表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
社畜に異世界は生ぬるい〜奉公から始まる楽勝平民ライフ  作者: 明和里苳


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
58/86

第58話 新たなる冒険

「というわけで、今日からパーティーに加わる静寂の双翼アラス・デル・シレンツィオだ。よろしくな!」


「よろしくねぇ」


 日曜日の朝。エルマノスさんと森に入るため、冒険者ギルドの前で待ち合わせていたところ、そこに現れたのがトマスさんとトリニダードさん。エルマノスさんたちとどう話をつけたのか、すでに彼らが加わることが決定していた。


「よかったな、お前たち。風属性の先輩に色々教わるチャンスだぞ!」


「うーん、だけどよぉ。プリニオもポンシオも、前衛志望だろォ? 教わるっつってもよぉ」


「あらサバス、進路の選択肢は多い方がいいわよ。やっぱり加護に沿った職の方が合ってるわけだし、風の加護持ちの先輩を見てから決めても遅くないでしょ?」


 善意百パーのエルマノスの皆さん。セベリノさんの爽やかな笑顔が眩しい。


「ハハッ。まあ、俺らの仕事が参考になるかどうかわかんねぇが、索敵と弓は頼りにしてくれていいぜ」


「アタシは鞭とナイフよ。こっちは参考にならないかしらね?」


 一方こっちの二人。一見にこやかに微笑んでいるが、裏の顔を知っているせいで非常に胡散臭く見える。てか、アラスってパーティー名を今日初めて知った。


「よ、よろしくお願いするっス……」


「なんだよプリィ。腹でも痛いのか?」


「触れてあげないで、ポンシオ。きっと他の場所が痛むんだよ」


 軽装のため、体の線がわかりやすい装束のトリニダードさん。しかも、投げナイフと鞭が太もものホルダーにセットされている。思春期のプリニオには非常に目の毒だ。


「ほんじゃま、中層の入り口くらいまで攻めてみるか」


「ちゃんと夕方までに帰れるコースだから、大丈夫よぉ?」


 というわけで、今回は九人パーティーという大所帯で、俺たちは森に乗り込んだのだった。




「それにしても、銀級のペアにご指導いただけるなんて光栄です」


「いや、エルマノスの後進育成はギルドでも評判だぜ。無理せず浅層に絞って、小っこいうちから狩と採集の基礎を叩っ込む。お前らもさっさと等級を上げたいだろうに、なかなかできることじゃねぇぜ」


「そっ、そう言われると悪い気はしねェってか……」


「そうよぉ。同じように若手を育てるパーティーやクランはたくさんあるけどぉ、ポルセルのエルマノス出身の冒険者は現役率が桁違いだものぉ。スサニタ、頑張ってるわねぇ?」


「やだトリニダードさん、褒めすぎ。神に仕える身としては当然のことよ?」


 ヤバい。アラスの二人が、エルマノスを完全攻略している。プリニオは開幕初球でホームランだったし、プリニオさえ押さえればポンシオは自動的に追随する。


「まあ、それが彼らの仕事だからね」


 唯一正気なのはペピトだけだ。そりゃそうだ、彼はアラスのことを手駒と呼んで憚らないもんな。


「なに他人事みたいにしてるの。彼らの目的は君の護衛だけじゃなく、どちらかというと君の監視なんだからね?」


「うぇっ?」


 えっ。こないだのチャクラ騒動あたりで、マークは外れたのでは。


「君はチャーシュメンを開発したばかりじゃないか。まったく、君は商業ギルドの注目を集めたいのか逸らしたいのか、理解に苦しむな」


「それはそう」


「ともかく、今日はできるだけ余計な動きを見せない。普段通りにして、大人しくしておくことだね」


「り」


 りって……と言いながらため息をつかれる。たびたび化けの皮が剥がれたおかげで、最近あまり猫を被らなくなってきた。もちろん仕事中や目上の相手にはそれなりだが、奉公人の同僚はタメ口でいいだろう。


 しかしそんなペピトの小声の忠告も、多分トマスさんには筒抜けだ。森に入る前から、彼の耳はぼんやりと緑色に光っている。ペピトも彼に聞かれていることは承知で、俺がなにに気をつけるべきか、具体的な内容については言及しない。


 前で和やかに歓談しながら人心を掌握し、並行して哨戒と諜報も同時にこなす。俺は改めて、アラスの二人の隠された能力に身震いするのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ