第28話 ギルドの監視
「ギルドに目をつけられたみたいだね」
「うぇっ」
寮に帰った後、トマスさんとトリニダードさんが屋台にやってきたことを話すと、ペピトがやたらニチャついてきた。
「魔力が見えるとか言い出すからさ。そんなのマークされるに決まってるじゃないか」
「えっだって、トマスさんたちは味方なのでは?」
「いや、懇意にはしてるけど、彼らの雇い主はギルドだよ? 僕とどっちを優先するかって、わかりきったことだよ」
パイセン話が違うじゃないですか。てか、もしかしてペピト、俺のこと売った……?
「ふふっ、誤解されては困るね。商業ギルドの情報収集力は侮れないよ。というより、あの日の帰り。ロドリゴはセベリノに背負われて、冒険者ギルドで『見える見える』って大騒ぎしてたじゃないか」
「そういえばそんな気も」
仕方ないじゃないか。チャクラに目覚めてハイテンションだったんだ。しかし、それなら自業自得と言えなくもない。
「まあ、僕は『見えない』ということにしておいてあげるよ。非常に興味はあるけどね」
「ハハッ」
なんだそれ。もうバレてるも同じじゃないか。だが、秘密にしといてもらえるならありがたい。
そして落胆ポイントはもう一つあった。俺の様子を探りに来たトマスさんとトリニダードさん。あの時なにが起こったのかよくわからないが、トマスさんの耳が緑色に光り、トリニダードさんに至っては指先が紫、からの、全身のオーラが紫に変化した。なんかスキルを使ったってことなんだろうか。ということは、彼らがスキルを使うときには耳、もしくは指から魔力を循環させていたということ?
「悲報。チャクラ理論終了のお知らせ」
理論っていうかなんていうか、漫画で見たそれっぽいなって思っただけなんだが。しかし、眉間に意識を寄せるやり方は俺に合っていたみたいなので、それはそれで良しとしよう。さよなら、チャクラ。
いやしかし、凹むのはまだ早い。ポルフィリオさんが激怒して、商業ギルドにすら目をつけられるほどの能力。魔力が見えるっていうのは超アドバンテージだ。これをどうにかして不労所得に繋げ、からの早期リタイア。うん。これしかない。
とりあえず今の俺の武器は、甘味のレシピアイデアとウィンドのみ。だがまだゲームは始まったばかりだ、焦る時間じゃない。弱いとはいえ、空気の噴射には限りないロマンがある。はず。まずはウィンドの研究に励まなければ。
「ぶつぶつうるさい。もう寝るぞ」
「はい」
二段ベッドの上段からプリニオに怒られた。すまん。寝る。
あっという間に日曜日。前回チャクラチャクラと大騒ぎした結果、今回は休んだらどうだと言われたが、頭を下げて薬草採集に加えてもらった。
「お前さあ、また騒いで兄ちゃんたちに迷惑かけんなよ!」
「あいすみません」
「いいよいいよ。二人も四人も一緒だからね」
「そうよぉ。平日はもっといっぱい連れて歩いてるんだから」
「だが前みたいな騒ぎは勘弁だぜ?」
プリニオに叱られ、セベリノさんとスサニタさんにフォローされ、サバスさんに釘を刺される。ホントごめんて。
だがしかし、いつもの森の入り口に到着すると。
「ふおおおお!!」
見える。見えるぞ。一面の森と草むらが黄緑に光ってる。
「こら、ロドリゴ。騒がないって約束しただろ?」
「なあペピト。そいつ連れて帰ってくんね?」
「はっ」
ヤバいヤバい、到着と同時に見放されるところだった。だがしかし、草むらの中に点々と散らばる強めの光。近づいて見ると、それらは全て薬草だった。
「これも! これもぉ!」
俺、勝ったわ。薬草で天下取ったわ。こんなんヌルゲーじゃん!
「なんだか興奮してるわね。初めてでもないのに」
「じゃあ俺たちは森に行ってくるから、危ないところに行くんじゃないぞ」
森に去っていく孤児院組、そして俺と共に取り残されるペピト。彼らの生温かい視線に気づくこともなく、俺は夢中で光点を追ったのだった。




