第19話 魔法への道(3)
2026.04.14
第6話
「これらはこれまで生きてきてなんとなく見聞きしたことと、前世の記憶とを擦り合わせた俺なりの分析だ。」
の一文を追加しました。
世間知らずの子供がなんでそんなこと知っとんねんということで……。
次の日曜日。俺とペピトは薬草採集に参加せず、トマスさんとトリニダードさんと商業ギルドの奥の個室で落ち合った。こういう施設をしれっと予約するペピトが底知れない。さすが御曹司ってことか。
てかそれより、商業ギルド付きの冒険者二人を二時間レンタルするのって、結構な金がかかるんだな。こないだ登録したレシピ使用料、一ヶ月分の半分くらい飛んでいった。こういうのは最初にドバッと売れて、あとはどんどん下火になっていくわけだ。収入の勢いのいい期間の半月分ってちょっと痛いな。ペピトは学園に進学したあと、彼らに用事を頼めばいいと言っていたが、気軽に声をかけられるような相手じゃない。
「ふふっ。早期リタイアを目指す君が、そんなことを気にしているとはね。これは立派な投資だと思うけど?」
「それはそうなんですが」
確かに、前世でもスキルアップの基本は情報収集だった。知的財産や手についた職は裏切らない。だがしかし、当のトマスさんたちがあんまり乗り気じゃなさそうだ。
「商人向けの魔法ならともかく、冒険者のスキルなんてそうそう覚えるもんじゃないと思うけどな」
「そうよ。風の加護持ちはあんまり冒険者に向いてないんだから」
「それは斥候の死亡率が高いことが原因でしょうか? それとも需要が低いから?」
「……あんまり正直には言いたかないが、まあ大体そういうことだな」
トマスさんはちょっとバツが悪そうに答えた。
先日、魔法の授業の時にも感じたことだが、風属性は不遇だと俺は思う。神殿で洗礼を受けた時、俺たちは風の女神の加護を受けて素早さに恵まれると教えられる。それは風属性の魔法が使えることに加え、身軽であったり、機転が効いたりといった恩恵だそうだが、裏を返せば補助魔法しか使えず、筋肉が付きにくい。従って、重い武器防具が持てずに万年火力不足、装甲ペラペラということだ。およそ戦闘職に向いていない。
まだ生まれて六年ちょっと、世の中のあらゆることがわからないことだらけだが、そんな俺でも街を見ていればわかる。冒険者や騎士、衛兵なんかはみんな赤髪か茶髪で、ローブを着たのはだいたい青。緑はめちゃくちゃ少ないんだ。それは、風属性が適性を持つ斥候や弓術師の需要が少ないのと、死にやすいのと。緑髪はだいたいみんな安全な街中で商売やってるもんな。
「あとね、斥候術って悪用すれば良くないことにも使えるでしょう。だからどうしても色眼鏡で見られやすいのよ」
「なるほどですね」
冒険者ギルドでも斥候術のスキル講習はあるが、マッピングの仕方や罠の外し方など、あくまで初歩しか教えないらしい。それ以上となると、傭兵ギルドや裏ギルドなど、ちょっと後ろ暗い仕事を請け負う組織でないと習得できないんだとか。そうすると、なにか事件があった時には真っ先に疑われてしまうし、別の意味でお勧めできないらしい。
「とはいえ、生きていく上で選択肢が多いに越したことはないよ。僕も行商に備えて、護身術やサバイバル術は教わっているから」
「そういったモンでよければ、ちょっとくらいは教えてやれるがよ」
「よろしくお願いします」




