ちかけて、僕も一枚噛ませてもらわないとね……」
その隣で素早くメモを取りながら、参入の手筈を整えるペピト。ああ、途中でお偉いさんが飛び入りしてきた時点で予測はしていたが、見事にgdgdだ。




