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社畜に異世界は生ぬるい〜奉公から始まる楽勝平民ライフ  作者: 明和里苳


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第23話 エネルギー循環(1)

 孤児院組が狩りに行ってしまい、俺とペピトだけで黙々と薬草を摘む。地味な作業だが侮れない。これだけで生活してくのは非常に厳しいが、孤児院の子供たちにとっては良い小遣い稼ぎになるだろう。


 ちなみにエルマノスの皆さんは、平日は孤児院の子供たちのうち、希望者を引率しているという。日曜日は、奉公に出た子供たちのための特別枠だ。現在のところ、奉公中の子供の中ではプリニオとポンシオだけが戦闘職に興味を示しているとのこと。そこにご厚意で乗っかってるのが、俺とペピトというわけだ。


 そんな事情もあり、俺たちはそんなに本腰を入れて薬草を摘むようなことはしない。孤児院の貴重な収入源だからな。一日が終わったら薬草をギルドに納め、収益は山分けということになっているが、レシピ登録で小銭を稼ぐようになった俺は、全額孤児院に寄付している。ペピトも同じく、実家のパルラモン商店のコネを使い、孤児院に小物の製作を依頼して、彼らに便宜を図っているそうだ。


 いや、綺麗ごと言いました。この薬草摘みっていうのが地味に面倒くさい。俺はこれまで、「ああファンタジーでよくあるやつね。ショボいF級冒険者とかがやりがち」とか思ってた。しかし実際はもっとハードだ。森といっても平坦ではないし、開けた群生地というのはボーボーの草むらにすぎない。その膨大な草をかき分け、薬効のある小さな野草を探すのだ。そして傷つけないように、取りすぎないように、採集部位だけを慎重に収穫する。


 当然、虫にも刺されるし蛇も出てくる。野生動物だっている。熊や魔物でも出ようもんなら、命の危険すらある。前世の駐車場の草むしりなんて、お遊戯みたいなもんだ。


 はっきり言おう。割に合わん。日曜日を一日使って、シャカリキになって集めて回っても、多分時給で銅貨二枚――日本円に換算すると、およそ二百円って感じだ。しかも行き帰りの移動だけで、片道一時間。だから、一日働いた分を孤児院に寄付するといっても、実際は千円にも満たない。


 ならどうして日曜日ごとに採集に来てるかって、やっぱりこのサバイバル術というか、冒険者体験そのものに価値があるからだ。人生なにが起こるかわからない。ある日いきなり無職になって、この薬草採集が命綱になるかもしれない。


 さらに、剣と魔法があるとはいえ、安全とは言えないこの世界。主要な街の間には街道が整備されているが、一歩道を外れれば未開の地だ。魔物だって出る。ポルセルの街から一生出ないで生きていくこともできるだろうが、世界を股にかけて自由に生きようと思ったら、野外活動のイロハは必須だ。というわけで、誘ってくれたペピトにも、仲間に入れてくれた孤児院組にも、とても感謝している。


 感謝しているのだが。


「体力の限界ッ――!」


「ははっ、バテるのが早いね。一旦休憩にしようか」


 ペピトはへらりと笑って、バスケットから敷物とクッキーを取り出す。このクッキーが、ちまたで売られている保存食というヤツ。もっとも、クッキーとは名ばかりで岩石よりも硬い。こいつをガリガリと噛み砕き、生活魔法のウォーターで出した水とともに胃に流し込む。疲労した肉体に糖分が尊い。だがしかし、雑穀で作られたクッキーは無駄にGI値が低そうだ。


「むしろ今は血糖値が急上昇してほしいんだが」


「ははっ、相変わらずなにを言ってるのかわからないな。それで、どうだい。魔力循環はうまくいきそうかい?」


「うーん、それなんですが」


 魔力循環に生命力循環、それが必ずしも心臓や臍の下から巡らせるのではないと知って、俺は薬草を探しながらいろんなパターンを試してみた。セベリノさんは足の裏からエネルギーを動かしていると言っていたし、スサニタさんは頭の上から力を取り込むと言っていた。


 実はこれらには、ちょっと思い当たるところがある。実家にいた頃、父はよく兄に「地に足をつけて集中しろ」と言っていた。家具職人が木を切ったり削ったりするのに、どうして足が関係するのかわからなかったが、父と兄はそれで理解し合っていた模様。それから、母と姉は食事時に祈りを捧げながら、天を見上げる仕草をしていた。神殿でそういう作法を習うらしく、俺たちもそれを見習っていたのだが、もしかしたらあれは治癒術と関係していたのかもしれない。


 エネルギーの循環には職業が関係している? それともスキルだろうか。

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