表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
社畜に異世界は生ぬるい〜奉公から始まる楽勝平民ライフ  作者: 明和里苳


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/47

第24話 エネルギー循環(2)

「ふぅん。職業による、か。興味深い話だね」


「あるいは、属性による説もあるかもです」


 そう。今のところ、俺の中ではそれが一番有力だ。なんせ父と兄は土属性、足裏から力を回すセベリノさんも同じ。そして母と姉は、スサニタさんと同じ水属性だ。ただし、ヒーラーはみんな神殿関連施設で治癒術を学ぶ。スキルを教わる場所が同じなら、魔力の感じ方も似通ってしまうのかもしれない。師匠と弟子でもある父と兄も同様だ。そして、たまたまセベリノさんが足裏方式だっただけなのかもしれない。いずれにせよ、サンプルが少ないので推論の域は出ないが。


「ふふっ。結局のところ、君の魔力感知には当てはまらなかったわけだしね」


 そうなんだよ。土と水は足裏と頭上かもしれないけど、じゃあ風属性はどうなんだって話だ。トマスさんとトリニダードさんが推奨した胸と臍は、空振りだったわけだし。


「てか、ペピトさんは気にならないんですか。魔力循環」


「まあ、焦っても仕方ないだろう。どうせ僕はもうすぐ学園で魔法を学ぶことになるし、回路が刻まれれば勝手にわかるようになるだろうしね」


「ぐぬぬ……」


 じゃあ、大枚叩いて魔力循環の情報しか引き出せなかった俺は、完全な敗北ということか。




 そんなこんなで午後、そろそろ引き上げの時間。合流した孤児院組は今日もウサギや小型の魔物を狩り、プリニオとポンシオはご機嫌だ。特にポンシオ。


「このウサギは俺が血抜きしたんだぜ!」


「ポンシオはなかなか筋がいいぞ」


 セベリノさんに褒められて有頂天だ。衛兵は血抜きなんてしないんじゃ。てか、そう言えば聞いてなかったな。


「プリニオはもうスキルを覚えたそうですが、その力はどこから?」


「おっ、気になる? 俺はケツの穴だぜ!」


「け……えっ」


 お前は一体なにを言っているんだ。


「ちょっとプリニオ、スサねえの前で!」


「なんだよ。サバスィが教えてくれたんだろ」


「えっとその、サバスさんもケツ穴から?」


「ロドリゴ! ケツ穴言うな!」


 そしてなぜだかサバスさんが慌てている。スサニタさんに聞かれるとまずいことでもあるんだろうか。


「ふふっ、サバスは意外とシャイなのよね。小っちゃい頃はオムツだって替えてあげたのに」


「スサ姉、いつの話だよ!」


「意外に思うかもしれないけど、骨盤に意識を向ける冒険者も少なくないよ。俺も足裏から尻を締めて踏ん張る感覚があるし」


「そうそう、キュッと絞まる感じするよな!」


 おお、これは有益な情報だ。火属性のサバスさん、風属性のプリニオ、土属性のセベリノさんが共通して感覚を得るところ。これはもしかして、武術系スキルを扱うのに重要なポイントかもしれん。確かに、尻を引き締めたらなんとなく力が入りそうなイメージがあるし、なによりいつでも練習できそうだ。


「ありがとうございます。お尻ならいつでも練習できそうです!」


「よかったわね。参考になったみたいじゃない?」


「お、おう……スサ姉が喜ぶならいいがよ……」


 そっぽを向いて耳を赤くするサバスさんに、俺を除く全員から生温かい視線が送られる。思春期か。


 ――いや、ちょっと待て。尻、へそ、心臓、頭上。ピンと来てしまった。


「これってチャクラじゃね?!」


「「「チャク……?」」」


 そうだ。少年漫画かなにかで見たヤツだ。体にあるエネルギーセンターに接続して、いろんな技を使うっていう。なんだよ、この世界はチャクラシステム搭載か?!


「ふおおお、胸熱……ッ!! そうなれば、あとは第五チャクラと第六チャクラ!!」


「……ロドリゴ。変なキノコでも食ったのか?」


「年頃の男の子にはよくあることでしょ」


 うるさい、俺はこの世界の真実に気付いたんだ。外野がなんか言ってるが気にしない。とりあえず第五チャクラの喉からか。


「あ、あーあーテステス。本日はお日柄もよく。アメンボ赤いなアイウエオ」


「どうしたロドリゴ。確かに天気は良かったけど」


「アメンボは赤くないぞ」


 うーん、怒涛のツッコミしか返ってこない。ハズレか。ならばこれでどうだ……!


「魔観光撮砲!!」


「どうしたロドリゴ、頭が痛いのか」


「疲れたのか。おぶってやろうか?」


 額に人差し指と中指を当てたところ、疲労による偏頭痛に見えたようだ。失敬な。


 だが、見えたのは俺も同じだ――見える、見えるぞ。周りを取り囲む孤児院組にペピト、全員の体の表面にうっすらと光が見える。


「キタキタキター!! 第三の目、からのオーラ!!」


「セベリノ、おぶってやれ」


 興奮冷めやらぬまま、俺はセベリノさんに背負われてポルセルまで帰還した。




「見えたんです! 本当です!」


「あーわかったから。体を拭いてさっさとお休み」


 しかし悲しいかな、誰も俺の覚醒に耳を傾けなかった。エルマノスのメンバーには可哀想な目つきで「無理させちゃったかな」「来週末はお休みで」と言われ、プリニオとポンシオにはあからさまに気味悪がられ。ペラモス商店に戻った後も同様だ。パウリノさんにはさっさと飯を食えとどやされ、ペトロナさんに食堂から追い払われようとしている、なう。


 あの時、確かに見えたんだ。サバスさんは赤、セベリノさんは黄色、スサニタさんは青。そして残りは俺を含めて緑色。体の表面をうっすらと覆う光の膜が。


「いや、属性なんてだいたい髪色を見ればわかるしね?」


「それはそうなんですけど!」


 滅多なことでは動じないペピトが、非常に残念そうな目で俺を見る。俺も残念だ。だってペラモス商店に帰れば、ここには風属性しかいない。第三の目に力を込めたところで、みんな緑色の光をまとっているのだ。


「まあ、あれだよ。疲れたんだよ。今日はゆっくりお休み」


 サバスさん以上に生温かい気遣いを向けられ、俺は憤慨したままベッドに入るのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ