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社畜に異世界は生ぬるい〜奉公から始まる楽勝平民ライフ  作者: 明和里苳


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第61話 釣果

皆様、たくさんの温かいコメントに誤字報告、心から感謝いたします!

この場をお借りして御礼申し上げます。

本当に助かっております!

 しかしそんな手駒認定なんかどうでもよくなるほど、今回の冒険者見習い体験は充実したものだった。トマスさんとトリニダードさんのスキルは興味深かったし、採集した薬草や苔、それから変わった木の実。これはセベリノさんに頼んで、槍で突いて採ってもらった。


 森の入り口みたいに、草や地面がほんのり光ってるとかそういうレベルじゃない。今回は、葉の部分が青く発光しているもの、花が赤く光っているもの、地下茎が白く輝いているもの、様々だった。


「コオリエノコログサはともかく、カエンエンドウにヒカリカタバミはよく見つけましたね。それからパワーエーコンも地味にありがたい。これは森の奥にしかりませんから重宝します」


 ギルドの職員が手際よく摘んできた薬草たちを仕分けしていく。今回はブラフとなるそのへんの草も混ぜてあるので、第三の目の偽装はバッチリだ。しかし面白いな。種類別に仕分けされていくにつれ、薬草の光の色と役割に相関性があるのがわかる。青は冷やしたり水を含んだり、赤は発熱したり起爆剤になったり。白い光は傷を回復、黄色の木の実は体力を回復するらしい。なんか属性と関係してる?


「ああ、そして最後にこれですが……トマスさん。これを入手したのは、森の中層で間違いありませんか?」


「おお。全部さっき採ってきたヤツだが?」


「こちらの棘。死黒草シグロソウのものです」


「しッ……!」


 ちょっと待て。紫色に光る植物なんて珍しいから、ちょっと試しに切り取ってきただけなんだが?!


「ああ、驚かせてしまいましたね。大丈夫です、素手で触っても死に至ることはありません。しかし熟練の錬金術師が加工すると、非常に危険な薬剤となるのです。高値では売れますが、採集場所を口外するのはお勧めできません」


「ヒェッ」


「口外も何も、深層ならゴロゴロ生えてるぜ?」


「うふふ、中層でシグロのトゲなんてラッキーじゃなぁい。いいお小遣いになったわね?」


 いや、小遣いは全部エルマノスに寄付してるからいいんだ。問題はそこじゃない。あの小さな棘、毒薬なのか? ということは、紫色の光って……。




「じゃあここまでだな!」


「あっ、トマスさん、トリニダードさん。今日はありがとうございました」


「いいのよぉ。こっちこそいい経験したし、お互いWin-Winよぉ」


 冒険者ギルドでエルマノスの三人と別れた後、俺たち奉公人組は、アラスの二人にペラモス商店の寮まで送ってもらった。


「トマスさん! 俺っ、斥候術取るぜ!」


「おうよ。サバスらもプリニオのために剣術を勧めたんだろうが、斥候術は危ないもんじゃねぇ。お前はお前の才能で強くなればいいさ」


「んん……俺はどうしようかな……」


「うふふ。ポンシオはまだ小さいんだから、うんと悩めばいいのよぉ」


 今日の冒険者見習い体験は、なかなかハードだった。そして、途中いろいろ引っ掛かることはあったが、いい経験になったと思う。トマスさんとトリニダードさん、一癖も二癖もある厄介な人たちかと思ったが、意外と面倒見がいいし、なにより学ぶことがいっぱいあった。当面の間は護衛に来てくれるみたいだし、来週も見習いを引率してくれるらしい。この間に色々学んで、飯の種に繋げていきたいものだ。


「それじゃあ次は水曜日のバイトの時n」


 最後にもう一度挨拶をしようと振り返った時、俺は見てしまった。


「万事手筈(てはず)通りに」


「おう」


「わかってるわ」


 ペピト、トマスさん、トリニダードさん。森の道中から三人でコソコソやってると思ったが、耳に力を込めて聞いてみるとそんなことばっか言ってる。やがてアラスの二人は爽やかな笑顔で去って行ったが、その笑顔が余計怪しい。


「おいロドリゴ、晩飯に遅れるぞ!」


「プリィ、そんなヤツ放っとこうぜ。昼は干し肉だけだったし、腹減った!」


「ふふっ。どうしたんだいロドリゴ、疲れたかい?」


 なにも知らずに呑気なプリニオ、ポンシオ。そしてアラスの二人と負けず劣らず、胡散臭い笑顔のペピト。なんとも言えない気持ちを抱えたまま、俺は彼らの後から食堂に向かった。

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