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社畜に異世界は生ぬるい〜奉公から始まる楽勝平民ライフ  作者: 明和里苳


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第32話 悩み事

 最近の俺の悩みは二つ。一つ目は、魔力(もしくは生命力)の見える力、これを第三の目と称するか魔眼と称するか。てか、どっちか決める前に、既に同名のスキルがないか調べなければならない。魔眼はありそうだな。まあ、これは喫緊の問題ではないので追々でいいだろう。


 そしてもう一つは、魔法やスキルの習得について。今の俺には、それらを学ぶのに二つの道筋がある。一つは学園に通うこと、もう一つは冒険者ギルドで講習を受けることだ。前者は約六年後、試験を受けて特待生枠を勝ち取れば道が開ける。だが、貴族にまみれて公務員コースは、最も避けたいところ。良くて地元の大店おおだなに就職、ゆくゆくは店の幹部か商業ギルドに転職――ちょうど今のポルフィリオさんの立ち位置だが、いかんせんロールモデルが彼ではなあ。というわけで、こっちのコースは全然考えていない。


 それではもう一方の選択肢、冒険者ギルドの講習だが。


「パーティーに斥候が欲しいのは山々なんだが……」


「本当は風の加護持ちの子は、冒険者になってほしくないのよね……」


 先日、エルマノスの皆さんがそんなことをこぼしていた。風属性の適性は斥候や弓術士あたりだが、弓術士に関しては矢の消費前提で運用コストが高く、中距離攻撃専門なのでソロ活動に向かない。大体は斥候など他のジョブも兼ねている。そして斥候は、あらゆる職業の中で一番負傷しやすい。軽装だからな。


 サバスさんがプリニオに剣術を教えているのは、その辺を考慮してのことらしい。敢えて適性を無視し、あくまで剣士として育成することで、冒険者として息の長い活動をさせてやりたいという意向だ。だが適性の壁は厚く、プリニオはもうすぐ奉公を卒業しようという頃合だが、まだ初歩の強撃しか使えない。プリニオ自身は斥候術を取ることもやぶさかではないらしいが、エルマノスの皆さんは悩み中。


 ちなみに、孤児院パーティーポルセル兄弟(エルマノス・ポルセル)は随時メンバーが入れ替わるらしい。孤児院卒業後、冒険者を目指す子供が最初に入るのがエルマノス。ここで後進の子供たちを引率しつつ、ある程度経験を積んだら中堅の冒険者として旅立っていく。近々、神殿でヒーラー見習いを終えた子供がスサニタさんと交代することが決まっているそうで、それと同時にプリニオが奉公を終え、サバスさんと入れ替わる予定なのだそうだ。だがしかし、プリニオはまだ強撃しか使えないし、そもそもがヒョロくて前衛は無理っぽい。


「そんなことはどうでもいいんだよ! 俺ァスサニタねえと一緒に抜けんだからな!」


「おうよ! 俺に任せとけ!」


「プリニオにはまだ無理よ。サントスが再来年卒業だから、それまで待ちなって言ってるのに」


 どうやら孤児院にはサントス君という冒険者見習いがいるらしい。プリニオと彼が一緒に加入すれば、エルマノスの戦力も安定するだろうってことなんだが。


「そっ、それじゃあスサニタ姉と一緒に抜けられねぇだろ!」


「だからぁ、二人一緒に抜けたらセベリノが大変でしょ?」


 噛み合わない二人。傍目はためから見て、明らかにスサニタさんを意識しているサバスさんと、明らかに眼中にないスサニタさん。青春だ。頑張ってくれ。


 回想終わり。思考が逸れた。


 というわけで、冒険者ギルドの方もちょっと足が向かないんだよな。斥候術を取りさえすれば、それなりに役に立ちそうなんだが、俺は今のところ冒険者にも斥候にもなりたくない。風属性の補助魔法を習ってみるのもアリかもしれないが、補助魔法だけで果たして役に立つのだろうか。


 結局、しばらくは大人しくウィンドを極めるしかないのか。




 それからというもの、昼も夜もウィンドに釘付けだ。暇さえあれば、手から風を出して新しい運用法の開発に勤しむ。洗濯物を干せばウィンドを当て、庭の掃き掃除にウィンドを当て、草をむしってはウィンドを当て。しかしわかっていたことだが、絶対的にパワーが足りない。なんせ前世のハンディファン以下の出力だ。ミニカーを走らせるのが精一杯の、オモチャのモーターみたいな。そりゃあウィンドなんて生活魔法のことを、誰も知らないはずだ。


 現に今、こうして庭石に当てているエアーダスター。こんなに細くしたって、せいぜい苔がちょっと剥がれるくらいの勢いだ。これが高圧洗浄機なら、もっとブシャーっと一気に綺麗にしてしまうんだろう。前世、なんかそんな動画を見た。


 ――いやちょっと待て。どうしてエアーダスターが限界だと錯覚していた? 俺はこれまで、手から出るそよ風を細く出すことしか考えていなかった。しかしこれに圧を加えれば、もっとパワーアップするのではないか。


「ふおおおお!」


「おいロドリゴ、落ち葉を集め終わってからやれって!」


「またなんか思いついたのか? プププ」


 勢いよく立ち上がった俺に、プリニオの怒号とポンシオの嘲笑が飛んでくる。うるさい、俺の持ち場の落ち葉は集め終わってんだよ。俺の時代はこれからだ――ッ!

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